PREMIUM COLUMN
2022/04/01
目次
患者さんの歩行分析において、初期評価と最終評価を比較して、どのくらい改善したのか。
患者さんの歩行は、年齢における平均と比較してどのくらいの状態なのか。
これらを患者さんに、正しくわかりやすくフィードバックすることができていますか?
「ただ、なんとなく良くなった」では、理学療法士として不十分です。それを理解した上で、歩行測定尺度を用いた歩行評価を行っていると思います。
この記事では、歩行測定尺度について改めて確認し、正確な評価を行うために、臨床で一般的に使用されている歩行測定尺度と、能力別の歩行評価尺度についてご説明します。
最初にお伝えしたように、歩行測定尺度は「ただ、なんとなく良くなった」を防ぎ、客観的な指標を用いて歩行を評価するための“ものさし”です。
歩行評価尺度は、研究によってその信頼性や妥当性を証明されている、確実なものを用いる必要があります。
ここでは、一般的に臨床的でよく使用されている尺度を中心にご紹介していきます。復習として、改めて確認してみましょう。
10mの直線(前後3mずつ=計16m)を、通常歩行(いつも歩いている速さ)と最大歩行(できるだけ速く歩く)の2パターン歩いてもらい、10mの歩行速度を測定します。
カットオフ値としては、屋内歩行24.6秒、屋外歩行11.6秒、通常高齢者1.0m/秒、活動性低下の高齢者0.66m/秒という指標があり、これより成績が悪いと転倒のリスクがあります。
10m歩行テストと同じ要領で、10mではなく5mとして(前後3mずつ=計11m)歩行してもらいます。
10m歩行の場合は計16mなので、検査する場所の広さによっては幅を確保できませんが、5mだと計11mなので、一般的にも用いやすい検査だと言えるでしょう。
カットオフ値として、6.2秒よりも遅いと転倒しやすいという指標があります。
椅子から立ち上がり、3m先まで歩行して方向転換し、3m歩行して戻り、椅子に座るまで速度を計測します。
3m先にはコーンなどの目印を置き、そこを回るように歩行してもらいます。体の一部が動き始めてから、椅子に殿部が触れるまでを計測します。椅子は肘掛けの付いていないものを設定します。回り方は左右どちらでもよいです。
10m歩行テストや5m歩行と同様、通常歩行と最大歩行の2回歩いてもらい測定しますが、測定前に1度練習を行うようにします。
カットオフ値としては、13.5秒以上だと転倒リスクあり、30秒以上だとADLに支障をきたすという指標があります。
ここでは、能力別の歩行測定尺度についてご紹介します。患者さんだけでなく、ご家族や多職種との情報共有で用いると分かりやすい尺度です。
実用的歩行能力分類として、class0〜6まで能力別に分類されている尺度です。
class0「歩行不能」、class1「介助歩行」、class2「平地・監視歩行」、class3「屋内・平地自立」、class4「屋外・近距離自立」、class5「公共交通機関限定自立」、class6「公共交通機関自立」というように能力で分類されており、それぞれの要件があります²⁾。
介助量に基づいた歩行能力の臨床評価指標としてHolden ら (1984; PMID: 6691052)の論文中で紹介された尺度です。
15m 程度の歩行路や階段を使用し、動作観察から6 段階に分類します。補装具の使用の有無 は問いませんが、FAC を使用している研究論文によっては歩行器や車輪付きの歩行補助具の使用は認めていない場合があります。
分類0「歩行不能」、分類1「介助歩行レベル2」、分類2「介助歩行レベル1」、分類3「監視歩行」、分類4「平地歩行自立」、分類5「歩行自立」というように、分類されます³⁾。
AYUMI EYE medicalは、歩行または歩行パターンを検査する装置です。推進力・バランス・リズムを点数化することのできる歩行分析計です。
歩行中、足で地面を蹴り出した時や着地した時に生じる地面の反力などを、腰に装着した3軸加速度センサーで計測します。
計測した加速度データを専用のiPad(iPhone)専用アプリで解析し、歩行に関連した問題の診断の支援に用います。モジュール(加速度センサー)を腰部にベルトで装着し、6~10m歩くだけで、歩行状態を分析し『見える化』します。
取得した歩行データは専用のサーバへ保存され、iPad(iPhone)専用アプリやブラウザから、歩行に関わる様々なパラメータの確認、帳票の出力が可能です。
セキュリティは堅牢。1台1アカウントで、何人でも各々何回でも測定・保存が可能です。iPad(iPhone)専用アプリで簡単操作、測定に際し歩くだけなので、安全に実施可能です。
歩行解析デバイスAYUMI EYE medical
歩行分析において、「ただ、なんとなく」の評価を防ぐための歩行測定尺度について、一般的な尺度と能力別の尺度をご紹介させて頂きました。
改めて評価の詳細を確認し、臨床で活用していきましょう。
〈参考文献〉
1)飯田修平.10m歩行テストの信頼性[第一報].理学療法学32.(1):81-84,2017
2)小林宏髙.脳卒中片麻痺歩行の歩行能力評価ー実用的歩行能力分類(改訂版)の妥当性についてー.第46回日本リハビリテーション医学会学術集会
3)Holden MK, Gill KM, Magliozzi MR, et al. Clinical gait assessment in the neurologically impaired: reliability and meaningfulness. Physical Therapy, 1984;64:35–40.
AYUMI EYEはご利用者様の腰に専用ベルトを用いて装着し、10m歩くだけで評価を行うことが可能です。
バランスや歩行速度などがその場でiPad専用アプリにて解析され、結果が点数・マップ化してすぐに見ることができます。
測定者の評価の効率が上がるとともに、ご利用者様にもその場で結果を共有できるため、歩行の改善や歩行補助具の選定があっているのか、互いに確認することができます。
簡便な操作で分かりやすい結果をフィードバックできるAYUMI EYEを使用し、歩行分析を行ってみてはいかがでしょうか。
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2022/04/01
歩行測定尺度の測定方法を詳しく解説
目次
患者さんの歩行分析において、初期評価と最終評価を比較して、どのくらい改善したのか。
患者さんの歩行は、年齢における平均と比較してどのくらいの状態なのか。
これらを患者さんに、正しくわかりやすくフィードバックすることができていますか?
「ただ、なんとなく良くなった」では、理学療法士として不十分です。それを理解した上で、歩行測定尺度を用いた歩行評価を行っていると思います。
この記事では、歩行測定尺度について改めて確認し、正確な評価を行うために、臨床で一般的に使用されている歩行測定尺度と、能力別の歩行評価尺度についてご説明します。
目次
歩行測定尺度とは?
最初にお伝えしたように、歩行測定尺度は「ただ、なんとなく良くなった」を防ぎ、客観的な指標を用いて歩行を評価するための“ものさし”です。
歩行評価尺度は、研究によってその信頼性や妥当性を証明されている、確実なものを用いる必要があります。
一般的な歩行測定尺度と測定方法
ここでは、一般的に臨床的でよく使用されている尺度を中心にご紹介していきます。復習として、改めて確認してみましょう。
10m歩行テスト
10mの直線(前後3mずつ=計16m)を、通常歩行(いつも歩いている速さ)と最大歩行(できるだけ速く歩く)の2パターン歩いてもらい、10mの歩行速度を測定します。
カットオフ値としては、屋内歩行24.6秒、屋外歩行11.6秒、通常高齢者1.0m/秒、活動性低下の高齢者0.66m/秒という指標があり、これより成績が悪いと転倒のリスクがあります。
5m歩行テスト
10m歩行テストと同じ要領で、10mではなく5mとして(前後3mずつ=計11m)歩行してもらいます。
10m歩行の場合は計16mなので、検査する場所の広さによっては幅を確保できませんが、5mだと計11mなので、一般的にも用いやすい検査だと言えるでしょう。
カットオフ値として、6.2秒よりも遅いと転倒しやすいという指標があります。
Time Up and Go Test(TUG)
椅子から立ち上がり、3m先まで歩行して方向転換し、3m歩行して戻り、椅子に座るまで速度を計測します。
3m先にはコーンなどの目印を置き、そこを回るように歩行してもらいます。体の一部が動き始めてから、椅子に殿部が触れるまでを計測します。椅子は肘掛けの付いていないものを設定します。回り方は左右どちらでもよいです。
10m歩行テストや5m歩行と同様、通常歩行と最大歩行の2回歩いてもらい測定しますが、測定前に1度練習を行うようにします。
カットオフ値としては、13.5秒以上だと転倒リスクあり、30秒以上だとADLに支障をきたすという指標があります。
能力別の歩行測定尺度
ここでは、能力別の歩行測定尺度についてご紹介します。患者さんだけでなく、ご家族や多職種との情報共有で用いると分かりやすい尺度です。
実用的歩行能力分類(脳卒中患者を対象とした研究)
実用的歩行能力分類として、class0〜6まで能力別に分類されている尺度です。
class0「歩行不能」、class1「介助歩行」、class2「平地・監視歩行」、class3「屋内・平地自立」、class4「屋外・近距離自立」、class5「公共交通機関限定自立」、class6「公共交通機関自立」というように能力で分類されており、それぞれの要件があります²⁾。
Functional Ambulation Categories(FAC)
介助量に基づいた歩行能力の臨床評価指標としてHolden ら (1984; PMID: 6691052)の論文中で紹介された尺度です。
15m 程度の歩行路や階段を使用し、動作観察から6 段階に分類します。補装具の使用の有無 は問いませんが、FAC を使用している研究論文によっては歩行器や車輪付きの歩行補助具の使用は認めていない場合があります。
分類0「歩行不能」、分類1「介助歩行レベル2」、分類2「介助歩行レベル1」、分類3「監視歩行」、分類4「平地歩行自立」、分類5「歩行自立」というように、分類されます³⁾。
定量的な歩行評価、AYUMI EYE medical(歩行分析計)
AYUMI EYE medicalは、歩行または歩行パターンを検査する装置です。推進力・バランス・リズムを点数化することのできる歩行分析計です。
歩行中、足で地面を蹴り出した時や着地した時に生じる地面の反力などを、腰に装着した3軸加速度センサーで計測します。
計測した加速度データを専用のiPad(iPhone)専用アプリで解析し、歩行に関連した問題の診断の支援に用います。モジュール(加速度センサー)を腰部にベルトで装着し、6~10m歩くだけで、歩行状態を分析し『見える化』します。
取得した歩行データは専用のサーバへ保存され、iPad(iPhone)専用アプリやブラウザから、歩行に関わる様々なパラメータの確認、帳票の出力が可能です。
セキュリティは堅牢。1台1アカウントで、何人でも各々何回でも測定・保存が可能です。iPad(iPhone)専用アプリで簡単操作、測定に際し歩くだけなので、安全に実施可能です。
歩行解析デバイスAYUMI EYE medical
まとめ
歩行分析において、「ただ、なんとなく」の評価を防ぐための歩行測定尺度について、一般的な尺度と能力別の尺度をご紹介させて頂きました。
改めて評価の詳細を確認し、臨床で活用していきましょう。
〈参考文献〉
1)飯田修平.10m歩行テストの信頼性[第一報].理学療法学32.(1):81-84,2017
2)小林宏髙.脳卒中片麻痺歩行の歩行能力評価ー実用的歩行能力分類(改訂版)の妥当性についてー.第46回日本リハビリテーション医学会学術集会
3)Holden MK, Gill KM, Magliozzi MR, et al. Clinical gait assessment in the neurologically impaired: reliability and meaningfulness. Physical Therapy, 1984;64:35–40.
歩行解析デバイスAYUMI EYEで歩行分析
AYUMI EYEはご利用者様の腰に専用ベルトを用いて装着し、10m歩くだけで評価を行うことが可能です。
バランスや歩行速度などがその場でiPad専用アプリにて解析され、結果が点数・マップ化してすぐに見ることができます。
測定者の評価の効率が上がるとともに、ご利用者様にもその場で結果を共有できるため、歩行の改善や歩行補助具の選定があっているのか、互いに確認することができます。
簡便な操作で分かりやすい結果をフィードバックできるAYUMI EYEを使用し、歩行分析を行ってみてはいかがでしょうか。
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