PREMIUM COLUMN
2021/12/17
#歩行の重要性
目次
多くの方が普段から特に意識することなく、歩行することを繰り返していますね。
一般的に、医学の世界では歩行することは色々な観点から健康面に良好に寄与することと捉えられています。
“特に、高齢者は運動不足が原因で生活習慣病などの病気になりやすいと言われており、医療機関ではその予防策として歩行することを推奨しています。”1)
今回は、歩行とはいったい何なのか、そして病院勤務医が考える歩行する重要性を中心について解説します。
「歩行」という動作は、古い歴史を紐解いてみると長い進化の過程で人間が培った行動様式のひとつであると考えられています。
歩行という動きを通じて、例えば我々はトイレに行く、外出して買い物に出掛けるなど日常生活におけるさまざまな基本的な行動をとることが出来ます。
当然のことながら、歩行するには様々な体の機能が正常に働く必要があり、具体的には主に脳や運動神経、そして筋肉などが綿密に関連しています。
「歩く」と一言で言っても実際にその動作を実践するためには、ただ単に足の筋肉を使うのみならず、脳の部分が命令を出して、その後に適切かつ迅速に命令を伝える各種神経が上手く役割を果たすことが重要な視点になります。
厚生労働省が発令した「健康日本21」の資料によると、主に成人の方で1日における理想的な歩数としては、男性概ね9000歩、女性8500歩前後と推奨されています。
その背景には、歩くことによって多くの利点があるという事実が存在しています。
例えば、肥満が原因で糖尿病や高血圧、脂質異常症などをはじめとした生活習慣病になるリスクが高くなることはよくご存じかと思いますが、これらの慢性疾患を予防あるいは改善するために歩行による有酸素運動を実行すべきであると考えられています。
また、ウォーキングのような軽く足を使うような運動をすると副交感神経の働きが活発になることで身体にとってリラックス効果が認められるようになり、比例して睡眠のクオリティーが向上するとも言われています。
特に高齢者では、歩かなくなると筋力が一気に著しく弱くなって自己転倒しやすくなるデメリットがあります。
一般的に、歩行するという動作は体力を保持するのみならず活動量が低くなり最悪のケースでは寝たきり状態になってしまうことを予防する効果的な手段であります。
さらに、外出頻度が減ってしまうと日常生活レベルで顕著な意欲低下がみられ、精神的な落ち込みが強い際には認知症やうつ状態を引き起こすこともあり、高齢者においては重大な懸念材料になってしまいます。
このように、日常生活において歩行することは単に移動手段として捉えるだけではなく、体力不足や認知機能低下を回避する点でも医学的に一定の効果があると信じられており、まさに自分らしい快適な生活を送るために非常に重要な動作となります。
今回は歩行する事とはそもそもどういった体の機能で成し得ているのか、そして歩くことによるメリットを医学的な観点から解説してきました。
通常では、歩くことによって身体に良好な影響を与えることの方が多いと考えます。
したがって、日常的に無理のないレベルで継続的に歩行することを実践して、いつまでも健康的な身体を保って幸せな暮らしを続けられるように心がけましょう。
今回の情報が少しでも参考になれば幸いです。
1)引用文献宮本 弦, 園部 元康, 芝田 京子, 広瀬 圭:慣性センサを用いた歩行計測システムの開発. 中国四国支部総会・講演会 講演論文集. 2019.57 巻 (2019).
DOI https://doi.org/10.1299/jsmecs.2019.57.1001
《 ご 執 筆 者 さ ま 》
甲斐沼 孟(かいぬま まさや)医師■専門分野救急全般、外科一般、心臓血管外科、総合診療領域■資格日本外科学会専門医日本病院総合診療医学会認定医日本救急医学会認定ICLSコースディレクター厚生労働省認定緩和ケア研修会修了医厚生労働省認定臨床研修指導医日本感染症学会認定 Infection Control Doctor日本静脈経腸栄養学会認定TNT研修修了医日本救急医療財団認定医師救急医療実務実地修練課程修了医日本救急医療財団認定病院前医療体制における指導医等研修課程修了医日本脳卒中学会認定脳梗塞rt-PA適正使用講習会修了医日本医師会認定産業医日本医師会認定健康スポーツ医日本医師会認定死体検案上級研修修了医日本医師会認定生涯教育医日本医師会認定かかりつけ医機能研修制度修了医大阪府医師会認定かかりつけ医ACLS大阪認定コースディレクター労災補償指導医大阪府知事認定難病指定医エピペン処方登録医大阪府医師会指定学校医(追手門学院大手前中・高等学校医)大阪市地域メディカルコントロール協議会検証会議委員看護師特定行為研修指導者講習会修了医■プロフィール平成19年に大阪市立大学医学部医学科を卒業後に初期臨床研修を2年間修了後、平成19年に大阪市立大学医学部医学科を卒業後に初期臨床研修を2年間修了後、平成21年より大阪急性期総合医療センターで外科後期臨床研修、平成22年より大阪労災病院で心臓血管外科後期臨床研修、平成24年より国立病院機構大阪医療センターにて心臓血管外科医員として研鑽、平成25年より大阪大学医学部附属病院心臓血管外科非常勤医師、平成26年より令和3年現在に至るまで大阪市内の国公立病院で救急科医長として日々修練しております。■メッセージ私はこれまで消化器外科や心臓血管外科を研鑽して参り、現在は総合診療領域を含めて救急医学診療を中心に地域医療に貢献しております。日々の診療のみならず学会発表や論文執筆等の学術活動も積極的に行っております。その他、学校で救命講習会や「チームメディカル:最前線の医療現場から学ぶ」をテーマに講演しました。以前にはテレビ大阪「やさしいニュース」で熱中症の症状と予防法を丁寧に解説しました。大阪マラソンでは、大阪府医師会派遣医師として救護活動を行いました。
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2021/12/17
病院勤務医が考える歩行の重要性
#歩行の重要性
目次
目次
【はじめに】
多くの方が普段から特に意識することなく、歩行することを繰り返していますね。
一般的に、医学の世界では歩行することは色々な観点から健康面に良好に寄与することと捉えられています。
“特に、高齢者は運動不足が原因で生活習慣病などの病気になりやすいと言われており、医療機関ではその予防策として歩行することを推奨しています。”1)
今回は、歩行とはいったい何なのか、そして病院勤務医が考える歩行する重要性を中心について解説します。
【第1章】歩行とは?
「歩行」という動作は、古い歴史を紐解いてみると長い進化の過程で人間が培った行動様式のひとつであると考えられています。
歩行という動きを通じて、例えば我々はトイレに行く、外出して買い物に出掛けるなど日常生活におけるさまざまな基本的な行動をとることが出来ます。
当然のことながら、歩行するには様々な体の機能が正常に働く必要があり、具体的には主に脳や運動神経、そして筋肉などが綿密に関連しています。
「歩く」と一言で言っても実際にその動作を実践するためには、ただ単に足の筋肉を使うのみならず、脳の部分が命令を出して、その後に適切かつ迅速に命令を伝える各種神経が上手く役割を果たすことが重要な視点になります。
【第2章】病院勤務医が考える歩行の重要性
厚生労働省が発令した「健康日本21」の資料によると、主に成人の方で1日における理想的な歩数としては、男性概ね9000歩、女性8500歩前後と推奨されています。
その背景には、歩くことによって多くの利点があるという事実が存在しています。
例えば、肥満が原因で糖尿病や高血圧、脂質異常症などをはじめとした生活習慣病になるリスクが高くなることはよくご存じかと思いますが、これらの慢性疾患を予防あるいは改善するために歩行による有酸素運動を実行すべきであると考えられています。
また、ウォーキングのような軽く足を使うような運動をすると副交感神経の働きが活発になることで身体にとってリラックス効果が認められるようになり、比例して睡眠のクオリティーが向上するとも言われています。
特に高齢者では、歩かなくなると筋力が一気に著しく弱くなって自己転倒しやすくなるデメリットがあります。
一般的に、歩行するという動作は体力を保持するのみならず活動量が低くなり最悪のケースでは寝たきり状態になってしまうことを予防する効果的な手段であります。
さらに、外出頻度が減ってしまうと日常生活レベルで顕著な意欲低下がみられ、精神的な落ち込みが強い際には認知症やうつ状態を引き起こすこともあり、高齢者においては重大な懸念材料になってしまいます。
このように、日常生活において歩行することは単に移動手段として捉えるだけではなく、体力不足や認知機能低下を回避する点でも医学的に一定の効果があると信じられており、まさに自分らしい快適な生活を送るために非常に重要な動作となります。
【まとめ(おわりに)】
今回は歩行する事とはそもそもどういった体の機能で成し得ているのか、そして歩くことによるメリットを医学的な観点から解説してきました。
通常では、歩くことによって身体に良好な影響を与えることの方が多いと考えます。
したがって、日常的に無理のないレベルで継続的に歩行することを実践して、いつまでも健康的な身体を保って幸せな暮らしを続けられるように心がけましょう。
今回の情報が少しでも参考になれば幸いです。
1)引用文献宮本 弦, 園部 元康, 芝田 京子, 広瀬 圭:慣性センサを用いた歩行計測システムの開発. 中国四国支部総会・講演会 講演論文集. 2019.57 巻 (2019).
DOI https://doi.org/10.1299/jsmecs.2019.57.1001
《 ご 執 筆 者 さ ま 》
甲斐沼 孟(かいぬま まさや)医師
■専門分野
救急全般、外科一般、心臓血管外科、総合診療領域
■資格
日本外科学会専門医
日本病院総合診療医学会認定医
日本救急医学会認定ICLSコースディレクター
厚生労働省認定緩和ケア研修会修了医
厚生労働省認定臨床研修指導医
日本感染症学会認定 Infection Control Doctor
日本静脈経腸栄養学会認定TNT研修修了医
日本救急医療財団認定医師救急医療実務実地修練課程修了医
日本救急医療財団認定病院前医療体制における指導医等研修課程修了医
日本脳卒中学会認定脳梗塞rt-PA適正使用講習会修了医
日本医師会認定産業医
日本医師会認定健康スポーツ医
日本医師会認定死体検案上級研修修了医
日本医師会認定生涯教育医
日本医師会認定かかりつけ医機能研修制度修了医
大阪府医師会認定かかりつけ医
ACLS大阪認定コースディレクター
労災補償指導医
大阪府知事認定難病指定医
エピペン処方登録医
大阪府医師会指定学校医(追手門学院大手前中・高等学校医)
大阪市地域メディカルコントロール協議会検証会議委員
看護師特定行為研修指導者講習会修了医
■プロフィール
平成19年に大阪市立大学医学部医学科を卒業後に初期臨床研修を2年間修了後、平成19年に大阪市立大学医学部医学科を卒業後に初期臨床研修を2年間修了後、平成21年より大阪急性期総合医療センターで外科後期臨床研修、平成22年より大阪労災病院で心臓血管外科後期臨床研修、平成24年より国立病院機構大阪医療センターにて心臓血管外科医員として研鑽、平成25年より大阪大学医学部附属病院心臓血管外科非常勤医師、平成26年より令和3年現在に至るまで大阪市内の国公立病院で救急科医長として日々修練しております。
■メッセージ
私はこれまで消化器外科や心臓血管外科を研鑽して参り、現在は総合診療領域を含めて救急医学診療を中心に地域医療に貢献しております。日々の診療のみならず学会発表や論文執筆等の学術活動も積極的に行っております。その他、学校で救命講習会や「チームメディカル:最前線の医療現場から学ぶ」をテーマに講演しました。以前にはテレビ大阪「やさしいニュース」で熱中症の症状と予防法を丁寧に解説しました。大阪マラソンでは、大阪府医師会派遣医師として救護活動を行いました。