PREMIUM COLUMN
2023/02/24
目次
「すくみ足」は、パーキンソン病患者に見られる歩行様式です。
足が地面に張り付いたように、歩き始めの1歩がなかなか出ない状態が特徴です。
すくみ足歩行は、足首から体にかけての筋肉が強く持続的に収縮しています。
また、常に筋肉が緊張状態になり、体が一本の棒のように固くなってしまいます。
今回は、パーキンソン病患者に見られるすくみ足の原因や歩行分析について詳しく解説します。
さらに、すくみ足歩行のリハビリに有効とされている方法もご紹介します。
ぜひ、こちらの記事を最後までお読みいただき、すくみ足歩行のリハビリ効果を上げていきましょう。
すくみ足は、パーキンソン病固有の症状ではなく、長期間ドーパ製剤を投与したことに起因する症状であると報告されています。
つまり、パーキンソン病に罹患した人が、パーキンソン病のお薬を飲み続けて起こる副作用の一つであると考えられています。
また、パーキンソン病には、下記のような性格の人が罹患しやすいと言われています。
なお、喫煙者は少ないことが知られています。
その他、遺伝性や若年性のパーキンソン病が稀にみられますが、普通は遺伝性では起こりません。
パーキンソン病患者の歩行は、歩き始めや向きを替える際に、すくみ足や小刻みになりやすいことが特徴です。
すくみ足は、歩き始めや歩いている時に、足の裏が地面にくっついたように歩けなくなります。
一方、小刻み歩行は前のめりで歩き、歩いているうちに早足になるのが特徴です。
今までの研究のなかにはパーキンソン病でのすくみ足が生じる場面が、下記の割合で報告されています。
歩行開始したとき…8%方向転換をするとき…45%狭い場所を通るとき…25%目標に近づいたとき…18%
また、足元に跨ぐものを示すと歩けたり、平地ではすくみ足のために歩行ができなくても、階段の昇降は可能であったりすることも知られています。
次に、正常歩行とすくみ足を呈するパーキンソン病の歩行の違いについてご説明します。
安静立位時、下腿三頭筋以外はほとんど筋活動は見られません。
また、歩行時に脊柱起立筋は立脚相と遊脚相の移行期、前脛骨筋は立脚初期と遊脚相、下腿三頭筋は立脚後期に活動します。
さらに、脊柱起立筋は歩行時体幹の過度の 屈曲を制限すると共に、体幹をさまざまな方向に偏位させる働きをします。
安静立位は下腿三頭筋、脊柱起立筋、前脛骨筋共に高い活動を示しており、筋肉の活動による拮抗筋への相反抑制が、不十分となります。
その直後の歩行においても全歩行周期を通じて歩行時持続性の高い筋活動を認めており、左右への重心移動は小さくなります。
また、脊柱起立筋は全歩行周期を通じて持続性の高い活動を示し、体幹は棒状を呈します。
体幹の棒状化により、重心移動が十分できないため、下肢は体重支持を余儀なくされて振り出しが困難になります。
さらに、体幹を棒状化することで重心移動が小さくなり、足関節の固定化を招きます。
以上のことから、すくみ足・小刻み歩行を引き起こしていると推察されます。
すくみ足歩行を呈するパーキンソン病患者の安静立位で、高い活動を示している下腿三頭筋、脊柱起立筋、前脛骨筋の筋活動に有効なアプローチの報告があります。
患者を、リラクゼーションで上記3筋を低下させた後、足踏みを繰り返して収縮一弛緩という相動性の活動を促します。
すると、左右への重心移動を大きくすると共に足関節の可動性を広げることにより、下肢の振り出しを容易にします。
その結果、すくみ足・小刻み歩行が一時的に改善されています。
また、すくみ足に対してパーキンソン病で認められる逆説的歩行を利用することで、すくみ足を軽減するリハビリがあります。
逆説的歩行を誘発するには、目の前に横線を跨がせる視覚刺激やメトロノームによる聴覚刺激などを呈示します。
視覚や音により刺激を与えることで、逆説的歩行を誘発することにより脳内フィードバック機構が賦活化され、活動が高い筋肉活動の軽減アプローチに期待ができます。
しかし、上記方法は反応に対する個人差が大きく、効果の持続性がないこともあるため、さらなる研究が求められます。
今回は「すくみ足を呈するパーキンソン病の歩行分析とリハビリ」について解説しました。
すくみ足歩行のリハビリには、左右の重心バランスや歩行周期全般での筋肉活動など、正しい歩行状態との明確なデータ比較を行うことが効果的です。
また、活動が高い筋肉を抑えた拮抗筋とのバランスを考えたリハビリ計画の立案が非常に重要と言えます。
その点、AYUMI EYEは歩行バランスの能力分析や解析に長けており、すくみ足歩行の現在の状態をデータで簡単に評価、観察することができます。
ぜひ、AYUMI EYEを使ってすくみ足歩行の歩行訓練に活用しながら、リハビリの成果を上げていきましょう。
(参考資料)岡西哲夫/梶原敏夫/外山治人 すくみ足・小刻み歩行を呈するパーキンソン病患者に対する歩行訓練について阿部和夫 パーキンソン病におけるすくみ足と両下肢協調運動障害
AYUMI EYEはご利用者様の腰に専用ベルトを用いて装着し、10m歩くだけで評価を行うことが可能です。
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2023/02/24
すくみ足を呈するパーキンソン病の歩行分析とリハビリ
目次
「すくみ足」は、パーキンソン病患者に見られる歩行様式です。
足が地面に張り付いたように、歩き始めの1歩がなかなか出ない状態が特徴です。
すくみ足歩行は、足首から体にかけての筋肉が強く持続的に収縮しています。
また、常に筋肉が緊張状態になり、体が一本の棒のように固くなってしまいます。
今回は、パーキンソン病患者に見られるすくみ足の原因や歩行分析について詳しく解説します。
さらに、すくみ足歩行のリハビリに有効とされている方法もご紹介します。
ぜひ、こちらの記事を最後までお読みいただき、すくみ足歩行のリハビリ効果を上げていきましょう。
目次
すくみ足の原因とパーキンソン病について
すくみ足は、パーキンソン病固有の症状ではなく、長期間ドーパ製剤を投与したことに起因する症状であると報告されています。
つまり、パーキンソン病に罹患した人が、パーキンソン病のお薬を飲み続けて起こる副作用の一つであると考えられています。
また、パーキンソン病には、下記のような性格の人が罹患しやすいと言われています。
なお、喫煙者は少ないことが知られています。
その他、遺伝性や若年性のパーキンソン病が稀にみられますが、普通は遺伝性では起こりません。
すくみ足の特徴
パーキンソン病患者の歩行は、歩き始めや向きを替える際に、すくみ足や小刻みになりやすいことが特徴です。
すくみ足は、歩き始めや歩いている時に、足の裏が地面にくっついたように歩けなくなります。
一方、小刻み歩行は前のめりで歩き、歩いているうちに早足になるのが特徴です。
今までの研究のなかにはパーキンソン病でのすくみ足が生じる場面が、下記の割合で報告されています。
歩行開始したとき…8%
方向転換をするとき…45%
狭い場所を通るとき…25%
目標に近づいたとき…18%
また、足元に跨ぐものを示すと歩けたり、平地ではすくみ足のために歩行ができなくても、階段の昇降は可能であったりすることも知られています。
正常歩行とすくみ足を呈するパーキンソン病の歩行の違い
次に、正常歩行とすくみ足を呈するパーキンソン病の歩行の違いについてご説明します。
正常歩行の人
安静立位時、下腿三頭筋以外はほとんど筋活動は見られません。
また、歩行時に脊柱起立筋は立脚相と遊脚相の移行期、前脛骨筋は立脚初期と遊脚相、下腿三頭筋は立脚後期に活動します。
さらに、脊柱起立筋は歩行時体幹の過度の 屈曲を制限すると共に、体幹をさまざまな方向に偏位させる働きをします。
すくみ足歩行を呈するパーキンソン病患者
安静立位は下腿三頭筋、脊柱起立筋、前脛骨筋共に高い活動を示しており、筋肉の活動による拮抗筋への相反抑制が、不十分となります。
その直後の歩行においても全歩行周期を通じて歩行時持続性の高い筋活動を認めており、左右への重心移動は小さくなります。
また、脊柱起立筋は全歩行周期を通じて持続性の高い活動を示し、体幹は棒状を呈します。
体幹の棒状化により、重心移動が十分できないため、下肢は体重支持を余儀なくされて振り出しが困難になります。
さらに、体幹を棒状化することで重心移動が小さくなり、足関節の固定化を招きます。
以上のことから、すくみ足・小刻み歩行を引き起こしていると推察されます。
すくみ足を呈するパーキンソン病のリハビリ
すくみ足歩行を呈するパーキンソン病患者の安静立位で、高い活動を示している下腿三頭筋、脊柱起立筋、前脛骨筋の筋活動に有効なアプローチの報告があります。
患者を、リラクゼーションで上記3筋を低下させた後、足踏みを繰り返して収縮一弛緩という相動性の活動を促します。
すると、左右への重心移動を大きくすると共に足関節の可動性を広げることにより、下肢の振り出しを容易にします。
その結果、すくみ足・小刻み歩行が一時的に改善されています。
また、すくみ足に対してパーキンソン病で認められる逆説的歩行を利用することで、すくみ足を軽減するリハビリがあります。
逆説的歩行を誘発するには、目の前に横線を跨がせる視覚刺激やメトロノームによる聴覚刺激などを呈示します。
視覚や音により刺激を与えることで、逆説的歩行を誘発することにより脳内フィードバック機構が賦活化され、活動が高い筋肉活動の軽減アプローチに期待ができます。
しかし、上記方法は反応に対する個人差が大きく、効果の持続性がないこともあるため、さらなる研究が求められます。
まとめ
今回は「すくみ足を呈するパーキンソン病の歩行分析とリハビリ」について解説しました。
すくみ足歩行のリハビリには、左右の重心バランスや歩行周期全般での筋肉活動など、正しい歩行状態との明確なデータ比較を行うことが効果的です。
また、活動が高い筋肉を抑えた拮抗筋とのバランスを考えたリハビリ計画の立案が非常に重要と言えます。
その点、AYUMI EYEは歩行バランスの能力分析や解析に長けており、すくみ足歩行の現在の状態をデータで簡単に評価、観察することができます。
ぜひ、AYUMI EYEを使ってすくみ足歩行の歩行訓練に活用しながら、リハビリの成果を上げていきましょう。
(参考資料)
岡西哲夫/梶原敏夫/外山治人 すくみ足・小刻み歩行を呈するパーキンソン病患者に対する歩行訓練について
阿部和夫 パーキンソン病におけるすくみ足と両下肢協調運動障害
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バランスや歩行速度などがその場でiPad専用アプリにて解析され、結果が点数・マップ化してすぐに見ることができます。
測定者の評価の効率が上がるとともに、ご利用者様にもその場で結果を共有できるため、歩行の改善や歩行補助具の選定があっているのか、互いに確認することができます。
簡便な操作で分かりやすい結果をフィードバックできるAYUMI EYEを使用し、歩行分析を行ってみてはいかがでしょうか。
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