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ここでは、お客様の声の一部をご紹介します。
2026/06/07
歩行能力と認知機能の関係 ― 認知症予防に役立つ最新研究を解説
目次
「最近、歩き方が変わった気がする」「歩きながら話すのが難しくなった」——こうした変化は、単なる加齢のサインではなく、認知機能の変化を映し出している可能性があります。
歩行と脳の認知機能は密接に関わっており、歩行速度の低下・歩行リズムの乱れ・二重課題歩行の困難が、認知症の発症リスクを予測する指標になることが複数の研究で示されています。逆に言えば、歩くことで脳を活性化し、認知症を予防できる可能性もあるのです。
今回は、歩行能力と認知機能の関係を示す最新研究とともに、介護・リハビリ現場で活かせる評価・予防アプローチについて詳しくご説明します。
目次
歩行と脳はなぜ深くつながっているのか
歩行は「足だけで行う運動」ではなく、脳の複数の領域が同時に働く高度な認知・運動統合タスクです。
歩行中は、前頭葉(注意・判断)・頭頂葉(空間認識)・小脳(バランス・協調)・基底核(リズム制御)が連携して動き続けています。この複雑な神経ネットワークが適切に機能することで、安定した歩行が維持されます。
東京都健康長寿医療センター研究所によると、歩いたり皮膚を刺激したりすることで、脳内で神経伝達に関わるアセチルコリンが増加し、抗認知症薬と同じ効果が期待できるとされています。アルツハイマー型認知症ではアセチルコリンを作る神経細胞が減少するため、神経が病気で少なくなる前の段階に歩行などの身体刺激を習慣化することが、認知症予防において重要な意味を持ちます。
(引用;歩行は、なぜ認知症予防につながるのか? | 東京都健康長寿医療センター研究所)
(引用;第4章 認知症の予防 4.運動の視点から | 長寿科学振興財団)
歩行能力低下は認知症の「早期サイン」
複数の研究が、歩行能力の変化が認知機能低下の早期サインになることを示しています。
歩行速度の低下と認知機能の関係
東京都健康長寿医療センター研究所の研究では、日頃よく歩く人はテストの成績が良く、少なくとも1週間に90分(1日約15分)歩く人は週40分未満の人より認知機能が良いことが示されています。
また、国立長寿医療研究センターの研究では、認知機能低下のある高齢者では早期から歩行速度の低下・歩幅の短縮・歩行バランスの不安定など様々な歩容変化が認められ、認知機能障害の進行に伴い歩行機能も低下することが示されました。これらの歩容変化は前頭葉から頭頂葉にかけての脳室周囲病変と関連することも明らかにされています。
(引用;歩行は、なぜ認知症予防につながるのか? | 東京都健康長寿医療センター研究所)
(引用;認知症高齢者における歩容特徴と転倒リスクに関する研究 | 国立長寿医療研究センター)
「歩きながら話せない」は危険なサイン
歩行と認知機能の深い関係を示す重要な指標が、二重課題歩行(デュアルタスク歩行)です。
二重課題歩行とは、「歩く(運動課題)」と「考える(認知課題)」を同時に行う能力のことです。AYUMI EYEの解説によると、歩行中に話しかけると立ち止まってしまう高齢者は、将来転倒するリスクが高いという研究報告があります。
二重課題を遂行すると多くの場合、運動と認知のどちらか一方もしくは両方のパフォーマンスが低下します。「歩きながら話せない」「計算しながら歩くと速度が大幅に落ちる」といった変化は、前頭葉の実行機能低下のサインであり、認知症の早期発見につながる重要な評価指標とされています。
(引用;二重課題歩行とは?認知機能を高めて高齢者の転倒防止 | 歩行分析システム AYUMI EYE)
(引用;デュアルタスクで認知症予防 | 認知症ねっと)
歩行が認知機能を高める科学的メカニズム
歩行が認知機能の維持・向上に有効なのは複数のメカニズムが関与しています。長寿科学振興財団の資料では、運動が認知機能に影響する経路として以下の3つの階層が示されています。
① 生物学的メカニズム:脳血流・BDNF・シナプスへの直接的な影響
ウォーキングなどの有酸素運動により脳血流量が増加します。これに伴いBDNF(脳由来神経栄養因子)やIGF-1などの神経栄養因子が増加し、シナプス機能の向上と脳容量の増加をもたらし、認知機能の向上に直接寄与します。
また、愛知県大府市の実証実験では、MCI(軽度認知障害)のある高齢者に週2回・6か月間の運動プログラムを実施したところ、認知機能向上の効果が示されました。さらに、アルツハイマー型認知症の原因の一つとされるアミロイドβの脳内蓄積について、禁煙・運動・食事改善の継続によって蓄積を予防できることも示されています。
(引用;第4章 認知症の予防 4.運動の視点から | 長寿科学振興財団)
(引用;認知症予防に効果が期待できる運動を紹介 | 認知機能セルフチェッカー)
② 行動学的メカニズム:睡眠・疲労・身体活動レベルへの間接的な影響
運動による睡眠状態の向上が身体活動量を増やし、疲労感の低下が活動継続を促します。この身体活動レベルの向上が認知機能の改善につながるという間接的な経路も確認されています。定期的なウォーキング習慣が概日リズムの安定をもたらし、睡眠の質を高めることで脳の回復機能が最適化されます。
③ 社会心理学的メカニズム:うつ・自己効力感・社会的ネットワークへの影響
運動によるうつ症状の解消が認知機能を向上させ、社会的ネットワークの再構築にもつながります。グループウォーキングや地域の歩行イベントへの参加は、社会参加の促進による認知症予防効果も持ちます。さらに、運動による自己効力感の向上が認知的活動性を高めることも示されています。
(引用;第4章 認知症の予防 4.運動の視点から | 長寿科学振興財団)
(引用;エビデンスが裏付ける、本当に有効な認知症予防策とは? | 脳の健康を守る総合研究所)
歩行分析で認知機能低下を早期に把握する
歩行データは、認知機能低下の早期発見ツールとして注目されています。特に以下の歩行パラメータが認知機能との関連が深いとされます。
歩行速度・歩幅・歩行リズムのばらつき
歩行速度の低下・歩幅の短縮・歩行リズムの変動(ばらつき)は、認知機能低下の初期に現れやすい変化です。これらを定期的に数値として記録することで、「認知機能が変化し始めているかもしれない」というサインを客観的に捉えられます。
二重課題歩行の評価
二重課題歩行の評価では、通常歩行と認知課題を同時に行った際の歩行速度の低下量(デュアルタスクコスト)を算出します。このデュアルタスクコストが大きいほど、前頭葉の実行機能が低下していることを示します。
具体的な方法として「歩きながら100から7を引き続ける」「歩きながら動物の名前を言い続ける」などが代表的です。介護現場では、通常歩行と二重課題歩行の速度差が20%以上あると認知機能低下のリスクが高いとされています。
(引用;二重課題歩行とは?認知機能を高めて高齢者の転倒防止 | 歩行分析システム AYUMI EYE)
(引用;デュアルタスク(二重課題)で転倒・認知症を予防しよう! | 江古田の森)
認知症予防のための歩行習慣・リハビリ介入のポイント
歩行能力と認知機能の関係を活かした、認知症予防のための実践的なアプローチをご紹介します。
有酸素ウォーキングの継続(週150分以上)
WHOは成人に対し週150〜300分の中等度有酸素運動を推奨しています。海外の研究では、ウォーキングよりも強度の高い運動を週3回以上継続していた高齢者は、運動習慣のない高齢者と比べて認知症発症リスクが低いことも示されています。まず「1日15分・週5回のウォーキング」から始めることが、認知症予防への現実的な第一歩です。
(引用;認知症予防に効果が期待できる運動を紹介 | 認知機能セルフチェッカー)
二重課題トレーニングで脳と体を同時に鍛える
デュアルタスクトレーニングは認知症予防と転倒防止の両方に効果的です。代表的な方法として以下が挙げられます。
デュアルタスクトレーニングを続けることで、脳の前頭葉機能が活性化し、認知症予防と転倒リスクの低減が同時に期待できることが研究で示されています。
(引用;「運動」「認知的介入」による認知症リスク低減 | 40代からの認知症リスク低減機構)
認知機能低下と転倒リスクの連動評価
認知機能低下と転倒リスクは相互に関連しています。健康長寿ネットの資料によると、パーキンソン病や認知症などの中枢神経疾患は歩行障害やバランス障害をきたし、咄嗟の事態への反応速度の低下が転倒の直接原因となります。
このため、歩行分析による歩行速度・バランス・二重課題歩行の定期評価を組み合わせることで、認知機能低下と転倒リスクの両面を一度にスクリーニングできる包括的なアプローチが可能になります。
(引用;認知機能低下とフレイルおよび認知症と転倒 | 健康長寿ネット)
まとめ
今回は「歩行能力と認知機能の関係 ― 認知症予防に役立つ最新研究を解説」についてご説明しました。
歩行能力は認知機能の状態を映し出す鏡であり、歩行速度・歩幅・歩行リズムのばらつき・二重課題歩行能力は認知機能低下の早期サインとして機能します。一方で、定期的な有酸素ウォーキングとデュアルタスクトレーニングの継続は、脳血流改善・神経栄養因子の増加・社会参加促進という複合的な効果を通じて、認知症予防・転倒予防・健康寿命延伸に貢献します。
そこで最後に、認知症予防に役立つ歩行評価ができる「AYUMI EYE」をご紹介します。
AYUMI EYEは、正しい歩行に必要な「バランス」「リズム」「推進力」を正確に測定・評価することができるデバイスです。
簡単かつ正確に歩行状態が分析できるため、歩行速度・歩幅・歩行リズムのばらつきを定期的に数値で把握し、認知機能低下の早期サインの検出と、二重課題歩行トレーニングの効果測定に活用できます。
ぜひ、歩行分析を認知症予防の柱として活用しながら、利用者の脳の健康と健康寿命延伸を目指していきましょう。
(参考資料)
(引用;歩行は、なぜ認知症予防につながるのか? | 東京都健康長寿医療センター研究所)
(引用;第4章 認知症の予防 4.運動の視点から | 長寿科学振興財団)
(引用;認知症高齢者における歩容特徴と転倒リスクに関する研究 | 国立長寿医療研究センター)
(引用;二重課題歩行とは?認知機能を高めて高齢者の転倒防止 | 歩行分析システム AYUMI EYE)
(引用;デュアルタスクで認知症予防 | 認知症ねっと)
(引用;認知症予防に効果が期待できる運動を紹介 | 認知機能セルフチェッカー)
(引用;エビデンスが裏付ける、本当に有効な認知症予防策とは? | 脳の健康を守る総合研究所)
(引用;「運動」「認知的介入」による認知症リスク低減 | 40代からの認知症リスク低減機構)
(引用;認知機能低下とフレイルおよび認知症と転倒 | 健康長寿ネット)
(引用;デュアルタスク(二重課題)で転倒・認知症を予防しよう! | 江古田の森)