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2026/02/25
女性のライフステージと歩行変化。妊娠から更年期まで「いつの間にか変わる歩き方」を読み解く
目次
女性の歩行は、年齢だけでゆっくり変化するものではありません。
妊娠・出産という短期間の大きな身体変化、そして更年期(プレ更年期~閉経前後)のホルモン変動は、骨盤・姿勢・足部・リズムに“まとまって”影響し、結果として歩き方が変わります。
多くの場合、その変化は急激ではなく、ある日ふと「歩きにくい」「靴が合わない」「疲れやすい」といった形で表面化します。
本稿では、まず健常女性の歩行を“基準”として捉え、そこから妊娠期・産後・更年期に起こりやすい変化を、骨盤の変化/姿勢変化/歩行リズム/足部の変化という観点で整理します。
最後に、こうした“気づきにくい変化”を可視化してケアにつなげる方法として、歩行分析の考え方にも触れます。
目次
まず「健常女性の歩行」を基準にする――歩行は“パラメータ”で語れる
ライフステージの変化を語るには、先に「基準となる歩行」を置くと理解が一気に進みます。
健常女性の歩行を、速度・立脚時間・歩幅・歩隔(足幅)・足角といった歩行パラメータで捉え、さらに筋力や足趾把持力などの身体機能との関連を見る研究があります。
そこでは、最速歩行と至適歩行(普段に近い速度)で、速度・立脚時間・歩幅・足角に有意差が見られ、歩隔には有意差が見られないなど、歩行が条件で変化することが示されています。
さらに、歩行パラメータと身体機能(大腿四頭筋、ハムストリングス、腓腹筋筋力、足趾把持力、最大一歩幅など)の関連が検討され、歩隔や立脚時間などが筋力・最大一歩幅と結びつく可能性が述べられています。
ここで大事なのは、歩行を「見た目」だけでなく、速度(どれくらいのテンポで進むか)、立脚時間(片脚で支えている時間)、歩幅(前へ進む量)、歩隔(左右の幅)、足角(つま先の向き)として捉えられる点です。
妊娠や更年期で起こる変化は、最終的にこれらのどれか、または複数に現れやすい。だからこそ、変化を早めに掴むには「パラメータで見る」視点が有効になります。
引用元:健常女性における歩行パラメータと身体機能との関連性
妊娠中の歩行。重心移動と骨盤周りの「制御」が難しくなる
妊娠期は、体重増加そのもの以上に、重心位置の変化と骨盤周囲(体幹・骨盤底・股関節)の負担増が歩行に影響しやすい時期です。
お腹が前方へ張り出すことで、立位姿勢でも歩行中でも、体は無意識にバランスを取り直します。結果として、腰部・股関節まわりの筋が緊張しやすくなり、歩行では「以前より歩幅が出ない」「脚が前に出しにくい」「左右に揺れる感じがする」といった主観につながりやすくなります。
文部科学省(スポーツ庁関連)のガイドでは、妊娠・出産期における運動の効果や、妊娠中・産後に運動を行う際の留意点が整理されており、妊娠中・産後の運動は健康面に寄与し得る一方で、医師・助産師の許可を得ることや、高温多湿の回避、脱水予防、転倒や衝突のリスクが高い運動を避けることなどが示されています。
この“安全配慮”が必要になる背景には、妊娠期の身体がバランス変化を抱え、歩行を含む動作全体で転倒リスクや疲労感が出やすい、という現実があります。
歩行パラメータの観点で見ると、妊娠期は立脚時間が長くなりやすい(=片脚支持の局面を慎重にする)、歩幅がやや短くなりやすい(=前へ出す量を抑える)、歩隔が広がりやすい(=支持基底面を広げて安定をとる)といった方向の変化が“起こりやすい”と考えると理解しやすいです。
ここでポイントは、これらが必ずしも「悪い」変化ではなく、身体が安全に適応している場合もあることです。ただし、適応が過剰になって腰痛や股関節痛、足の疲労につながる場合は、早めにケアが必要になります。
引用元:女子/女性のための 運動の効果がわかる ベーシック・ガイド
引用元:健常女性における歩行パラメータと身体機能との関連性
産後の歩行。「戻る途中」の体で歩く期間が長いことを前提にする
産後は、妊娠期に作られた姿勢・歩行の“クセ”がすぐに消えるわけではありません。
むしろ産後は、睡眠不足や抱っこ、授乳姿勢といった生活負荷が重なり、体幹や骨盤周りが回復途上のまま歩く期間が続きます。そのため「痛みはないのに疲れやすい」「長く歩くと骨盤周りが重い」「足がむくみやすい」といった不調が出ることも珍しくありません。
先のガイドでも、産後は徐々に運動を再開し、産後6〜8週を経て体調が許せばより負荷の高い運動も可能になる一方、少なくとも3か月は徐々に体を慣らす必要がある、といった考え方が示されています。
この「徐々に」という言葉が示す通り、産後の歩行は“元通りに戻す”というより、新しい生活に合わせて再調整する期間だと捉える方が現実に合います。
歩行をパラメータで見れば、妊娠期に変化した歩幅や立脚時間が、生活疲労や痛みの有無によって揺れ戻しを起こしやすい時期でもあります。
産後のケアで重要なのは、フォームを一気に正すことではなく、「疲れても崩れにくい」状態へ戻すことです。歩くたびに骨盤周りや腰が張る場合は、歩行そのものよりも、立位姿勢や体幹の支持、足部の接地感覚など、土台の再学習が必要になっている可能性があります。
更年期の歩行。ホルモン変動は「足」から歩行を変えることがある
更年期は、ホットフラッシュや気分変動など“全身症状”が注目されがちですが、歩行という観点では「足の変化」が見逃されやすいポイントです。
Nabosoの解説では、更年期に伴うエストロゲン低下が、コラーゲンや軟部組織の維持、関節の柔軟性に関与し、結果として足のアーチの崩れ(偏平足傾向)、関節のこわばりや痛み、足幅が広がるなどの形状変化が起こりやすい、と整理されています。
さらに、血流や末梢神経の働きの変化として、冷え、しびれ、ピリピリ感などの感覚変化に触れ、足部の固有感覚(床を感じる力)との関連にも言及しています。
足のアーチが低下すると、歩行はどこで変わるでしょうか。多くは「接地の安定性」と「蹴り出しの質」に出ます。接地が内側へ崩れれば、膝や股関節の回旋が連鎖的に変わり、骨盤の左右差が出やすくなります。蹴り出しが弱くなると歩幅が縮み、歩行速度が落ち、結果として歩行リズムが乱れて疲れやすく感じることもあります。
更年期の不調を「体調のせい」と一括りにしがちですが、実際には足部の構造変化が歩行全体へ波及している場合がある、という視点は非常に重要です。
更年期×運動「やるべき」より「続けられる」を優先すると歩行も整う
更年期の歩行変化に対して、いきなりフォーム矯正や強い筋トレへ走ると、続かないだけでなく痛みを増やすことがあります。そこで現実的なのは、「歩行そのもの」と同じくらい、歩行を支える体力と安定性を底上げする発想です。
文部科学省(スポーツ庁関連)の資料は、年代別に運動の効果を整理し、更年期における運動の効果の章立てを持つ“ベーシック・ガイド”として提供されています。
この種のガイドが強調するのは、特別な競技ではなく、日常に入れられる活動を含めて「体を動かすこと」を継続する価値です。歩行の観点で言えば、運動習慣は脚筋力やバランス能力の維持に寄与し、歩幅・立脚時間・リズムといったパラメータが崩れにくい状態を作ります。
更年期の足の変化(アーチ低下、こわばり、痛み)がある場合、運動の選択は特に慎重さが必要です。大切なのは、足への衝撃を増やすことではなく、足が床を捉えられる状態を保ちながら、下肢と体幹の協調を回復させることです。結果として歩行が安定し、疲労感が減る。
ここを目標にすると、「更年期の歩行」は過度に怖がる対象ではなく、ケアで十分に改善余地のあるテーマになります。
骨盤の変化と姿勢変化-歩行は「骨盤の置き方」で印象が変わる
妊娠期は腹部前方の負荷増加により、骨盤や腰椎のアライメントが変化しやすく、産後は生活負荷(抱っこ姿勢など)がそれを固定化しやすい。更年期は足部変化や筋力低下、柔軟性低下などが連鎖して骨盤の左右差を増やすことがあります。つまり骨盤は、ライフステージの影響が集まりやすい“ハブ”です。
ここで、最初に触れた健常女性の歩行研究の価値が出てきます。歩行は、歩幅や立脚時間といったパラメータが身体機能(筋力・足趾把持力・最大一歩幅など)と結びつく可能性が示唆されています。骨盤が不安定になると体幹の支持が落ち、片脚で支える局面(立脚)の質が下がります。
その結果、立脚時間の増加、歩幅の減少、歩隔の増加といった“安全優先”の歩行へ傾きやすくなります。これ自体は適応ですが、適応が続きすぎると疲労や痛みにつながるため、どこかで見直す必要が出てきます。
姿勢変化を「背すじを伸ばす」で終わらせないためには、骨盤と足部の関係を同時に見ることが大切です。
更年期の足アーチ変化が骨盤へ波及する可能性は、足部の構造変化が姿勢や歩行の癖に影響し得る、というNabosoの整理とも整合します。
歩行リズムの変化―「テンポが落ちる」の裏で起きていること
ライフステージによる歩行変化で、本人が最も気づきやすいのは「テンポ」です。妊娠中は慎重になることで速度が落ちやすく、産後は疲労で速度が落ちやすい。更年期は足のこわばりや痛み、バランスの不安が速度を下げやすい。速度が落ちると歩幅が縮み、歩幅が縮むと歩行の“推進”より“安定”が優先され、結果として歩行が硬く感じられることがあります。
健常女性の歩行研究でも、速度条件が変わると立脚時間や歩幅などが変化することが示されており、歩行のテンポは他のパラメータとセットで動くことがわかります。
更年期の足部変化(アーチ低下、関節のこわばり、足の形状変化)があると、接地の安心感が減り、無意識に速度が落ちることがあります。
このように、歩行リズムはメンタルの気分だけでなく、「足が床を安心して捉えられるか」「片脚で支えられるか」という身体側の条件で変わります。
だからこそ、リズムが乱れたときは「気合いで歩く」より、まず“どこが不安で速度を落としているのか”を特定するのが近道です。妊娠期ならバランス変化、産後なら疲労と体幹支持、更年期なら足部の感覚と構造。原因が違えば、対応も変わります。
引用元:更年期が足に与える影響 —プレ更年期から意識したい、足の変化とセルフケア Naboso (naboso.jp)
まとめ
妊娠中の歩行は、重心変化と骨盤周りの負担増から、安全優先のパターンへ寄りやすくなります。産後は回復途上の体に生活負荷が重なることで、歩行の癖が固定化しやすい時期です。更年期はホルモン変動の影響が足部(アーチ、関節、形状、感覚)に出て、そこから姿勢や歩行へ波及することがあります。
そして、歩行は速度・歩幅・立脚時間などのパラメータとして捉えられ、身体機能との関連も検討されています。
ここで現場的に一番重要なのは、「年齢のせいだから仕方ない」で終わらせないことです。歩行は変わりますが、同時に整え直す余地もあります。ただし、感覚だけで整えようとすると、忙しいライフステージほど後回しになりがちです。そこで有効になるのが、歩行をデータとして把握し、“今どこが変わっているか”を共有できる仕組みです。
たとえば歩行分析システム AYUMI EYE のように、歩行を見える形にして、速度・左右差・安定性などの変化を捉えられると、妊娠期は「無理のない範囲の維持」、産後は「回復の道筋づくり」、更年期は「足部変化の早期発見と崩れの連鎖予防」といった形で、ライフステージに合わせたケア設計がしやすくなります。女性の体は変化します。だからこそ、変化を前提に“測って、理解して、整える”。その流れを持てることが、長い目で見た歩きやすさと健康寿命に直結します。
(参考資料)
引用元:女子/女性のための 運動の効果がわかる ベーシック・ガイド
引用元:健常女性における歩行パラメータと身体機能との関連性
引用元:更年期が足に与える影響 —プレ更年期から意識したい、足の変化とセルフケア Naboso (naboso.jp)