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2026/07/14
歩き方は”第二のバイタルサイン”になる?医療現場で注目される新しい健康指標
目次
血圧・体温・脈拍・呼吸数——これらは医療現場で日常的に測定される「バイタルサイン(生命兆候)」です。そこに今、新たな指標が加わろうとしています。それが「歩行速度」です。
近年、国内外の研究が相次いで示しているのは、歩行速度が心臓・筋肉・脳・神経系の状態を総合的に反映する指標として、従来のバイタルサインに匹敵する健康予測能力を持つという事実です。すでに欧米では“第6のバイタルサイン”とも呼ばれ、医療・介護の現場で積極的に活用が進んでいます。
今回は、なぜ歩行データが次世代の健康指標として注目されているのか、そして医療DXの文脈でどのように活用が広がっているのかについて詳しくご説明します。
目次
歩行速度が”第6のバイタルサイン”と呼ばれる理由
バイタルサインとは「生きている証拠」を示す身体指標のことで、一般的には体温・脈拍・血圧・呼吸数の4つが基本とされています。近年はこれに痛みや血中酸素飽和度(SpO2)が加わり「5つ目・6つ目のバイタルサイン」として議論が進んでいますが、歩行速度もその候補のひとつとして研究者や臨床家の間で注目されています。
まつだ整形外科クリニックの解説によると、歩く速さは心臓・筋肉・脳・神経の状態を総合的に反映する指標であり、健康状態を測る「最も簡単で正確なテスト」と言われています。歩行速度は身体のあらゆるシステムの統合的なアウトプットであるため、ひとつの数値に全身の健康状態が凝縮されているのです。
(引用;「歩行スピードは”第6のバイタルサイン”」 | まつだ整形外科クリニック)
(引用;歩行速度は健康寿命のバロメーター?医療研究から見る「歩く速さ」の重要性 | 歩行分析システム AYUMI EYE)
歩行速度が予測できる7つの健康リスク
なぜ歩行速度がこれほど注目されるのか。それは、単なる「動く速さ」ではなく、驚くほど多くの疾患・リスクと関連することが科学的に示されているからです。
① 要介護リスクの予測
国立長寿医療研究センターの20年間の縦断研究(65歳以上・1,779名)では、歩行速度と要介護発生リスクの明確な関連が示されています。サルコペニア診断基準(AWGS2019)では秒速1.0m未満がカットオフ値として採用されており、日常生活で少し速く歩く習慣が要介護予防に直結することが示されています。
(引用;歩行速度と要介護との関連性 | 国立長寿医療研究センター)
② 心疾患・脳卒中・認知症リスクの低減
世界的な研究では、歩行速度が速い人ほど心筋梗塞・脳卒中・認知症のリスクが低いことが明らかになっています。健康寿命デザインが整理した研究文献によると、ニュージーランドの904名を対象とした50年間のコホート研究(JAMA Network Open掲載)では、45歳時点の歩行速度が脳の体積・皮質の厚さの減少など加齢の加速と関連していたことが示されています。また米国の13,535名の看護師を対象とした研究では、70歳過ぎの「サクセスフルエイジング(重篤疾患なし・認知正常・身体障害なし・メンタル良好)」と、その9〜15年前の歩行速度が関連していることも報告されています。
(引用;歩行速度と健康の関係を示す研究 | 健康寿命デザイン)
③ 死亡リスクの予測
歩行速度と死亡リスクの関係も強力なエビデンスがあります。ORPHE公式サイトの文献まとめによると、歩行速度が0.1m/秒低下するごとに死亡リスクが21%増加し、年間0.03m/秒の急速な低下は緩やかな低下(年間0.02m/秒)と比べて死亡リスクが90%高くなることが示されています。さらに年間0.05m/秒の速度低下は重要なシグナルとして、老年医学では警戒すべき変化とされています。
(引用;臨床で活用できる歩行パラメータ一覧 | ORPHE公式サイト)
④ フレイル・サルコペニアの診断
J-CHS基準(改定日本版フレイル診断基準)では歩行速度低下(毎秒1.0m未満)がフレイル診断の5項目のひとつに組み込まれています。AYUMI EYEの解説によると、歩行速度は筋力・立位バランス能・柔軟性・全身協調性を総合的に把握できる指標であり、歩行速度の低下は65歳以降から始まり男性は80歳以降・女性は75歳以降で日常生活への支障が顕著になるとされています。
(引用;歩行速度は健康寿命のバロメーター?医療研究から見る「歩く速さ」の重要性 | 歩行分析システム AYUMI EYE)
歩行分析が医療DXで果たす役割
歩行データが「第6のバイタルサイン」として確立されつつある今、医療現場ではIoT・ウェアラブルデバイスを活用した歩行モニタリングの実装が加速しています。
病院・介護施設での遠隔モニタリングへの応用
医療分野におけるIoTは「IoMT(Internet of Medical Things)」と呼ばれ、近い将来の必需品になると予想されています。ウェアラブル端末による生体データのリアルタイム送信は、すでに心拍数・血圧などのバイタル監視で実用化されており、そこに歩行データ(歩行速度・バランス・リズム)が加わることで患者の身体機能変化をより包括的に把握できます。
慶應義塾大学病院は「AIホスピタル構想」として、ウェアラブル端末で入院患者の心拍数を24時間監視し体調の急変を予測する研究を進めています。こうした先進事例は、歩行データのリアルタイムモニタリングが次の応用先となる未来を示しています。
(引用;医療DXにおけるIoTのメリットやスマートホスピタルについて解説 | TWOSTONE&Sons)
(引用;ウェアラブルデバイスとは?医療におけるIoTシステムの活用方法 | UPR)
在宅・地域での歩行データ活用
ヘルスケアIoT導入ガイド(GXO, 2026年版)によると、2026年は厚生労働省の「医療DX推進本部」の方針のもとヘルスケアIoTの導入が加速するターニングポイントとなっています。ウェアラブル端末が計測した健康データを患者が主治医に自動送信する仕組みにより、通院が困難な高齢者や遠隔地の方でも継続的な健康管理が可能になります。
歩行データは「毎日・自然に・侵襲なく」取得できるという点で他のバイタルサインにない優位性があります。血圧は測定を忘れることがあり、血液検査は採血が必要ですが、歩くだけで日常の健康状態を継続的に記録できる歩行分析は、在宅医療・予防医療の基盤データとして最適です。
(引用;ヘルスケアIoT導入ガイド | GXO(2026年版))
歩行速度の標準値と臨床的カットオフ値
歩行速度を医療指標として活用するには、標準値の理解が重要です。運動分析学入門の解説によると、成人の平均通常歩行速度は男性:約1.37m/秒(82m/分)・女性:約1.30m/秒(78m/分)とされています。不動産広告の「徒歩○分」も1分間80mを基準にしており、1分間80m(毎秒約1.3m)が日常の歩行速度の目安です。
臨床的には毎秒1.0m未満でフレイル・サルコペニアのリスクが高まり、毎秒0.8m未満で要介護リスクが著しく上昇するとされています。こうした定量的なカットオフ値の存在こそが、歩行速度をバイタルサインたらしめる強みです。
(引用;運動分析学入門:歩行を測る | UMIN)
歩行分析が拓く医療の未来
歩行データが医療に統合されることで、どのような変化が期待できるのでしょうか。
すでに「年0.05m/秒の歩行速度低下は重要なシグナル」という研究知見は、歩行データを経時的に蓄積・比較することの医学的意義を示しています。単発の測定ではなく継続的なトレンドの把握こそが、歩行データを真のバイタルサインとして機能させる鍵です。
(引用;歩行速度と健康の関係を示す研究 | 健康寿命デザイン)
まとめ
今回は「歩き方は”第二のバイタルサイン”になる?医療現場で注目される新しい健康指標」についてご説明しました。
歩行速度は要介護リスク・心疾患・認知症・死亡リスク・フレイルなど多岐にわたる健康指標と強い相関を持ち、“第6のバイタルサイン”として医療現場への定着が進んでいます。医療DXの加速とIoMTの普及により、「歩くだけで健康状態を継続記録・遠隔管理できる時代」がすでに始まっています。
そこで最後に、この新時代の歩行データ活用を支える「AYUMI EYE」をご紹介します。
AYUMI EYEは、正しい歩行に必要な「バランス」「リズム」「推進力」を正確に測定・評価することができるデバイスです。
簡単かつ正確に歩行状態が分析できるため、医療・介護・予防の各現場で「第6のバイタルサイン」としての歩行速度をはじめ、バランス・リズム・推進力を定期的に記録・比較し、個人の健康状態の変化をいち早く捉える包括的なモニタリングに貢献します。
ぜひ、歩行分析を次世代の健康管理の柱として活用し、患者・利用者の健康寿命延伸と質の高い医療・介護の実現を目指していきましょう。
(参考資料)
(引用;「歩行スピードは”第6のバイタルサイン”」 | まつだ整形外科クリニック)
(引用;歩行速度は健康寿命のバロメーター?医療研究から見る「歩く速さ」の重要性 | 歩行分析システム AYUMI EYE)
(引用;歩行速度と要介護との関連性 | 国立長寿医療研究センター)
(引用;歩行速度と健康の関係を示す研究 | 健康寿命デザイン)
(引用;臨床で活用できる歩行パラメータ一覧 | ORPHE公式サイト)
(引用;医療DXにおけるIoTのメリットやスマートホスピタルについて解説 | TWOSTONE&Sons)
(引用;ウェアラブルデバイスとは?医療におけるIoTシステムの活用方法 | UPR)
(引用;ヘルスケアIoT導入ガイド | GXO(2026年版))
(引用;運動分析学入門:歩行を測る | UMIN)