楽しく続けられるレクリエーションで結果を見える化!
『介護レク広場』を運営するBCC株式会社が監修する、下肢の運動を目的としたタップダンスやボールを使ったレクリエーションプログラムを提供いたします。レクリエーションを『楽しむ』ことが、運動意欲の向上につながり、自然とご利用者の運動習慣につながることをサポートいたします。
インタビュー
お役立ち情報
トレーニング
一般向けコラム
介護系コラム
医療系コラム
歩行分析
疾患
筋肉・関節
VOICE
AYUMI EYEは、業種・業界を問わず、
これまで多くの企業・公共機関
(特殊法人や行政、学校等)に導入いただきました。
ここでは、お客様の声の一部をご紹介します。
2026/10/28
痛みがなくても歩行は変化する?無症候性の身体機能低下と歩行分析の可能性
目次
「特に痛みはないけれど、なんとなく歩くのが億劫になった」「以前と比べて歩くのが遅くなった気がするが、どこも悪くないと言われた」——こうした訴えは、医療・介護の現場や日常生活でよく耳にします。
実は、身体機能の低下は「痛み」や「自覚症状」が出るよりも先に、歩行パターンの変化として現れることがあります。サルコペニア・神経系変性・認知機能低下など、自覚症状が乏しい段階でも、歩行速度・歩幅・リズムのばらつきといったデータは着実に変化しています。
今回は「無症候性の身体機能低下」と歩行変化の関係を整理し、歩行分析が早期評価ツールとして果たせる役割についてご説明します。
目次
「無症候性の身体機能低下」とは何か
無症候性の身体機能低下とは、自覚できる痛み・しびれ・倦怠感などの症状がないにもかかわらず、身体の機能が客観的に低下している状態を指します。
代表的なのがサルコペニア(加齢性筋肉減弱症)です。みんなの介護の解説によると、サルコペニアの初期症状として「無意識のうちに歩く速度が遅くなっていることがある」と指摘されており、横断歩道で信号が変わりそうになって初めて自分の歩行速度の低下に気づくというケースが示されています。
厚生労働省のサルコペニア定義では、骨格筋量の減少は25〜30歳頃から始まり、50歳以降は年間約1〜2%のペースで減少することが示されています(日本老年医学会の報告)。しかし多くの場合、本人はこの変化を自覚できません。筋力・バランス・歩行速度が低下していても「痛みがないから問題ない」と感じている状態が長く続くのです。
(引用;サルコペニアの症状とは?進行段階別にチェック | みんなの介護)
(引用;サルコペニア | 厚生労働省健康情報サイト(kennet))
痛みがなくても歩行が変化する3つの主なメカニズム
なぜ自覚症状がない段階から歩行パターンが変化するのでしょうか。主な3つのメカニズムを確認します。
① サルコペニアによる筋力・推進力の低下
サルコペニアでは抗重力筋(広背筋・腹筋・膝伸筋群・臀筋群など)の筋量が優先的に低下します。厚生労働省健康情報サイトの解説によると、これらの抗重力筋が低下すると「立ち上がりや歩行が徐々に億劫になる」一方で、初期段階では「痛みとしての自覚はない」状態が続きます。
歩行への影響として最初に現れるのが推進力の低下と歩幅の短縮です。蹴り出しのパワーが減少し、一歩が短くなります。AWGS2019(アジアのサルコペニア診断基準)では歩行速度1.0m/秒未満がサルコペニアの身体機能低下基準の一つですが、自覚症状なしにこの閾値に近づいていくというプロセスが多くの高齢者に起きています。
(引用;サルコペニアとは?症状や原因、診断方法 | MYメディカルクリニック)
(引用;サルコペニアとは?筋肉が落ちる原因と症状、予防法 | リハクラウド)
② 神経変性疾患の前段階での歩行変化
パーキンソン病・正常圧水頭症などの神経変性疾患でも、診断が確定するより前から歩行パターンに変化が現れることがあります。MSDマニュアル(プロフェッショナル版)では、パーキンソン病の歩行の特徴として「歩行速度の低下・歩幅の減少・すくみ足・加速歩行」が示されており、これらは診断前から徐々に出現することが臨床的に知られています。
日本リハビリテーション医学会誌掲載の解説(「歩行障害の種類と原因疾患」)でも、「変形性膝関節症には内側型(O脚)と外側型(X脚)があり、特徴的な歩行障害をきたす」「末梢神経障害による感覚障害・深部感覚障害は感覚性の失調歩行をきたす」と示されており、これらの変化は「症状として自覚するより先に、歩容の変化として現れる」場合があります。
(引用;高齢者の歩行障害 | MSDマニュアル プロフェッショナル版)
(引用;歩行障害の種類と原因疾患 | 日本リハビリテーション医学会誌 55巻9号 | J-STAGE)
③ 認知機能低下の先行指標としての歩行変化
認知症・MCIにおいても同様で、自覚症状が出る前から歩行速度が低下していることが研究で示されています。オレゴン健康科学大学の研究では、軽度認知障害(MCI)と診断されるより平均12年前から歩行速度の低下が始まっていることが示されています(既報の通り)。
認知機能低下による歩行への影響は「歩行速度の低下」だけでなく、歩行リズムのばらつき(変動係数の増大)としても早期に現れます。「特に問題ないように見えるが、歩行のリズムが微妙に乱れている」という変化は、本人も周囲も気づきにくい「無症候性の変化」として歩行データにのみ捉えられる情報です。
歩行分析が「無症候性の変化」を捉えられる理由
なぜ歩行分析は自覚症状のない段階の変化を捉えられるのでしょうか。
歩行は「全身の統合アウトプット」
歩行は筋骨格系・神経系・心肺系・認知系が統合的に動作する行為です。そのため、いずれかのシステムで小さな変化が起きると、それが歩行パターンという「統合アウトプット」に反映されます。自覚症状は「閾値を超えた変化」として意識に上るものですが、歩行データは「閾値以前の微細な変化」も捉えられる可能性があります。
MSDマニュアル(家庭版)では、「歩行が始まると、一歩一歩のタイミングはほとんど変動せず、連続的な足の運び方になる」と示されています。逆に言えば、一歩一歩のタイミングにばらつきが生じ始めることは、その統合システムに変化が起きているサインです。
(引用;高齢者の歩行障害 | MSDマニュアル 家庭版)
「平均値」の変化だけでなく「ばらつき」が先行サインになる
無症候性の変化を捉える上で特に重要なのが、歩行変動性(ばらつき)の評価です。歩行速度の平均値が正常範囲内であっても、一歩ごとの歩行周期時間のばらつき(ストライドCV)が増大していれば、神経系の制御能力の変化が始まっている可能性があります。
この「平均は正常だが、ばらつきは変化している」という状態は、問診・観察・通常の体力測定では捉えにくく、歩行分析でのみ数値化できる情報です。自覚症状が出る前段階のサインとして、このばらつきの増大は臨床的に重要な意義を持ちます。
継続記録が「変化の傾き」を見せる
無症候性の変化を捉えるには、1回の測定だけでは不十分です。3か月・6か月ごとの定期的な歩行データの蓄積によって「歩行速度が緩やかに低下している傾向」「ストライドCVが増加傾向」という変化のトレンドが初めて見えてきます。「今の数値が正常かどうか」だけでなく「どの方向に変化しているか」を追うことが、無症候性機能低下の早期発見の鍵となります。
無症候性変化の早期発見に歩行分析を活かす実践ポイント
歩行分析を無症候性の機能低下の早期発見に活かすための実践的なアプローチをご紹介します。
スクリーニングとして定期歩行測定を導入する
健康診断・介護予防検診・外来フォローアップなどの場面で、歩行速度・歩幅・ストライドCVの定期測定を組み込むことで、自覚症状がなくても機能変化を追跡できます。AWGS2019基準の歩行速度1.0m/秒を一つの指標としながら、それよりも変化の傾きそのものに着目することが早期発見につながります。
「痛みがない」は「問題がない」ではない、と伝える
利用者・患者への説明の場面では「痛みがないから大丈夫」という誤解を解くことが重要です。「筋肉は痛みなく減少する」「歩行速度はゆっくりと、本人が気づかないペースで低下する」という事実を、歩行データという客観的な数値を示しながら伝えることで、予防行動への動機づけが生まれます。
異常な歩行パターンを疾患別に理解して評価に活かす
MSDマニュアルや日本リハビリテーション医学会誌が整理するように、歩行障害には疾患ごとの特徴的なパターンがあります。
こうした疾患別の特徴パターンと、歩行分析データ(バランス・リズム・推進力)を照合することで、無症候性の段階でも「どの疾患・機能低下の方向に向かっているか」を推測する手がかりが得られます。
(引用;歩行障害の種類と原因疾患 | 日本リハビリテーション医学会誌 55巻9号 | J-STAGE)
まとめ
今回は「痛みがなくても歩行は変化する?無症候性の身体機能低下と歩行分析の可能性」についてご説明しました。
サルコペニア・神経変性・認知機能低下などの身体機能低下は、自覚症状が出るより先に歩行パターンとして現れることがあります。「痛みがない=問題ない」は誤りであり、歩行速度・歩幅・ストライドCVといったデータを定期的に記録・比較することで、「見えない機能低下」を数値として早期に捉えることが可能になります。
そこで最後に、無症候性の身体機能低下の早期発見に活用できる「AYUMI EYE」をご紹介します。
AYUMI EYEは、正しい歩行に必要な「バランス」「リズム」「推進力」を正確に測定・評価することができるデバイスです。
簡単かつ正確に歩行状態が分析できるため、自覚症状がない段階から歩行速度・歩幅・歩行リズムのばらつきを継続的に記録し、無症候性の機能変化を「変化のトレンド」として可視化する早期スクリーニングに活用できます。
ぜひ、「痛みがないから大丈夫」ではなく「歩き方のデータが示すサインを見逃さない」という評価の視点を、現場に取り入れてみてください。
(参考資料)
(引用;サルコペニアの症状とは?進行段階別にチェック | みんなの介護)
(引用;サルコペニア | 厚生労働省健康情報サイト(kennet))
(引用;サルコペニアとは?症状や原因、診断方法 | MYメディカルクリニック)
(引用;サルコペニアとは?筋肉が落ちる原因と症状、予防法 | リハクラウド)
(引用;高齢者の歩行障害 | MSDマニュアル プロフェッショナル版)
(引用;高齢者の歩行障害 | MSDマニュアル 家庭版)
(引用;歩行障害の種類と原因疾患 | 日本リハビリテーション医学会誌 55巻9号 | J-STAGE)