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正常歩行と特異的歩行の歩行周期の比較分析

正常歩行と特異的歩行の歩行周期の比較分析

「はさみ足歩行」や「すくみ足歩行」などの特異的歩行は異常歩行になり、リハビリ指標には正常歩行との比較が効果的です。

今回は、正常歩行と特異的歩行の歩行周期の動きの違いについて、分析していきます。

また、特異的歩行のリハビリ観察時における注意点もご説明します。

こちらの記事を、特異的歩行のリハビリに役立てていきましょう。

特異的歩行の種類

代表的な特異的歩行には、次のような歩行が挙げられます。

  • ・はさみ足歩行
  • ・すくみ足歩行
  • ・外転歩行
  • ・分回し歩行
  • ・酩酊(様)歩行

など

上記の特異的歩行は、脳や運動器、心因性などによる疾患で起こります。

正常歩行の歩行周期

歩行の際には、歩行周期があります。

以下、正常歩行における歩行周期について、整理していきましょう。

  • ・立脚期…足が床に着いている期間
  • ・遊脚期…足が床に着いていない期間
  • ・両脚支持期…両足が床に着いている期間
  • ・片脚支持期…片足のみが床に着いている期間
  • ・荷重応答期…足裏全体がついた状態

なお、正常歩行の1周期で占める割合は以下の通りです。

  • ・立脚期…60%
  • ・遊脚期…40%

また、両脚支持期は10%が2回あり、片脚支持期は、反対足の遊脚期と同じく40%あります。

正常歩行と特異的歩行の歩行比較

次に、正常歩行と特異的歩行との歩行比較を説明していきます。

以下の歩行周期に分けて、解説していきます。

  • ・初期接地~荷重応答期
  • ・立脚中期~後期
  • ・前遊脚期~遊脚初期
  • ・遊脚中期~遊脚終期
  • ・再び初期接地へ

それぞれの歩行周期の動作について、確認していきましょう。

初期接地~荷重応答期

初期接地(足が床に接地した瞬間)〜荷重応答期にかけて、正常歩行の特徴は以下の通りです。

  • ・必ず踵から踏み込む
  • ・荷重応答期に背屈筋を遠心性収縮させる
  • ・スムーズに前足部を地面に接触できる
  • ・膝の伸筋群が遠心性収縮する
  • ・体の動きを滑らかにして接地の衝撃を和らげることができる

その他、ヒールロッカーが機能することにより、踵を中心に下腿と足部が前方へ転がり、重心を前上方に持ち上げることが可能です。

一方、初期接地〜荷重応答期にかけて、特異的歩行の特徴は以下の通りです。

  • ・前足部から接地することになり、ヒールロッカーが消失する
  • ・前足部先端を回転とした足部回転になる
  • ・足関節が後方に引き戻される

また、特異的歩行では前進した際に足関節が接地すると同時に方向転換が起こってしまいます。

すると、体に大きな衝撃がかかるリスクが高くなるため、リスクを避けるために特異的歩行では、極端にゆっくり歩行することになります。

立脚中期~後期

立脚中期〜後期にかけて、正常歩行の特徴は以下の通りです。

  • ・体幹を安定させて保つことができる
  • ・外転筋群の強い等尺性収縮が起こる

一方、この時期の特異的歩行は、以下の特徴があります。

  • ・伸筋群と屈筋群のバランスが取れなくなる
  • ・体幹を安定に保つことが難しくなる
  • ・中殿筋など外転筋群の活動ができない
  • ・着地した足の股関節の上方に体幹の重心を移動させるため不安定

前遊脚期~遊脚初期

前遊脚期では、正常歩行は足関節の底屈筋が足を前方に振り出す動きに貢献し、その後、膝を屈曲した状態で遊脚初期を迎えます。

一方、特異的歩行の特徴では体幹の不安定や外転筋群の低下などが原因により、外転歩行や分回し歩行などが起こります。

遊脚中期~遊脚終期

遊脚中期〜遊脚終期にかけての正常歩行では、膝が伸展し終える時期と同じタイミングで、初期接地が起こります。

一方、特異的歩行では、膝の伸展のタイミングが遅れてしまうと膝折れの危険性がでてくるため、早めに膝を伸展していきます。

また、特異的歩行では伸展保持を安定させるために、股関節を最大屈曲させた状態から伸展に戻していき、初期接地を迎えるケースが多く見られます。

再び初期接地へ

特異的歩行の多くは、股関節を最大屈曲させた状態から伸展に戻していき、再び初期接地を迎えます。

その後、股関節伸筋群を作用させながら床反力の後方への傾きを減らしていき、荷重応答期に入ります。

特異的歩行のリハビリの観察

特異的歩行のリハビリでは体幹のバランスや外転筋群の動きなど、随時細かく観察していく必要があります。

また、踵接地が消失する対策として前脛骨筋の筋力向上や、装具の検討も考えます。

さらに、リハビリの注意点としてはデータを使いながら正常歩行と比較していくことが効果的です。

そのため、目で見る観察では細かい数値判定は難しくなるため、数値が正確に計れる機械があれば最適です。

なお、目で見る観察を行う場合は、歩行時の関節角度や歩行スピードを計測していくことが有効です。

まとめ

今回は「正常歩行と特異的歩行の歩行周期の比較分析」について解説しました。

さまざまな疾患が原因で起こる特異的歩行での歩行リハビリは、正しい歩行状態とのデータ比較を行うことが効果的です。

その点、AYUMI EYEは歩行バランスの能力分析や解析に長けており、あらゆる疾患などで起こる特異的歩行の現在の状態をデータで簡単に見ることができます。

ぜひ、AYUMI EYEで特異的歩行の歩行訓練や体幹バランスの評価に活用しながら、リハビリの成果を上げていきましょう。

(参考資料: 江原義弘 歩行分析の基礎─正常歩行と異常歩行


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