PREMIUM COLUMN
2023/02/10
目次
異常歩行の一種である「はさみ足歩行」のリハビリには、評価・観察を行いながら、正常歩行との比較が効果的です。
今回こちらの記事では、はさみ足歩行である痙性対麻痺患者のアプローチ方法や評価、観察に役立つ情報をお伝えします。
また、はさみ足歩行である痙性対麻痺について詳しくご説明します。
こちらの記事をお読みいただき、痙性対麻痺患者の歩行リハビリにお役立てください。
はさみ足歩行は、特に痙性対麻痺に多く見られます。
主な原因となる疾病は、脳梗塞や脳卒中などの脳血管障害や多発性硬化症、または脊髄損傷などが挙げられます。
正常歩行では、股関節は足を前に振りだす時は屈曲し着地させる時は伸展し、さらに外旋と内旋の筋肉が働き、安定した歩行が実現します。
一方、はさみ足歩行の特徴は股関節や膝関節は軽度屈曲位になり、両膝を擦り合せるように歩きます。
また、両足が突っ張り、股関節が内転する様相からはさみ足歩行(Scissors gait)と呼ばれています。
股関節内転筋の筋緊張が強まってしまうため、下肢を振り出す際に両膝が交差する状態になります。
痙性歩行(Spastic Gate)とは、上位運動ニューロンの傷害によっておこる四肢筋(はさみ歩行では下肢筋)の痙性麻痺による歩行障害を言います。
痙性歩行のなかには、はさみ足歩行以外に、分回し歩行や同側の上肢の間欠的外転、爪先引きずり歩行などが挙げられます。
痙性対麻痺とは、両下肢の筋緊張が亢進して突っ張ってしまい、自分で動かせない運動麻痺がある状態を言います。
主に、脳や脊髄に問題がある場合に起こり、脳性麻痺や脊髄損傷、脊髄梗塞などが原因です。
その他、生まれつきの遺伝子の変化で生じる遺伝性痙性対麻痺があり、痙性対麻痺の症状が徐々に進行していき筋力低下をきたします。
また、遺伝性痙性対麻痺は近年の解析技術の進歩により、60個以上の原因遺伝子が報告されており、細かく病型の分類が整理されて症状もさまざまです。
現状では、リハビリテーションをはじめとする対症療法が中心ですが、原因遺伝子の研究が進んでいます。
痙性対麻痺患者は、長下肢装具によって下肢の関節自由度を制限することで歩行することが可能です。
また、関節可動域訓練や筋力強化訓練により腕や手を鍛えていくと、車いすに乗ることもできます。
さらに、ベッドから車いすへ、車いすからトイレへ、車いすから自動車の座席へと移乗できる確率も高まります。
その他、補助器具を使って自動車を運転する人など、日常生活における動作を一人でできるようになるため、仕事に復帰する人も多く居ます。
正常歩行では離脚から踵接地に向けて、足関節を背屈することで、クリアランスを広げていきます。
対麻痺者の歩行補助においても膝関節の支持、体幹の直立維持などのため、足関節の背屈が必要になります。
また、重心位置を足関節の後方から前方に弾道的に移動させるために、重心の速度を大きくしていきます。
重心速度を大きくするためには、前方の脚の足関節の背屈とともに、後方の脚によって床面を押すプッシュオフの動作両方のリハビリが必要です。
はさみ足歩行のリハビリ評価には、一人ひとりの患者が持つ身体機能を観察していく必要があります。
その上で、体幹や股関節の過緊張、筋短縮などのアプローチが求められます。 リハビリには下記について評価、観察していきましょう。
また、動的評価に基づいて歩行を促していき、場合によっては松葉杖や補装具などの欠点を是正する必要もあります。
対麻痺患者のリハビリには、ADLを向上するために「立つ」「歩く」といった下肢機能を再建するためのリハビリが重要です。
主に、対麻痺患者のリハビリ方法には以下のようなことが示唆されています。
今回は「『はさみ足歩行』痙性対麻痺患者の評価・観察・アプローチ法」について解説しました。
はさみ足歩行のリハビリには、個別性の評価と正常な歩行周期を考えたリハビリ計画の立案が、非常に重要と言えます。
そのため、正しい歩行状態との明確なデータ比較を行うことが効果的です。
その点、AYUMI EYEは歩行バランスの能力分析や解析に長けており、はさみ足歩行である痙性対麻痺患者の現在の状態をデータで簡単に評価、観察することができます。
ぜひ、AYUMI EYEを使って、はさみ足歩行患者の歩行訓練や体幹バランスの向上に活用しながら、リハビリの成果を上げていきましょう。
(参考資料)・香川高弘 山科秀 貴 宇野洋二 対麻痺者の歩行補助に向けた歩行の重心運動の解析・理学療法と作業療法 2巻5号 (1968年10月発行)・川平和美監修 やさしい図解「川平法」歩行編
(参考URL)NCNP病院 国立精神・神経医療研究センター さまMSDマニュアル家庭版 脊髄損傷後のリハビリテーション さまRehabilitation Plus さま
AYUMI EYEはご利用者様の腰に専用ベルトを用いて装着し、10m歩くだけで評価を行うことが可能です。
バランスや歩行速度などがその場でiPad専用アプリにて解析され、結果が点数・マップ化してすぐに見ることができます。
測定者の評価の効率が上がるとともに、ご利用者様にもその場で結果を共有できるため、歩行の改善や歩行補助具の選定があっているのか、互いに確認することができます。
簡便な操作で分かりやすい結果をフィードバックできるAYUMI EYEを使用し、歩行分析を行ってみてはいかがでしょうか。
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2023/02/10
『はさみ足歩行』痙性対麻痺患者の評価・観察・アプローチ法
目次
異常歩行の一種である「はさみ足歩行」のリハビリには、評価・観察を行いながら、正常歩行との比較が効果的です。
今回こちらの記事では、はさみ足歩行である痙性対麻痺患者のアプローチ方法や評価、観察に役立つ情報をお伝えします。
また、はさみ足歩行である痙性対麻痺について詳しくご説明します。
こちらの記事をお読みいただき、痙性対麻痺患者の歩行リハビリにお役立てください。
目次
はさみ足歩行とは?
はさみ足歩行は、特に痙性対麻痺に多く見られます。
主な原因となる疾病は、脳梗塞や脳卒中などの脳血管障害や多発性硬化症、または脊髄損傷などが挙げられます。
正常歩行では、股関節は足を前に振りだす時は屈曲し着地させる時は伸展し、さらに外旋と内旋の筋肉が働き、安定した歩行が実現します。
一方、はさみ足歩行の特徴は股関節や膝関節は軽度屈曲位になり、両膝を擦り合せるように歩きます。
また、両足が突っ張り、股関節が内転する様相からはさみ足歩行(Scissors gait)と呼ばれています。
股関節内転筋の筋緊張が強まってしまうため、下肢を振り出す際に両膝が交差する状態になります。
痙性歩行とは?
痙性歩行(Spastic Gate)とは、上位運動ニューロンの傷害によっておこる四肢筋(はさみ歩行では下肢筋)の痙性麻痺による歩行障害を言います。
痙性歩行のなかには、はさみ足歩行以外に、分回し歩行や同側の上肢の間欠的外転、爪先引きずり歩行などが挙げられます。
痙性対麻痺とは?
痙性対麻痺とは、両下肢の筋緊張が亢進して突っ張ってしまい、自分で動かせない運動麻痺がある状態を言います。
主に、脳や脊髄に問題がある場合に起こり、脳性麻痺や脊髄損傷、脊髄梗塞などが原因です。
その他、生まれつきの遺伝子の変化で生じる遺伝性痙性対麻痺があり、痙性対麻痺の症状が徐々に進行していき筋力低下をきたします。
また、遺伝性痙性対麻痺は近年の解析技術の進歩により、60個以上の原因遺伝子が報告されており、細かく病型の分類が整理されて症状もさまざまです。
現状では、リハビリテーションをはじめとする対症療法が中心ですが、原因遺伝子の研究が進んでいます。
痙性対麻痺患者の生活
痙性対麻痺患者は、長下肢装具によって下肢の関節自由度を制限することで歩行することが可能です。
また、関節可動域訓練や筋力強化訓練により腕や手を鍛えていくと、車いすに乗ることもできます。
さらに、ベッドから車いすへ、車いすからトイレへ、車いすから自動車の座席へと移乗できる確率も高まります。
その他、補助器具を使って自動車を運転する人など、日常生活における動作を一人でできるようになるため、仕事に復帰する人も多く居ます。
痙性対麻痺患者の歩行補助
正常歩行では離脚から踵接地に向けて、足関節を背屈することで、クリアランスを広げていきます。
対麻痺者の歩行補助においても膝関節の支持、体幹の直立維持などのため、足関節の背屈が必要になります。
また、重心位置を足関節の後方から前方に弾道的に移動させるために、重心の速度を大きくしていきます。
重心速度を大きくするためには、前方の脚の足関節の背屈とともに、後方の脚によって床面を押すプッシュオフの動作両方のリハビリが必要です。
痙性対麻痺患者の歩行に対する評価
はさみ足歩行のリハビリ評価には、一人ひとりの患者が持つ身体機能を観察していく必要があります。
その上で、体幹や股関節の過緊張、筋短縮などのアプローチが求められます。 リハビリには下記について評価、観察していきましょう。
また、動的評価に基づいて歩行を促していき、場合によっては松葉杖や補装具などの欠点を是正する必要もあります。
痙性対麻痺患者の歩行リハビリ
対麻痺患者のリハビリには、ADLを向上するために「立つ」「歩く」といった下肢機能を再建するためのリハビリが重要です。
主に、対麻痺患者のリハビリ方法には以下のようなことが示唆されています。
まとめ
今回は「『はさみ足歩行』痙性対麻痺患者の評価・観察・アプローチ法」について解説しました。
はさみ足歩行のリハビリには、個別性の評価と正常な歩行周期を考えたリハビリ計画の立案が、非常に重要と言えます。
そのため、正しい歩行状態との明確なデータ比較を行うことが効果的です。
その点、AYUMI EYEは歩行バランスの能力分析や解析に長けており、はさみ足歩行である痙性対麻痺患者の現在の状態をデータで簡単に評価、観察することができます。
ぜひ、AYUMI EYEを使って、はさみ足歩行患者の歩行訓練や体幹バランスの向上に活用しながら、リハビリの成果を上げていきましょう。
(参考資料)
・香川高弘 山科秀 貴 宇野洋二 対麻痺者の歩行補助に向けた歩行の重心運動の解析
・理学療法と作業療法 2巻5号 (1968年10月発行)
・川平和美監修 やさしい図解「川平法」歩行編
(参考URL)
NCNP病院 国立精神・神経医療研究センター さま
MSDマニュアル家庭版 脊髄損傷後のリハビリテーション さま
Rehabilitation Plus さま
歩行解析デバイスAYUMI EYEで歩行分析
AYUMI EYEはご利用者様の腰に専用ベルトを用いて装着し、10m歩くだけで評価を行うことが可能です。
バランスや歩行速度などがその場でiPad専用アプリにて解析され、結果が点数・マップ化してすぐに見ることができます。
測定者の評価の効率が上がるとともに、ご利用者様にもその場で結果を共有できるため、歩行の改善や歩行補助具の選定があっているのか、互いに確認することができます。
簡便な操作で分かりやすい結果をフィードバックできるAYUMI EYEを使用し、歩行分析を行ってみてはいかがでしょうか。
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