PREMIUM COLUMN
2022/07/30
目次
「歩隔」という言葉をご存知でしょうか。
「歩幅とどうちがうの?」と思われた方もいらっしゃるかもしれません。
今回は「歩隔」とは何か、またその変化が歩行にあたえる影響についてご紹介します。
歩隔とは、歩くときに片足のかかとが地面についてから、反対側のかかとが地面についたときの踵と踵の横方向の距離のことです。
縦方向の距離は歩幅とよびます。
つまり、歩隔の広い歩行とは足を両側に大きく広げた歩行、歩隔の狭い歩行とは両足の距離を近づけるような歩行のことを言います。
ちなみに、歩幅の大きい歩行は一歩が大きいもの、小さい歩行は一歩が小さいものということになります。歩幅を大きくすればより早く歩くことができますが、歩隔と歩行の関係はいったいどうなっているのでしょうか。
皆さんははじめて立ったとき、歩いたときのことをおぼえていますか。
覚えている人はいないと思うので赤ちゃんがはじめて立ったり、歩いたりするときのことを想像してみてください。
一生懸命何かにつかまり立ちをした後、手を挙げて、足を大きく横に開きながら、大きく体を横に振りながら歩いていましたよね。
歩隔は横方向のからだの揺れを抑えるために重要で、歩き始めたばかりの乳児は最初の6か月で歩行速度が3倍に、そして歩隔は半分になるといわれています。※1
このように歩行の安定性を獲得するにつれ、歩隔がせまくなっていきます。
一方で、妊婦さんや高齢者では歩隔が広くなっていくことが知られており、歩行が不安定になると歩隔を広くしてバランスを保とうとすることがわかります。※2 ※3
実験環境で、歩隔を広くすると若くて元気な人であっても歩行中の重心の揺れが小さくなり、歩隔を狭くすると揺れが大きくなることもわかっています。※4
さらに、歩行中にどこに足をつくのかは、足が浮いているときの重心の位置によって決まるという研究もおこなわれており、歩行の安定性と歩隔は切っても切れない関係なのです。※5
歩行の安定性と歩隔の関係についてお話ししましたが、実はそれ以外にも歩隔が影響を与えるものがあります。それは、関節への負荷です。
変形性膝関節症や変形性股関節症など関節を痛めている患者さんにとって、歩行中の膝・股関節に対する負荷を少なくすることは重要です。
歩隔を少し広くして歩くと膝・股関節に対する負荷が小さくなるという研究結果がでています。※6
インソールを用いて歩行中の負荷を減らす方法もよく知られていますが、歩隔を広くするのには道具を必要とせず、容易に取り組めるため魅力的な方法です。
ただし、あまりにも歩隔を広くし過ぎると上半身が大きく左右に揺れてしまうことがあるため、適切な範囲で行うことが重要です。
歩行の安定性は、転倒しないためにも重要です。
歩行中の重心の揺れを観察しながら、あえて歩隔を狭くしてバランスをとりにくい状況をつくることで歩行の安定性を高めるトレーニングを行うことができます。
歩行中の重心の揺れは、加速度センサーが内蔵された機器を用いれば簡単に確認することができます。
いかがでしたでしょうか。
今回は、歩くときの横方向の踵どうしの距離である歩隔について説明し、歩行の安定性や関節負荷との関係性について解説しました。
AYUMI EYEには三軸加速度センサーが内蔵されており、歩行中の重心の揺れを簡単に知ることができます。
皆さんも、ご自身の歩行の安定性をチェックして、歩隔を広くしたり狭くしたりしながら、転倒予防のためにトレーニングをしてみませんか。
参考文献
※1 Bril B et al. Postural Requirements and Progression Velocity in Young Walkers. J Mot Behav, 24 1992. 105-116
※2 Conder R et al. The Biomechanics of Pregnancy: A Systematic Review. J Funct Morphol Kinesiol. 4(4) 2019 .72
※3 Skiadopoulos et al. Step width variability as a discriminator of age-related gait changes. J Neuroeng Rehabil. 2020 Mar 5;17(1):41.
※4 河原常郎ほか4ワイドベース歩行の有効性の検証~三次元動作解析装置を用いて~臨床バイオメカニクス.37 2016.353-357
※5 Bruijn SM et al. Control of human gait stability through foot placement, J R Soc Interface, 15(143)2018.
※6 Stief et al. Impact of subject-specific step width modification on the knee and hip adduction moments during gait. Gait Posture. 89 2021. 161-168
AYUMI EYEはご利用者様の腰に専用ベルトを用いて装着し、10m歩くだけで評価を行うことが可能です。
バランスや歩行速度などがその場でiPad専用アプリにて解析され、結果が点数・マップ化してすぐに見ることができます。
測定者の評価の効率が上がるとともに、ご利用者様にもその場で結果を共有できるため、歩行の改善や歩行補助具の選定があっているのか、互いに確認することができます。
簡便な操作で分かりやすい結果をフィードバックできるAYUMI EYEを使用し、歩行分析を行ってみてはいかがでしょうか。
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2022/07/30
歩行中の歩隔変化が歩行安定性に及ぼす影響
目次
「歩隔」という言葉をご存知でしょうか。
「歩幅とどうちがうの?」と思われた方もいらっしゃるかもしれません。
今回は「歩隔」とは何か、またその変化が歩行にあたえる影響についてご紹介します。
目次
「歩隔」とは
歩隔とは、歩くときに片足のかかとが地面についてから、反対側のかかとが地面についたときの踵と踵の横方向の距離のことです。
縦方向の距離は歩幅とよびます。
つまり、歩隔の広い歩行とは足を両側に大きく広げた歩行、歩隔の狭い歩行とは両足の距離を近づけるような歩行のことを言います。
ちなみに、歩幅の大きい歩行は一歩が大きいもの、小さい歩行は一歩が小さいものということになります。歩幅を大きくすればより早く歩くことができますが、歩隔と歩行の関係はいったいどうなっているのでしょうか。
歩隔の変化と歩行安定性
皆さんははじめて立ったとき、歩いたときのことをおぼえていますか。
覚えている人はいないと思うので赤ちゃんがはじめて立ったり、歩いたりするときのことを想像してみてください。
一生懸命何かにつかまり立ちをした後、手を挙げて、足を大きく横に開きながら、大きく体を横に振りながら歩いていましたよね。
歩隔は横方向のからだの揺れを抑えるために重要で、歩き始めたばかりの乳児は最初の6か月で歩行速度が3倍に、そして歩隔は半分になるといわれています。※1
このように歩行の安定性を獲得するにつれ、歩隔がせまくなっていきます。
一方で、妊婦さんや高齢者では歩隔が広くなっていくことが知られており、歩行が不安定になると歩隔を広くしてバランスを保とうとすることがわかります。※2 ※3
実験環境で、歩隔を広くすると若くて元気な人であっても歩行中の重心の揺れが小さくなり、歩隔を狭くすると揺れが大きくなることもわかっています。※4
さらに、歩行中にどこに足をつくのかは、足が浮いているときの重心の位置によって決まるという研究もおこなわれており、歩行の安定性と歩隔は切っても切れない関係なのです。※5
歩隔と関節負荷
歩行の安定性と歩隔の関係についてお話ししましたが、実はそれ以外にも歩隔が影響を与えるものがあります。それは、関節への負荷です。
変形性膝関節症や変形性股関節症など関節を痛めている患者さんにとって、歩行中の膝・股関節に対する負荷を少なくすることは重要です。
歩隔を少し広くして歩くと膝・股関節に対する負荷が小さくなるという研究結果がでています。※6
インソールを用いて歩行中の負荷を減らす方法もよく知られていますが、歩隔を広くするのには道具を必要とせず、容易に取り組めるため魅力的な方法です。
ただし、あまりにも歩隔を広くし過ぎると上半身が大きく左右に揺れてしまうことがあるため、適切な範囲で行うことが重要です。
歩行安定性のトレーニング
歩行の安定性は、転倒しないためにも重要です。
歩行中の重心の揺れを観察しながら、あえて歩隔を狭くしてバランスをとりにくい状況をつくることで歩行の安定性を高めるトレーニングを行うことができます。
歩行中の重心の揺れは、加速度センサーが内蔵された機器を用いれば簡単に確認することができます。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
今回は、歩くときの横方向の踵どうしの距離である歩隔について説明し、歩行の安定性や関節負荷との関係性について解説しました。
AYUMI EYEには三軸加速度センサーが内蔵されており、歩行中の重心の揺れを簡単に知ることができます。
皆さんも、ご自身の歩行の安定性をチェックして、歩隔を広くしたり狭くしたりしながら、転倒予防のためにトレーニングをしてみませんか。
参考文献
※1 Bril B et al. Postural Requirements and Progression Velocity in Young Walkers. J Mot Behav, 24 1992. 105-116
※2 Conder R et al. The Biomechanics of Pregnancy: A Systematic Review. J Funct Morphol Kinesiol. 4(4) 2019 .72
※3 Skiadopoulos et al. Step width variability as a discriminator of age-related gait changes. J Neuroeng Rehabil. 2020 Mar 5;17(1):41.
※4 河原常郎ほか4ワイドベース歩行の有効性の検証~三次元動作解析装置を用いて~臨床バイオメカニクス.37 2016.353-357
※5 Bruijn SM et al. Control of human gait stability through foot placement, J R Soc Interface, 15(143)2018.
※6 Stief et al. Impact of subject-specific step width modification on the knee and hip adduction moments during gait. Gait Posture. 89 2021. 161-168
歩行解析デバイスAYUMI EYEで歩行分析
AYUMI EYEはご利用者様の腰に専用ベルトを用いて装着し、10m歩くだけで評価を行うことが可能です。
バランスや歩行速度などがその場でiPad専用アプリにて解析され、結果が点数・マップ化してすぐに見ることができます。
測定者の評価の効率が上がるとともに、ご利用者様にもその場で結果を共有できるため、歩行の改善や歩行補助具の選定があっているのか、互いに確認することができます。
簡便な操作で分かりやすい結果をフィードバックできるAYUMI EYEを使用し、歩行分析を行ってみてはいかがでしょうか。
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