歩行訓練のやり方6つ!効果やポイントを徹底紹介!

「どんな歩行訓練をすればいいだろうか」
「自分のやっている歩行訓練は正しいのだろうか」
「歩行訓練の効果やポイントについて具体的に知りたい」

など、歩行訓練のやり方や効果、訓練のポイントを知りたいと思う理学療法士さんは多いと思います。

歩行訓練には様々な方法がありますが、どんなやり方があるかを知りたい方のために、歩行訓練のやり方6つと、それぞれの効果やポイントを徹底的にご紹介致します。

日々の臨床で役立つ歩行訓練をご紹介致しますので、是非参考にしてみてください。

正しい歩き方を知り、歩行訓練を行おう

正しい歩き方とは、どのような歩き方なのでしょうか。

正しい歩き方と異常な歩き方をはっきりと区別するのは正直難しいのが現状です。

一般的に正しい歩き方は、健常者の歩行を基準としています。

しかし、健常者の歩行にも幅があり、一概に正しい歩き方を決めるのは難しいのです。

そこで、正しい歩き方を自然体の歩き方、効率の良い歩き方と捉えると良いでしょう。

自然体で効率の良い歩き方は、以下のような3つの特徴があります。

1,適切な歩行周期によるリズム歩行
2,エネルギー効率の良い歩行
3.バランスの取れた歩行

これらのポイントを押さえた歩き方を目標に歩行訓練を行うことが大切だと言えます。

歩行のチェックポイント

歩行をチェックするには、やり方とポイントがあります。

まず初めに、歩行動作を全体的に把握することが必要となります。

つまり、歩行を全体的な流れとして評価するのです。

歩行動作を全体的に把握することができたら、次は歩行をさらに細分化し、それぞれの特徴を評価することにより、患者さんの歩行問題点を捉えていきます。

このように、まずは全体的に歩行を捉えた後、さらに細分化して問題点を捉えていくというのが一般的な歩行分析のやり方です。

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前歩き

前歩きとは、いわゆる日常生活で行っている普通の歩行です。

つまり、人間が前に進むために通常行っている歩行をイメージするとよいでしょう。

前歩きの効果や使う筋肉、歩行訓練のやり方やポイントについてご紹介します。

前歩きの効果・筋肉

前歩きの効果は、全体的にバランス良く筋力向上させることのできる効果があり、さらに長時間の歩行により、耐久性向上の効果もあります。

前歩きの歩行訓練やり方

前歩きは通常歩行を意識し、より効率的でスムーズ、滑らかな歩行を意識した歩き方に近づけるよう訓練する必要があります。

TUGテスト8の字歩行テスト10m歩行テストなどを実施し、標準と比較していくことが大切になります。

前歩きのポイント

前歩きに関しては、特別に注意すべきポイントはありませんが、極端に通常歩行から逸脱している場合や、個人の歩き方の特性を分析することが大切と言えます。

横歩き

横歩きとは、横方向に進む横向きの歩き方を示します。

カニの歩き方が例に出されることの多い歩き方です。

横歩きの効果や使う筋肉、歩行訓練のやり方やポイントについてご紹介します。

横歩きの効果・筋肉

横歩きの効果は、股関節外転筋(中殿筋など)の筋力強化です。

股関節疾患による跛行で日常生活の能力低下が生じるケースは多く、リハビリテーションとして股関節外転筋の強化は必須となります。

横歩きはCKCトレーニング(体の末端部分が床などに接した状態で固定された状態での運動)として股関節外転筋を強化する方法になります。

横歩きの歩行訓練のやり方

基本的には、歩行の中で股関節外転筋の収縮を意識した歩行訓練を行います。

つまり、中殿筋の強化を意識した横歩きをアシストすると良いでしょう。

そのためには、正中位での横歩きが重要となります。

セラピストは、患者さんの中殿筋を触診しながら横歩きを行い、中殿筋の収縮を確かめながら行うと良いでしょう。

ただ横歩きをするだけでは負荷量の調整はできません。

負荷量を増やして、より中殿筋の強化を目指した横歩きの歩行訓練を行う場合は、セラバンドを使用することをお勧めします。

両足を肩幅に開き、その状態で両足を一周するようにセラバンドを巻き、横歩きをすることにより負荷が増大します。

セラバンドの強度を徐々に強めるなどして、段階的に訓練をしていくと良いでしょう。

横歩きのポイント

横歩きをする際、体幹が前傾位になってしまうと、中殿筋ではなくて大腿筋膜張筋の強化になってしまうため、正中位の姿勢での横歩きが行われているか注意しながら進めることがポイントです。

加齢による円背、骨盤後傾の高齢者の場合、体幹・股関節を正中位にもっていくことはアライメント的に難しいため、中殿筋の強化としては難しいと言えるでしょう。

後ろ歩き

後ろ歩きは、後方に向かって歩くことを示します。

つまり、体は前を向いたまま後ろ方向に進むように歩行を言います。

後ろ歩きの効果や使う筋肉、歩行訓練のやり方やポイントについてご紹介します。

後ろ歩きの効果・筋肉

後ろ歩きの関節運動と筋活動を調べた研究によると、前歩きと後ろ歩きの違いは「足関節」にあると報告されています。

特に、足関節背屈可動域がより顕著に大きくなることが示されています。

つまり、後ろ歩きを行うことで足関節背屈のストレッチ効果があると言えるでしょう。

筋肉に関しては、前歩きに比べて後ろ歩きで中殿筋、 大腿二頭筋、大腿直筋、内側広筋、前脛骨筋、腓腹筋の筋活動量が増え、歩行が早くなるに連れて筋活動量は増えると報告されています。

このように、後ろ歩きは前歩きよりも非効率であり疲労しやすいといえます。

そのため、前歩きの訓練をするよりも効率的に筋力を発揮する練習であると言えます。

後ろ歩きの歩行訓練やり方

後ろ歩き歩行訓練は、転倒への注意が必要です。

後ろ方向に歩く時、顔を後ろに振り向いていないと安全確認ができません。

不安とリスクを伴う歩き方なので、セラピストは十分にリスク管理をする必要があります。

初めは平行棒内を持って歩き、慣れてきたら平行棒内で棒を持たず歩くなど、段階的に行うと良いでしょう。

後ろ歩きのポイント

後ろ歩きのポイントですが、何のために後ろ歩きの歩行訓練をするのかきちんと考え、患者さんに伝えてから行うことが大切です。

見えない方向に歩くのですから、患者さんは不安を伴います。

後ろ歩きによる効果だけでなく、日常生活のどんな場面で必要になるかも説明できると説得力があります。

例えば、ドアを引く際には数歩後ろ歩きを行いますよね。

このように、実用的な場面での後ろ歩き練習を取り入れることで、訓練へのモチベーション向上に繋がります。

大股歩き

大股歩きとは、歩幅を大きくして大股で歩くことを示します。

大股歩きの効果や使う筋肉、歩行訓練のやり方やポイントについてご紹介します。

大股歩きの効果・筋肉

大股歩きの効果として、高齢者の意識歩行を調査した研究によると、歩幅を広くすることを意識すると、蹴り出し力が強く働き、下肢の関節可動域が増大し、足腰を鍛えて歩行能力を高めることができると報告しています。

また、パーキンソン病で小刻み歩行を呈している患者さんにも、意識的に大股歩きをするよう声をかけると歩容が改善されます(逆説歩行)。

大股歩きによって歩幅を広くすることは、股関節屈筋群の1つである腸腰筋が大きく関係していると報告されています。

特に、遊脚相後半の腸腰筋の筋活動が大きくなることが示されています。

大股歩きの歩行訓練やり方

大股歩きの歩行訓練は、患者さん本人が意識的に行うことが大切です。

初めは大股で歩いていても、徐々に普通の歩幅に戻ってしまうケースは多いです。

そこで、床にテープなどで目印をして、そのテープを超えるように歩いて下さいと声掛けすることで意識を向けることが可能になります。

大股歩きのポイント

床にテープで目印をするとお伝えしましたが、どこにでもテープを貼れるとは限りません。

意識するポイントとしてさらに、「腕を大きく振ること」「踵から接地すること」の2点を指導すると良いでしょう。

縦足歩き

縦足歩きは、「継ぎ足歩行」や「タンデム歩行」とも呼ばれる歩き方です。

片方の足の爪先に、もう片方の足の踵を付け、継いで歩くことを示します。

一本の線の上や、平均台の上を歩く姿をイメージすると分かりやすいと思います。

縦足歩きの効果や使う筋肉、歩行訓練のやり方やポイントについてご紹介します。

縦歩きの効果・筋肉

縦歩きは、歩隔が小さく支持基底面が極端に狭くなり、左右のバランスがとても不安定になるのが特徴です。

ベルグバランステスト(BBS)という歩行バランスを評価する検査の1項目でもあります。

体幹失調など協調性低下によるバランス障害の患者さんが最も苦手とする歩き方です。

逆に考えると、縦歩きにより体幹の強化や協調性改善への効果が期待できると言えます。

筋肉に関して言えば、やはり中枢部の筋力強化、つまり体幹筋や股関節周囲筋、骨盤周囲筋などの強化に役立ちます。

縦歩きの歩行訓練のやり方

初めから縦歩きを患者さんに要求すると、難しい場合が多く転倒リスクもあります。

まずは、平行棒内を持ってバランスをとりながら歩き、徐々に手の補助を外していくよう段階的に行いましょう。

平行棒内の真ん中にテープを真っ直ぐ貼り、その上を歩くよう声をかけると良いでしょう。

フリーハンドで行う場合は、リスク管理を徹底しましょう。

縦歩きのポイント

つま先と踵を付けて継ぎ足の体勢をとるのが難しい場合は、つま先と踵の間を少し開けて歩くとバランスがとりやすくなります。

また、真っすぐに歩くことが難しい場合は、少しだけ左右に足を開いて行います。

ニーヴェンウォーク

ニーヴェンウォークとは、膝を曲げて重心を低くした状態で歩くことを示します。

少しコサックダンスに似ています。

ニーヴェンウォークの効果や使う筋肉、歩行訓練のやり方やポイントをご紹介します。

ニーヴェンウォークの効果・筋肉

膝を曲げた状態で歩くので、膝周囲の筋力はかなり鍛えられます。

つまり、大腿四頭筋やハムストリングスの同時収縮には最適な歩行です。

下肢全体(特に後ろ側の筋肉:大殿筋、ハムストリングス、下腿三頭筋)を強化できます。

ニーヴェンウォークの歩行訓練のやり方

猫背にならず背筋はまっすぐ、膝を曲げて重心を低くし、左右広めに足を開き、つま先を上げて踵から接地し、前進します。

ニーヴェンウォークのポイント

今までご紹介してきた歩行と比べると、全体的に下肢の筋力が多く必要となる歩き方です。

患者さんの筋力やバランスを考慮して導入することをお勧めします。

まとめ

歩行訓練のやり方6つと、それぞれの効果やポイントを徹底的にご紹介致しました。

前歩きだけが歩行訓練ではないことを知って頂けたのではないかと思います。

それぞれの歩行訓練で目的と効果は違うので、個々の患者さんに合わせた歩行訓練を選択することが大切です。

何か1つでも参考にしていただけると幸いです。

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