歩行器の種類と特徴を紹介!高齢者の歩行に合わせて歩行器を使い分けよう

現在の日本では、65歳以上の高齢者数は3617万人(2020年度)であり、前年から30万人増加し、過去最多となっています。

高齢者の増加に伴い、福祉用具貸与の給付件数も毎年増加しており、歩行器も毎年給付件数が増加しています。
 
歩行器や杖などに代表される歩行補助具は、バランスが悪い方などに使用され、使用することにより歩行が安定し、日常生活動作の改善やQOLの向上が期待できます。

歩行器を使用する高齢者が増加している現代において、歩行器の種類や特徴を知り、適切な歩行器を選択することは、対象者のQOLの改善に繋がります。

ここでは、歩行器の特徴と高齢者の歩行状態に合わせた歩行器の使い分けについてお伝えします。

歩行器とは?

歩行器とは、フレーム構造でできている歩行補助具のことを指します。

人の周りを一部囲むような形になっており、広い支持基底面による高い安定性が特徴です。

体重を歩行器に預けて転倒を防ぎつつ、また下肢への荷重を免荷しながら移動することができます。そのため、リハビリ場面で平行棒歩行練習の次のステップとして使用されることが多い補助具です。

歩行器の種類と特徴

歩行器は様々な種類と特徴があり、対象者によって使用の有無が変わります。

・四脚歩行器
・交互型歩行器
・キャスター付き歩行器
・モーター付き歩行器(歩行車)

それぞれ紹介していきます。

四脚歩行器

四脚歩行器は、別名「固定型歩行器」とも言い、四脚のフレーム構造の歩行器です。

四脚すべてにゴム製のキャップがついており、滑りにくく、荷重したときの安定性が高いことが特徴です。

進む際は、歩行器を持ち上げて前方に置く、歩行器に荷重をかけながら脚を踏み出します。

四脚歩行器を使用する対象者

四脚歩行器は、痛みや下肢の筋力低下により杖では歩行が不安定な人や、下肢の免荷を行わなくてはならない方に適しています。

移動の際は、歩行器を持ち上げなくてはいけないので、上肢機能がある程度維持されている方でなければ使用できません。

上肢機能を事前に評価しておきましょう。

交互型歩行器

四脚歩行器の一種で、左右のフレームに可動性があり、交互にずらすように動かすことができます。

両手での杖歩行のように、右フレームを前に出したら左足を出す、左フレームを前に出したら右足を出す、の順で前進していきます。

交互式歩行器を使用する対象者

下肢の筋力低下や痛みがある方、下肢を免荷しなくてはいけない方が対象となります。

四脚歩行器のように持ち上げる必要はありませんので、持ち上げる力がなくても使用できます。歩行器に荷重し体を支える力があるか、確認をしましょう。
 
また、前進する際にフレームを左右交互に出すため、左右への重心移動が必要になりますので、立位バランスの確認が必要です。

歩行の手順が固定型歩行器と比較すると難しいため、高齢者の場合は手順を理解できるか確認が必要です。

キャスター付き歩行器

四脚歩行器の脚先に車輪がついている歩行器です。

前足のみに車輪がついているものと、4脚すべてにキャスターが付いているものがあります。どちらのタイプにも、後ろ側の脚にストッパーが付いており、体重をかけると止まるようになっています。

キャスター付き歩行器の使い方は、後ろ脚を軽く浮かせるように歩行器を前に出し、その後歩行器に体重をかけてストッパーを作動させます。歩行器が固定したら、脚を患側、健側の順で踏み出します。

キャスター付き歩行器を使用する対象者

キャスターがついておりスムーズに歩行器を前方に出すことができるので、腕の力がない高齢者でも使用できます。しかし、立位や歩行が前方へ不安定な高齢者は、歩行器が前に進んでしまい不安定になるため、使用時には立位バランスの確認を行いましょう。

モーター付き歩行器(歩行車)

引用元:REHASENSE

傾斜を察知するセンサーと歩行をアシストするためのモーターが内蔵されている歩行器です。坂道を上がる際には前進を補助し、下る際には自動的にブレーキが働き安全に下ることが可能です。また、道路の傾斜を感知し、真っすぐ進むのをアシストする機能を持つ歩行器もあります。荷物入れもついているので、屋外で使用時に活躍します。

モーター付き歩行器(歩行車)を使用する対象者

屋外や広い屋内などで荷物を持つと上手く移動できない高齢者や、長時間の歩行が難しい高齢者におすすめです。

高齢者に合わせて歩行器を使い分けよう

高齢者の歩行は、下記の特徴が挙げられます。

・歩くスピードが遅くなる
・前かがみになる
・脚上がりにくくなる
・つまずきやすくなる
・バランスが悪い
・長時間歩けない
 
参考:高齢者の歩行の特徴6つと歩行障害について
 
今回紹介した、四脚型歩行器、交互型歩行器、キャスター付き歩行器は、一般的には3動作歩行や4動作歩行を行うものです。歩行速度は杖歩行より遅くなりますが、不安定なバランス能力を補い、安定して歩くことができます。
 
一方で、四脚のため安定性は高いですが、不整地ではバランスを崩しやすいため、屋外や段差がある家屋では不向きとされています。

また、歩行器が大きく場所をとるため、自宅などで使用する場合には方向転換が十分に可能かどうかも評価する必要があります。
 
また高齢者の場合、歩行器歩行は心拍数などの循環動態にも影響を与えると言われています。

歩行器歩行が選択される高齢者は、筋力やバランス能力が低い場合が多いです。実際に歩行器を使用するときには、脈拍や呼吸状態などの評価や疲労感などを確認する必要があります。
 
歩行器などの歩行補助具を選択する際、身体機能や立位、歩行の安定性の確認が重要です。それだけでなく、使う場所や頻度、心身機能の状態をみて、使い分けるようにしましょう。

<参考資料>
・“統計からみた我が国の高齢者-「敬老の日」にちなんで- 1.高齢者の人口” 総務省統計局
・第141回社会保障審議会介護給付費分科会“参考資料1 福祉用具貸与(参考資料)” 厚生労働省
・日本整形外科学会・日本リハビリテーション医学会 義肢装具のチェックポイント 第7版 医学書院
・田中繁・高橋明(2011) モーターコントロール 運動制御の理論から臨床実践へ 原著第3版 医歯薬出版
・横田一彦(1998) 歩行器歩行指導時の留意点について-歩行器歩行時の脚先への荷重量の検討- 日本義肢装具学会誌
・I M Baruch, K A Mossberg(1983) Heart-rate response of elderly women to nonweight-bearing ambulation with a walker

AYUMI EYEで歩行分析

歩行器を適切に選択することで、歩行の安定性の改善やADL・QOLの向上が見込めます。歩行補助具があっているのか確認するためには、歩容の確認などの他にも、歩行時のバランスや歩行速度が改善しているか客観的に評価する必要があります。
 
AYUMI EYEは対象者の腰に巻くだけという簡単な装着で、10m程度の歩くだけで評価を行うことが可能です。バランスや歩行速度などがその場でiPad(iPhone)専用アプリにて解析され、結果が点数・マップ化してすぐに見ることができます。

現場スタッフの評価の効率が上がるとともに、ご利用者様にもその場で結果を共有できるため、歩行の改善や歩行補助具の選定があっているのか、互いに確認することができます。
 
簡便な操作で分かりやすい結果をフィードバックできるAYUMI EYEを使用し、歩行分析を行ってみてはいかがでしょうか。

まとめ

高齢化に伴い、歩行器を使用する高齢者が増加してきています。適切な歩行器を選択することで、安定した歩行を得ることができるだけでなく、ADLやQOLの改善が見込めます。

歩行器歩行は、様々な種類がありますが、一般的に加齢や疾病などで下肢筋力やバランス能力が低下している方が対象になります。

高齢者の場合は、歩行効率だけではなく、生活環境や心身機能などを確認しながら歩行器を選択しましょう。
 

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歩行推進力とその改善方法 著者:佐藤洋平(EHA監修)
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