楽しく続けられるレクリエーションで結果を見える化!
『介護レク広場』を運営するBCC株式会社が監修する、下肢の運動を目的としたタップダンスやボールを使ったレクリエーションプログラムを提供いたします。レクリエーションを『楽しむ』ことが、運動意欲の向上につながり、自然とご利用者の運動習慣につながることをサポートいたします。
インタビュー
お役立ち情報
トレーニング
一般向けコラム
介護系コラム
医療系コラム
歩行分析
疾患
筋肉・関節
VOICE
AYUMI EYEは、業種・業界を問わず、
これまで多くの企業・公共機関
(特殊法人や行政、学校等)に導入いただきました。
ここでは、お客様の声の一部をご紹介します。
2026/10/14
歩行の「ばらつき」は何を意味する?歩行変動性から考える身体機能と転倒リスク
目次
歩行速度・歩幅・歩行率——これらは歩行を評価する際に広く使われる指標です。しかし臨床現場では「歩行速度は正常範囲なのに転倒してしまう」「平均値では問題なく見えるのに歩き方が不安定に見える」という場面に遭遇することがあります。
この「平均値では見えない問題」を捉えるのが、歩行変動性(ばらつき)の評価です。一歩ごとの歩行周期時間のばらつきを示す「ストライドCV(変動係数)」は、他のどの身体機能指標よりも高齢者の転倒リスクを鋭敏に予測する指標として複数の研究で示されています。
今回は、歩行変動性とは何か、なぜ転倒リスクと強く関連するのか、そして臨床でどのように活用できるかについて詳しくご説明します。
目次
歩行変動性(ストライドCV)とは何か
歩行変動性とは、一歩ごとの歩行リズムのばらつきを数値化したものです。代表的な指標が「ストライドCV(Coefficient of Variation:変動係数)」です。
ストライドCV(%)=(歩行周期時間の標準偏差 ÷ 歩行周期時間の平均値)× 100
この値が小さいほど、一歩ごとの歩行リズムが一定で安定していることを意味します。逆に値が大きいほど、歩くたびにリズムが乱れ、安定性が低下していることを示します。
通常の歩行速度評価は「平均として何m/秒で歩いているか」を見るものですが、ストライドCVは「一歩一歩の時間がどれほど均一か」を見ます。同じ平均歩行速度でも、ストライドCVが高い人はリズムが不規則で転倒リスクが潜んでいる可能性があります。
(引用;ストライド分析の有効性!高齢者の転倒予防介入への期待 | 歩行分析システム AYUMI EYE)
研究が示すストライドCVと転倒リスクの関係
ストライドCVが転倒リスクの指標として優れていることを示す研究は複数存在します。
転倒経験者は「歩行周期時間の変動係数のみ」が有意に大きかった
地域在住高齢者を対象とした研究(J-STAGE掲載)では、転倒した高齢者の歩行周期時間の変動係数(ストライドCV)が転倒していない高齢者に比べ有意に大きかった一方で、歩行速度やTimed Up and Go Testなどの他の身体機能指標には有意差がなかったことが報告されています。
この結果は、ストライドCVが歩行速度などの一般的な評価では捉えられない転倒リスクを独立して予測できることを示す重要なエビデンスです。
(引用;高齢者の歩行周期時間変動に影響を及ぼす要因の検討 | 理学療法科学 31(2)| J-STAGE)
多重ロジスティック回帰で「歩行周期変動のみ」が転倒予測因子として抽出
地域在住高齢者124名(平均年齢74.2歳)を対象とした研究(J-STAGE・理学療法学掲載)では、歩行周期変動と多数の運動機能指標(10m快適歩行速度・最大歩行速度・TUG・6分間歩行・FRT・膝伸展筋力・30秒CST)との相関を調べた結果、すべての運動機能に有意な相関(|r|=0.31〜0.58)が認められました。
さらに多重ロジスティック回帰分析を行ったところ、歩行周期変動のみが転倒に関わる要因として独立して抽出されました。この研究は「歩行周期変動は総合的な歩行能力を示す指標であり、高齢者の転倒発生に関わる有用な指標である」と結論づけています。
(引用;10m歩行における歩行周期変動と運動機能,転倒との関連 | J-STAGE(理学療法学))
虚弱高齢者でも「歩行周期変動のみ」が転倒の規定因子
博士学位論文(桜美林大学)では、虚弱高齢者を対象にロジスティック回帰分析を行ったところ、小型加速度計による10m測定法での歩行周期時間の変動係数のみが転倒に関わる要因として抽出されました。「我々の考案した歩行周期変動評価は、他の運動機能評価に比べ、虚弱高齢者の転倒に関わる要因であるといえ、転倒予防のための評価項目として利用できる可能性がある」と示されています。
(引用;歩行周期変動評価の実用的な方法の確立(博士学位論文要旨)| 桜美林大学大学院)
なぜ「ばらつき」が転倒リスクを反映するのか
歩行のばらつきがなぜ転倒リスクと関連するのか、そのメカニズムを整理します。
歩行リズムの自動制御には「前頭葉+基底核+小脳」が関与する
健常な歩行では、一歩ごとのリズムは「自動的に」安定して刻まれます。これを支えているのが前頭葉の実行機能・基底核のリズム制御・小脳の運動協調というネットワークです。
加齢・神経疾患・認知機能低下などによってこのネットワークに支障が生じると、一歩ごとの制御が不安定になりリズムにばらつきが現れます。ストライドCVの増大は「脳-神経-筋肉の統合的な制御が乱れている」ことの反映なのです。
高齢者は歩行速度によらず「時間変動」が若年者より大きい
AYUMI EYEの解説によると、先行研究では高齢者はどの歩行速度においても若年者に比べて時間変動が大きいことが示されています。これは「歩行速度を維持できていても、リズムの安定性は別問題である」ということを意味し、歩行速度のみでは捉えられないリスクがばらつきとして現れることを示しています。
(引用;ストライド分析の有効性!高齢者の転倒予防介入への期待 | 歩行分析システム AYUMI EYE)
転倒経験者は「歩隔・歩行角」の代償戦略を取る
転倒経験高齢者の歩容を分析した研究(総合リハビリテーション45巻6号)では、転倒経験群は非転倒群と比べストライド・歩幅は有意に狭く、一方歩隔(両足の幅)は24.1%増大・歩行角は48.6%増大していました。
これは「転倒を経験した高齢者は、歩行の効率性よりも安定性を優先し、足を広げることで代償している」ことを示しています。このような代償パターンも歩行変動性の増大として現れるため、ばらつきの評価は転倒リスクの根本的な変化を捉えます。
(引用;転倒経験高齢者の短距離歩行分析による歩容の特徴 | 総合リハビリテーション 45巻6号)
歩行変動性の臨床的活用ポイント
ストライドCVを臨床評価に取り入れる際の実践的なポイントをご紹介します。
「平均値は正常」でもばらつきが大きければ介入が必要
歩行速度・歩幅の平均値が年齢相応の正常範囲内であっても、ストライドCVが高値を示す場合は転倒リスクが潜んでいます。ばらつきの評価を組み合わせることで、「平均値だけでは見えなかったハイリスク者」を早期に特定することができます。
継続測定で「変化のトレンド」を追う
ストライドCVは1回の測定値そのものより、3か月・6か月ごとの変化のトレンドを追うことに大きな意義があります。「ストライドCVが増加傾向にある」ことは神経系の制御能力の低下を示すサインであり、転倒リスクが高まっている可能性を示します。逆に介入後にCVが低下していれば、歩行リズムの安定化という客観的な改善を示すことができます。
転倒予防プログラムの効果測定として活用
ストライドCVはバランス訓練・デュアルタスクトレーニング・筋力強化などの転倒予防介入の効果を定量的に評価する指標として活用できます。「訓練前後でストライドCVが〇〇%改善した」という客観的なデータは、本人・家族・多職種チームへの説明において強力な根拠となります。
多指標との組み合わせで総合的に評価する
ストライドCVは単独で使うより、歩行速度・歩幅・TUG・バランス評価と組み合わせることでより精度の高い転倒リスク評価が実現します。「歩行速度は正常・TUGも問題なし・しかしストライドCVが高値」という組み合わせパターンが出たとき、神経系や注意機能の問題に着目した介入計画を立てることができます。
(引用;10m歩行における歩行周期変動と運動機能,転倒との関連 | J-STAGE(理学療法学))
まとめ
今回は「歩行の『ばらつき』は何を意味する?歩行変動性から考える身体機能と転倒リスク」についてご説明しました。
ストライドCV(歩行周期時間の変動係数)は、歩行速度やTUGなどの他の運動機能指標では捉えられない転倒リスクを独立して予測できる指標として複数の研究で示されています。「平均値は正常に見えても、一歩ごとのリズムが乱れている」——この状態を数値で捉えることが、見えないリスクを「見える化」する歩行変動性評価の本質です。
そこで最後に、歩行変動性を含む多面的な歩行評価を可能にする「AYUMI EYE」をご紹介します。
AYUMI EYEは、正しい歩行に必要な「バランス」「リズム」「推進力」を正確に測定・評価することができるデバイスです。
簡単かつ正確に歩行状態が分析できるため、歩行速度・歩幅といった平均値指標に加えて歩行リズムのばらつきを定期的に数値化し、高齢者の転倒リスクの早期発見と介入効果の客観的な評価を現場でサポートします。
ぜひ、歩行変動性の評価を転倒予防の臨床評価に組み込み、より精度の高いリスク管理と個別介入の実現を目指していきましょう。
(参考資料)
(引用;ストライド分析の有効性!高齢者の転倒予防介入への期待 | 歩行分析システム AYUMI EYE)
(引用;高齢者の歩行周期時間変動に影響を及ぼす要因の検討 | 理学療法科学 31(2)| J-STAGE)
(引用;10m歩行における歩行周期変動と運動機能,転倒との関連 | J-STAGE(理学療法学))
(引用;歩行周期変動評価の実用的な方法の確立(博士学位論文要旨)| 桜美林大学大学院)
(引用;転倒経験高齢者の短距離歩行分析による歩容の特徴 | 総合リハビリテーション 45巻6号)