PREMIUM COLUMN
2023/03/31
目次
「膝ロッキング」という言葉を聞いたことがありますか。
歩行中に生じる問題で、主に脳卒中を患い、片麻痺を有する方によく見られます。
今回はこの「膝ロッキング」について、原因や問題点を中心にまとめていきたいと思います。
※ 膝関節の滑らかな動きを支える半月板が断裂など傷ついている場合に、膝の運動にともなって傷ついた半月板の一部が挟み込まれて膝が動かなくなることがあります。この現象も「膝ロッキング」と表現しますが、今回は扱いませんのでご了承ください。
人が歩くとき、膝関節はどのように運動しているのでしょうか。
足が地面についている状態を立脚期、離れている状態を遊脚期と呼びますが、膝関節はそれぞれの時期において約20°、60°屈曲するといわれています。※1
立脚期における膝関節の屈曲は衝撃吸収にとって重要な役割を果たしています。
この立脚期における膝関節の屈曲が消失し、膝を伸展させたままで荷重する状態を「膝ロッキング」と呼びます。
「膝ロッキング」にはいくつかの原因が考えられますが、多くの場合、脳卒中によって片麻痺を有する患者さんにおいて出現します。※2
片麻痺を有する方の「膝ロッキング」に関する原因の代表的なものには、
が挙げられます。※3
それぞれを解説しましょう。
片麻痺になると、膝を伸展させる主要な筋である大腿四頭筋の筋発揮がうまく行えなくなります。
立脚期に膝が屈曲してしまうと膝折れと呼ばれる異常運動を起こしてしまうことがあります。
膝折れはそのまま転倒につながる恐れがあり、患者さんにとっても非常に不安な異常運動となります。
そのため、わざと膝を進展させたままで荷重することによって膝折れを回避しようとする結果、「膝ロッキング」が生じます。
片麻痺によって、痙縮と呼ばれる強い筋緊張が生じることがあります。
その結果、足関節が底屈位(下向き、つま先立ちのような状態)となり、背屈方向への運動が難しくなることがあります。
歩行の立脚期において、足関節は約20°背屈する必要がありますが、痙縮による可動域制限によってこの運動が難しい場合、膝を屈曲させることができなくなり、「膝ロッキング」が生じます。※1
人間が歩行する際、地面から重心に向かって床反力という力が加わります。
この床反力が、立脚期中の膝関節中心に対して前方を通ると膝は伸展方向、後方を通ると膝は屈曲方向へ運動させる力が加わります。
通常、歩行中の体幹は大きく前傾・後傾せず、立脚期のほとんどで床反力は膝関節中心の後方を通ります。
しかしながら片麻痺により、体幹をまっすぐ保つことが難しくなると、体幹が大きく前傾してしまいます。
結果として重心が前方へ移動し、床反力が膝関節中心の前方を通ることになり、膝を伸ばそうとする力が加わり、「膝ロッキング」が生じます。
片麻痺を有する方における「膝ロッキング」は歩くうえでやむを得ず出現している側面があるのも事実です。
実際に、「膝ロッキング」を用いれば麻痺のある下肢でも歩行することが可能になります。
しかしながら、「膝ロッキング」では筋肉ではなく、骨や靭帯、関節包などの軟部組織によって体重を支えて衝撃を吸収するために、繰り返し行われることによって反張膝と呼ばれる膝の過伸展変形をきたす恐れがあります。
反張膝は膝の伸展方向への支持性が下がり、膝の疼痛にもつながるうえ、外科的治療や装具でしか治療が行えないため、非常にやっかいな状態なので可能な限り膝ロッキングは避けるべきです。
片麻痺後のリハビリを行う際には、まず現在の歩行状態がどのようになっているかを他覚的に評価が望まれます。
AYUMI EYEを用いれば簡単に歩行の特徴を他覚的に評価できます。
是非リハビリの際には導入していただければ幸いです。
※1 中村他ー基礎運動学 第6版 2003 医歯薬出版株式会社※2 PerryーGait Analysis 1992 SLACK incorporated※3 加藤芙美子ーいわゆる膝ロッキングが著明な左片麻痺患者に対する理学療法経験 理学療法いばらき10(3) 2007
AYUMI EYEはご利用者様の腰に専用ベルトを用いて装着し、10m歩くだけで評価を行うことが可能です。
バランスや歩行速度などがその場でiPad専用アプリにて解析され、結果が点数・マップ化してすぐに見ることができます。
測定者の評価の効率が上がるとともに、ご利用者様にもその場で結果を共有できるため、歩行の改善や歩行補助具の選定があっているのか、互いに確認することができます。
簡便な操作で分かりやすい結果をフィードバックできるAYUMI EYEを使用し、歩行分析を行ってみてはいかがでしょうか。
お問い合わせ
03-5447-5470 受付時間:平日 9:00~18:00
会員登録でさらに詳しい歩行分析ノウハウが手に入る
インタビュー
2025/07/08
【AYUMI EYEインタビュー】医療法人社団SEISEN清泉クリニック整形外科東京五反田
2024/06/19
【AYUMI EYEインタビュー】かもい名倉堂リハビリセンター 飯田さまにインタビューを行いました!!
【AYUMI EYEインタビュー】新横浜整形外科リウマチ科 石黒先生にインタビューを行いました!!
お役立ち情報
姿勢が変われば歩き方も変わる!猫背改善と歩行フォームの関係
2025/06/30
デスクワーク中の「ながら運動」で歩行力をキープする方法
2025/06/23
たった10分で足が変わる!足裏ケアの重要性とセルフメンテナンス法
その他コラム
2024/07/25
企業の健康経営施策!従業員の健康と生産性向上の両立を目指す!
トレーニング
2025/06/03
歩行速度が落ちたら要注意!ロコモ予防の簡単トレーニング法
2025/05/30
歩行データが語る“転ばない身体”のつくり方とは?
2025/05/27
データで示す、歩行改善がもたらす医療費・労災コスト削減効果
一般向けコラム
2023/04/28
正しい姿勢歩行で蠕動運動を促進!!
2023/03/03
水中歩行のメリット・デメリット
介護系コラム
2024/07/05
歩行音を分析!バタバタ歩きの原因や歩行音を軽減する方法!
2024/05/24
歩行のパフォーマンス評価を効果的に活用する方法
2024/02/16
朝と夜のウォーキングで自律神経を整える!効果的な時間帯や方法も紹介!
医療系コラム
2024/08/09
歩行障害が起こるサルコペニアとは?有効なリハビリ方法もご紹介!
2024/07/26
歩行の非対称性解析!加齢に伴う有効な評価とは?
2024/07/19
ストライド分析の有効性!高齢者の転倒予防介入への期待
歩行分析
疾患
筋肉・関節
算定報酬
2024/01/15
保護中: 機能性ソックスAYUMIASSITの転倒予防効果の検証結果
業種・業界問わずに導入されています
数名から100名超まで様々な施設でご利用頂いております。
Q1.貴院の特徴についてお聞かせください。 当院の法人としましては、まず‘本物の健康を提供する’というコンセプトで展開しております。 その中で障害を克服するためにはいかに自己治癒力を促進させるかということ […]
実際にAYUMI EYEを現場で導入いただいた、かもい名倉堂リハビリセンター 飯田さまにAYUMI EYEを知っていただいたきっかけや、使用感、現場スタッフさまの感想など、 インタビューを行いました。 Q1.施設の特徴を […]
実際にAYUMI EYEを現場で導入いただいた、新横浜整形外科リウマチ科 理学療法士の石黒竜平先生にAYUMI EYEを知っていただいたきっかけや、使用感、現場スタッフさまの感想など、 インタビューを行いました。 Q1. […]
【AYUMI EYEインタビュー】こうのす共生病院 中里科長・片桐統括部長にインタビューを行いました!!
実際にAYUMI EYE medicalを現場で導入いただいた、こうのす共生病院 科長の中里先生、および、リハビリテーション統括部長の片桐先生に、AYUMI EYEを知っていただいたきっかけや、使用感、現場スタッフさまの […]
【AYUMI EYEインタビュー】苑田会人工関節センター病院 田中友也さまにインタビューを行いました!!
実際にAYUMI EYE medicalを現場で導入いただいた、苑田会人工関節センター病院 理学療法士の田中友也さまに、AYUMI EYEを知っていただいたきっかけや、使用感、現場スタッフさまの感想など、 インタビューを […]
【AYUMI EYEインタビュー】フィッツリハ一之江 山田センター長にインタビューを行いました!!
実際にAYUMI EYEを現場で導入いただいた、フィッツリハ一之江のセンター長 山田様に、 AYUMI EYEを知っていただいたきっかけや、使用感、現場スタッフさまの感想など、 インタビューを行いました。 まず「フィッツ […]
【AYUMI EYEインタビュー】宝塚リハビリテーション病院 中谷先生にインタビューを行いました!!
2022年6月16日 実際にAYUMI EYEを現場で導入いただいた、宝塚リハビリテーション病院の中谷先生に、AYUMI EYEを知っていただいたきっかけや、使用感、現場スタッフさまの感想など、インタビューを行いました。 […]
宮崎県日南市の介護予防事業におけるAYUMI EYE導入事例
この度は、宮崎県日南市の介護予防事業におけるAYUMI EYEの導入事例をご紹介します。 1) 日南市の介護予防事業 ①事業内容についてお教えください。 ・一般介護予防事業「元気で長寿!!キープアップ教室」 元気で長寿! […]
【AYUMI Topics 小泉圭介インタビュー第5回】エクササイズに必須!プロアスリートも使用する理学療法士のおすすめアイテム
歩行機能を分析し、点数化するAYUMI EYE。質の高い歩行をしてAYUMI EYEの点数を高くするためにはどうしたら良いのでしょうか。AYUMI Topicsは、様々な専門家に歩行について伺いながら、良い歩行に役立つ情 […]
【AYUMI Topics 小泉圭介インタビュー第4回】プロアスリートもやっている簡単エクササイズをご紹介
資料請求・トライアルの申し込みはこちら
まずはサービスの詳細を確認したい方
実際の操作を試してみたい方へ
楽しく続けられるレクリエーションで結果を見える化!
2023/03/31
膝のロッキングって何?原因と対策
目次
「膝ロッキング」という言葉を聞いたことがありますか。
歩行中に生じる問題で、主に脳卒中を患い、片麻痺を有する方によく見られます。
今回はこの「膝ロッキング」について、原因や問題点を中心にまとめていきたいと思います。
※ 膝関節の滑らかな動きを支える半月板が断裂など傷ついている場合に、膝の運動にともなって傷ついた半月板の一部が挟み込まれて膝が動かなくなることがあります。この現象も「膝ロッキング」と表現しますが、今回は扱いませんのでご了承ください。
目次
「膝ロッキング」ってどんな状態
人が歩くとき、膝関節はどのように運動しているのでしょうか。
足が地面についている状態を立脚期、離れている状態を遊脚期と呼びますが、膝関節はそれぞれの時期において約20°、60°屈曲するといわれています。※1
立脚期における膝関節の屈曲は衝撃吸収にとって重要な役割を果たしています。
この立脚期における膝関節の屈曲が消失し、膝を伸展させたままで荷重する状態を「膝ロッキング」と呼びます。
「膝ロッキング」の原因と問題点
「膝ロッキング」にはいくつかの原因が考えられますが、多くの場合、脳卒中によって片麻痺を有する患者さんにおいて出現します。※2
片麻痺を有する方の「膝ロッキング」に関する原因の代表的なものには、
が挙げられます。※3
それぞれを解説しましょう。
膝の支持性低下
片麻痺になると、膝を伸展させる主要な筋である大腿四頭筋の筋発揮がうまく行えなくなります。
立脚期に膝が屈曲してしまうと膝折れと呼ばれる異常運動を起こしてしまうことがあります。
膝折れはそのまま転倒につながる恐れがあり、患者さんにとっても非常に不安な異常運動となります。
そのため、わざと膝を進展させたままで荷重することによって膝折れを回避しようとする結果、「膝ロッキング」が生じます。
足関節の可動性低下
片麻痺によって、痙縮と呼ばれる強い筋緊張が生じることがあります。
その結果、足関節が底屈位(下向き、つま先立ちのような状態)となり、背屈方向への運動が難しくなることがあります。
歩行の立脚期において、足関節は約20°背屈する必要がありますが、痙縮による可動域制限によってこの運動が難しい場合、膝を屈曲させることができなくなり、「膝ロッキング」が生じます。※1
股関節・体幹のコントロール低下
人間が歩行する際、地面から重心に向かって床反力という力が加わります。
この床反力が、立脚期中の膝関節中心に対して前方を通ると膝は伸展方向、後方を通ると膝は屈曲方向へ運動させる力が加わります。
通常、歩行中の体幹は大きく前傾・後傾せず、立脚期のほとんどで床反力は膝関節中心の後方を通ります。
しかしながら片麻痺により、体幹をまっすぐ保つことが難しくなると、体幹が大きく前傾してしまいます。
結果として重心が前方へ移動し、床反力が膝関節中心の前方を通ることになり、膝を伸ばそうとする力が加わり、「膝ロッキング」が生じます。
まとめ
片麻痺を有する方における「膝ロッキング」は歩くうえでやむを得ず出現している側面があるのも事実です。
実際に、「膝ロッキング」を用いれば麻痺のある下肢でも歩行することが可能になります。
しかしながら、「膝ロッキング」では筋肉ではなく、骨や靭帯、関節包などの軟部組織によって体重を支えて衝撃を吸収するために、繰り返し行われることによって反張膝と呼ばれる膝の過伸展変形をきたす恐れがあります。
反張膝は膝の伸展方向への支持性が下がり、膝の疼痛にもつながるうえ、外科的治療や装具でしか治療が行えないため、非常にやっかいな状態なので可能な限り膝ロッキングは避けるべきです。
片麻痺後のリハビリを行う際には、まず現在の歩行状態がどのようになっているかを他覚的に評価が望まれます。
AYUMI EYEを用いれば簡単に歩行の特徴を他覚的に評価できます。
是非リハビリの際には導入していただければ幸いです。
※1 中村他ー基礎運動学 第6版 2003 医歯薬出版株式会社
※2 PerryーGait Analysis 1992 SLACK incorporated
※3 加藤芙美子ーいわゆる膝ロッキングが著明な左片麻痺患者に対する理学療法経験 理学療法いばらき10(3) 2007
歩行解析デバイスAYUMI EYEで歩行分析
AYUMI EYEはご利用者様の腰に専用ベルトを用いて装着し、10m歩くだけで評価を行うことが可能です。
バランスや歩行速度などがその場でiPad専用アプリにて解析され、結果が点数・マップ化してすぐに見ることができます。
測定者の評価の効率が上がるとともに、ご利用者様にもその場で結果を共有できるため、歩行の改善や歩行補助具の選定があっているのか、互いに確認することができます。
簡便な操作で分かりやすい結果をフィードバックできるAYUMI EYEを使用し、歩行分析を行ってみてはいかがでしょうか。
お問い合わせ
03-5447-5470 受付時間:平日 9:00~18:00
お問い合わせ
03-5447-5470 受付時間:平日 9:00~18:00