歩行で左右に揺れる動きを防ぐために必要なこととは?

歩行で左右に体が揺れてしまうのは、疾患や筋肉によるものなどさまざまな要因があります。

また、左右の揺れの改善には、まっすぐスムーズに歩くことに関係する体の部位の働きを知ることも大切です。

今回は、左右に揺れる歩行の種類や原因、改善方法について詳しくご説明します。

この記事を参考にしていただき、リハビリの早期回復高齢者の転倒防止など歩行能力の向上にお役立てください。

左右に体が揺れる歩行の種類

左右に体が揺れる歩き方には種類があります。主に下記のような歩行が挙げられます。

  • ・あひる歩行
  • ・トレンデレンブルグ歩行
  • ・デュシェンヌ歩行
  • ・ガニ股歩行
  • ・体幹の動揺歩行

それぞれの歩行の「特徴」「原因」、その歩行に「なりやすい人」について整理していきましょう。

あひる歩行

【特徴】

  • ・体幹を左右に揺らす
  • ・上半身をのけぞらせる姿勢
  • ・前傾した姿勢で歩く

【原因】

  • 中殿筋を主体とした股関節外転筋の機能低下

【なりやすい人】

  • ・筋ジストロフィー
  • ・多発性筋炎
  • ・両側の変形性股関節症

など

引用元:徒手療法チャンネル waddling gaitアヒル歩行、よたつき歩行、動揺歩行

トレンデレンブルグ歩行

【特徴】

  • 片足をあげたときに軸足と反対側の骨盤が下がる

【原因】

  • ・中殿筋を主体とした股関節外転筋の機能低下
  • ・内転筋群の筋力低下

【なりやすい人】

  • ・進行性筋ジストロフィー
  • ・多発性筋炎

など

引用元:ORPHE ANALYTICS MEDICAL トレンデレンブルグ歩行とは?

デュシェンヌ歩行

【特徴】

  • 上半身が支持脚側に傾く

【原因】

  • ・中殿筋を主体とした股関節外転筋の機能低下
  • ・患側股関節の内転可動域の制限
  • ・患側股関節の痛み
  • ・体幹のインナーマッスルの機能低下
  • ・仙腸関節や患側股関節を含めた荷重伝達不良

【なりやすい人】

  • ・股関節外転筋に疼痛がある人
  • ・臼蓋形成不全症で疼痛が強い人

など

引用元:理学療法士の臨床と発信を支援する『forPT』 デュシェンヌ歩行は3パターン存在する!?

「トレンデレンブルグ歩行」「デュシェンヌ歩行」の違いについて、こちらのコラムに詳しく載せております、併せてご参照ください。

トレンデレンブルグ歩行とデュシャンヌ歩行の違いとは?特徴や原因・改善する方法を紹介

ガニ股歩行

【特徴】

  • ・身体の左右外側に重心や加速度が掛かかって、揺れるように歩く
  • ・足が外反股で膝と足先が外に向いてしまうため、重心が安定しない

【原因】

  • ・足裏のアーチが崩れている
  • ・内転筋の筋力低下

【なりやすい人】

  • 姿勢が悪い人

など

引用元:広島サンライフ 整体&トレーニング がに股歩行はもう卒業!?ガニ股改善するためのトレーニング①

引用元:小林整骨院 O脚とは

体幹の動揺歩行

【特徴】

  • 両足を大きく広げて体を左右に揺らせて歩く

【原因】

  • ・中殿筋を主体とした股関節外転筋の機能低下および下肢筋力の低下
  • ・関節可動域の狭小化

【なりやすい人】

  • 高齢者

など

引用元:J-Stage 高齢者における最速歩行時の身体動揺性と筋力の関係

歩行で左右の揺れを防ぐために必要な部位と働き

歩行で左右の揺れを防ぐためには、筋肉や骨盤の動きを安定させていくことが大切です。

また、それと同時に姿勢維持に関わる部位にも注目していく必要があります。

そこで、次に歩行で左右の揺れを防ぐために必要な3つの要素をご紹介します。

  • ・中殿筋を主体とした股関節外転筋
  • ・頭部の代償回転運動
  • ・眼球運動の姿勢補正

それぞれの歩行維持に働く役割について詳しく見ていきましょう。

中殿筋を主体とした股関節外転筋

中殿筋は、骨盤の骨と大腿骨を結んでいる筋肉で、小殿筋や股関節外転筋とともに歩行を安定させています。

また、中殿筋を主体とした股関節外転筋の筋力も低下していくと、歩行時に骨盤を支えきれなくなるため、体が横に揺れたような歩き方になってしまいます。

そのため、中殿筋を主体とした股関節外転筋の強化が必要になります。

その他、下記の左右の揺れを改善する方法も併せて確認しておきましょう。

  • ・歩隔(反対側のかかとが地面についたときの踵と踵の横方向の距離)を狭める
  • ・背骨周辺の筋肉をストレッチする
  • ・足首を安定させる

中殿筋の役割やトレーニング方法について、こちらのコラムに詳しく載せております、併せてご参照ください。

中臀筋を鍛えて歩行や片足立を安定させよう!中臀筋の役割とトレーニング

頭部の代償回転運動

頭部は歩く際に下肢の動きの影響を受けることで、2〜3cmの振幅で上下左右に動かされます。

この頭部の上下左右への動きは規則的に起こっており、歩行周期と密接に関連しています。

歩行の上下動の揺れには、両脚相に頭部の位置は低くなって単脚相に頭部の位置は高くなり、左右方向の揺れには単脚相に頭部は同側へ偏移するのです。

また、このように歩行中に起こる体の上下左右の揺れに対して、頭部は代償の回転運動をしていることが研究で明らかになりました。

例えば、頭部の位置が高い時には前屈しており、低い時には後屈する動きを取ることで、体を安定させて歩行を支えているのです。

そのため、体の揺れがある場合には頭部の代償回転運動がどのように起こっているのかどうかを評価・分析することが良いでしょう。

引用元:J-Stage 受動回転と能動回転における代償性眼球運動および固視機能の比較

眼球運動の姿勢補正

頭部の代償回転運動は、視線の安定を完全に達成するものではなく、歩行中に周期的な眼球の動きによる調整も必要です。

また、歩行で体を維持するための頭部と眼球の動きについての協調効果の研究結果が報告されています。

その研究結果では、眼球が頭部との回転方向について、視標の距離により変化していることが示唆されています。

具体的には、頭部回旋が不十分な近い視標を見る時には眼球は頭部と協調して回転し、頭部が過度に回旋する遠い視標を見る際には、眼球は逆方向に回転するとのことです。

このような研究結果から、頭部が左右や上下の体の揺れをある程度代償して安定した土台を作り、残りを眼球運動で補うことで歩行の安定維持に努めていることになります。

そのため、体の揺れを維持・改善するには、頭部の動きとともに眼球運動も評価・分析していくことが有効です。

引用元:J-Stage 視線行動と姿勢制御の関連性についての検討

まとめ

今回は「歩行で左右に揺れる動きを防ぐために必要なこととは?」についてご説明しました。

歩行の際、体の左右の揺れの原因は病気や筋力低下などさまざまなため、段階的な歩行訓練が必要です。

また、左右の揺れを防ぐためには中殿筋や股関節外転筋などの筋力維持・向上とともに、頭部の位置や眼球の動きなど歩行状態のバランスを確認していくことが大切です。

さらに、歩行リズムや前にまっすぐ進むための推進力を総合的に評価・分析していくことが左右の揺れ改善につながります。

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(参考資料)
がんばれ看護学生! あひる歩行ってどんな歩行?
いきいき・のびのび健康づくり協会 【動画あり】歩き方は大丈夫?横揺れの変な歩き方になっていませんか?中臀筋の筋力不足かも?  
PHYSIO CENTER 変形性股関節症とデュシャンヌ跛行について
京都大学 犬山キャンパス 歩行中の頭の動きと目の動き
大阪大学学術情報庫 歩行中の視線安定を維持する頭部運動と眼球運動
TENTIAL ガニ股になるのはなぜ?3つの原因と改善に役立つエクササイズを紹介
市原ひなた整体院 トレンデレンブルグ歩行の原因は外転筋力の低下だけではない?


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