PREMIUM COLUMN
2022/11/18
目次
太ももの裏側にあるハムストリングスは、歩行の際に大変重要な役割を担っています。
今回、歩行とハムストリングスの筋活動の関係について説明します。
私たちの歩行を支えるハムストリングスの重要性を確認しながら、正しい歩き方を実践していきましょう。
ハムストリングスとは、大腿二頭筋(長頭・短頭)、半腱様筋、半膜様筋の3つの筋肉から構成されています。
3つの筋肉は、近位側は坐骨結節に付着し、遠位側は脛骨と腓骨に付着しています。
主な作用は、次のように股関節と膝関節の動きに分かれています。
それぞれの特徴を確認していきましょう。
歩行や立ち上がり動作などで、大腿を後方に引くときに働きます。
大腿二頭筋長頭・半腱様筋・半膜様筋が持つ作用になり、大腿二頭筋短頭は、膝関節のみをまたぐため、この作用は持ちません。
膝を曲げるときに、ハムストリングス全ての筋肉が働く作用です。
また、ここでは次の2つにわかれます。
内側ハムストリングスである半腱様筋・半膜様筋は膝関節を曲げている際に膝から下を内旋させる作用を持ちます。
一方、外側ハムストリングスの大腿二頭筋は、膝から下を外旋させる作用を持ちます。
次に、歩行周期におけるハムストリングスの筋活動について説明します。
歩行周期は、立脚期と遊脚期に分けられます。片足に着目すると足が床に着いている期間を「立脚期」、着いていない期間を「遊脚期」と言います。
さらに立脚期は、踵接地期・荷重応答期・立脚中期・立脚後期に分けられます。
また、遊脚期は、遊脚初期・遊脚中期・遊脚終期に分けられます。
ハムストリングスの筋活動は、ゆっくりとした歩行から早歩きまで、全ての歩行で見られます。
歩行周期では、特に遊脚中期から立脚期への移行期である遊脚周期にハムストリングスは重要な働きをします。
次に、遊脚中期〜遊脚周期のハムストリングスの働きについて順に説明します。
ハムストリングスは、遊脚中期で下肢を後方へ振り出すために股関節を伸展し、膝関節を屈曲していきます。
そのうち、半膜様筋と大腿二頭筋長頭は遊脚中期に活動を始めていき、遊脚周期には半腱様筋が加わります。
3つの筋の活動は、全て遊脚周期に最大となります。
その後、徐々に強度を弱めていき、荷重応答期には股関節の伸展の補助を行います。
ハムストリングスは筋肉低下により弱くなってしまったり、柔軟性不足で硬くなってしまうと、膝の屈伸力が低下してしまいます。
すると、歩く際の前方への推進力が低下して膝や腰などへの負担が強くなり、慢性膝痛や腰痛につながります。
また、ハムストリングスの筋力低下や柔軟性不足は姿勢にも影響します。
二関節筋であるハムストリングスが骨盤を引っ張ることで骨盤後傾が強くなります。すると腰が丸まってしまい、姿勢が悪くなります。
いつまでも姿勢良く、健康的な体を維持するためにも、ハムストリングスの柔軟性と筋肉を鍛えることが重要です。
次に、ハムストリングスの鍛え方について説明します。
股関節の伸展を鍛えるトレーニングマシンでは、スクワットやデッドリフトを使うと鍛えられます。
また、高齢者や体力に自信がない人は、自重でのスクワット運動が安全かつ効果的です。
椅子や手すりを使って行う、立ち座りによるスクワットがおすすめです。
また、膝関節の屈曲はマシンではレッグカールが代表的ですが、自重で行う場合はうつ伏せに寝て行う方法があります。
やり方は下記の通りです。
注意点は、足を上げるときはお尻につかないように、下げるときは地面につかないようにゆっくり行いましょう。
歩行動作には、アクセル筋とブレーキ筋と言われる筋肉があります。
アクセル筋は前進するのに使われる筋肉で、ブレーキ筋は止まるための筋肉です。
ハムストリングスはアクセル筋になり、逆にブレーキ筋は大腿直筋、外側広筋、内側広筋、中間広筋と言った太もも前の筋肉です。
アクセス筋であるハムストリングスを意識することで推進力がついていき、歩き動作をスムーズにします。
また、歩行時に着地した足を地面から離す際には地面を蹴るイメージを持ちましょう。すると、地面反力と呼ばれる地面から跳ね返ってくる力が体に伝わるため、より推進力がつきます。
また、地面を蹴り出す際は後ろ足の膝は曲げずに一直線に保つことで、太もも裏のハムストリングを鍛えることができます。
日頃からハムストリングスを使って歩く意識をつけていくと、膝が伸びていき姿勢もきれいに歩くことができます。
今回は「歩行周期におけるハムストリングス筋活動の関係性」についてお伝えしました。
いつまでも健康的に歩くためにも、ハムストリングスの働きは重要です。
体力に自信がある人や若い人は、いつまでもきれいな姿勢で歩けるようにハムストリングスを鍛えていきましょう。
高齢者や足腰に不安がある人は、ハムストリングスを意識した歩行を身につけて、転倒のリスクを減らしていきましょう。
また、正しい歩行を身につけるためには、現状を正確に知る必要があります。
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ぜひ、AYUMI EYEでご自身の現在の歩行状態を確認しながら、正しい歩行意識を高めていきましょう。
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2022/11/18
歩行周期とハムストリングス筋活動の関係性
目次
太ももの裏側にあるハムストリングスは、歩行の際に大変重要な役割を担っています。
今回、歩行とハムストリングスの筋活動の関係について説明します。
私たちの歩行を支えるハムストリングスの重要性を確認しながら、正しい歩き方を実践していきましょう。
目次
ハムストリングスの主な作用
ハムストリングスとは、大腿二頭筋(長頭・短頭)、半腱様筋、半膜様筋の3つの筋肉から構成されています。
3つの筋肉は、近位側は坐骨結節に付着し、遠位側は脛骨と腓骨に付着しています。
主な作用は、次のように股関節と膝関節の動きに分かれています。
それぞれの特徴を確認していきましょう。
股関節の伸展
歩行や立ち上がり動作などで、大腿を後方に引くときに働きます。
大腿二頭筋長頭・半腱様筋・半膜様筋が持つ作用になり、大腿二頭筋短頭は、膝関節のみをまたぐため、この作用は持ちません。
膝関節の屈曲
膝を曲げるときに、ハムストリングス全ての筋肉が働く作用です。
また、ここでは次の2つにわかれます。
内側ハムストリングスである半腱様筋・半膜様筋は膝関節を曲げている際に膝から下を内旋させる作用を持ちます。
一方、外側ハムストリングスの大腿二頭筋は、膝から下を外旋させる作用を持ちます。
歩行周期におけるハムストリングスの役割
次に、歩行周期におけるハムストリングスの筋活動について説明します。
歩行周期は、立脚期と遊脚期に分けられます。片足に着目すると足が床に着いている期間を「立脚期」、着いていない期間を「遊脚期」と言います。
さらに立脚期は、踵接地期・荷重応答期・立脚中期・立脚後期に分けられます。
また、遊脚期は、遊脚初期・遊脚中期・遊脚終期に分けられます。
ハムストリングスの筋活動は、ゆっくりとした歩行から早歩きまで、全ての歩行で見られます。
歩行周期では、特に遊脚中期から立脚期への移行期である遊脚周期にハムストリングスは重要な働きをします。
遊脚中期~遊脚周期のハムストリングスの筋活動
次に、遊脚中期〜遊脚周期のハムストリングスの働きについて順に説明します。
ハムストリングスは、遊脚中期で下肢を後方へ振り出すために股関節を伸展し、膝関節を屈曲していきます。
そのうち、半膜様筋と大腿二頭筋長頭は遊脚中期に活動を始めていき、遊脚周期には半腱様筋が加わります。
3つの筋の活動は、全て遊脚周期に最大となります。
その後、徐々に強度を弱めていき、荷重応答期には股関節の伸展の補助を行います。
ハムストリングスが弱くなるとどうなる?
ハムストリングスは筋肉低下により弱くなってしまったり、柔軟性不足で硬くなってしまうと、膝の屈伸力が低下してしまいます。
すると、歩く際の前方への推進力が低下して膝や腰などへの負担が強くなり、慢性膝痛や腰痛につながります。
また、ハムストリングスの筋力低下や柔軟性不足は姿勢にも影響します。
二関節筋であるハムストリングスが骨盤を引っ張ることで骨盤後傾が強くなります。すると腰が丸まってしまい、姿勢が悪くなります。
いつまでも姿勢良く、健康的な体を維持するためにも、ハムストリングスの柔軟性と筋肉を鍛えることが重要です。
ハムストリングスの鍛え方
次に、ハムストリングスの鍛え方について説明します。
股関節の伸展を鍛えるトレーニングマシンでは、スクワットやデッドリフトを使うと鍛えられます。
また、高齢者や体力に自信がない人は、自重でのスクワット運動が安全かつ効果的です。
椅子や手すりを使って行う、立ち座りによるスクワットがおすすめです。
また、膝関節の屈曲はマシンではレッグカールが代表的ですが、自重で行う場合はうつ伏せに寝て行う方法があります。
やり方は下記の通りです。
注意点は、足を上げるときはお尻につかないように、下げるときは地面につかないようにゆっくり行いましょう。
ハムストリングスを使った歩行
歩行動作には、アクセル筋とブレーキ筋と言われる筋肉があります。
アクセル筋は前進するのに使われる筋肉で、ブレーキ筋は止まるための筋肉です。
ハムストリングスはアクセル筋になり、逆にブレーキ筋は大腿直筋、外側広筋、内側広筋、中間広筋と言った太もも前の筋肉です。
アクセス筋であるハムストリングスを意識することで推進力がついていき、歩き動作をスムーズにします。
また、歩行時に着地した足を地面から離す際には地面を蹴るイメージを持ちましょう。すると、地面反力と呼ばれる地面から跳ね返ってくる力が体に伝わるため、より推進力がつきます。
また、地面を蹴り出す際は後ろ足の膝は曲げずに一直線に保つことで、太もも裏のハムストリングを鍛えることができます。
日頃からハムストリングスを使って歩く意識をつけていくと、膝が伸びていき姿勢もきれいに歩くことができます。
まとめ
今回は「歩行周期におけるハムストリングス筋活動の関係性」についてお伝えしました。
いつまでも健康的に歩くためにも、ハムストリングスの働きは重要です。
体力に自信がある人や若い人は、いつまでもきれいな姿勢で歩けるようにハムストリングスを鍛えていきましょう。
高齢者や足腰に不安がある人は、ハムストリングスを意識した歩行を身につけて、転倒のリスクを減らしていきましょう。
また、正しい歩行を身につけるためには、現状を正確に知る必要があります。
AYUMI EYEは、歩行バランスの能力分析や解析に長けており、簡単に今の歩行状態が確認できます。
ぜひ、AYUMI EYEでご自身の現在の歩行状態を確認しながら、正しい歩行意識を高めていきましょう。
〈参考資料〉
移動動作の解釈 (嘉戸直樹,伊藤正憲,藤原 聡,高橋優基)
歩行速度と遊脚相のハムストリングス筋活動の関係 (百瀬 公人,三和 真人,赤塚 清矢,伊橋光二)
ペリー歩行分析-異常歩行と正常歩行 pp.60-61、81
歩行解析デバイスAYUMI EYEで歩行分析
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バランスや歩行速度などがその場でiPad専用アプリにて解析され、結果が点数・マップ化してすぐに見ることができます。
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