PREMIUM COLUMN
2022/10/28
目次
みなさんは「内反尖足」という言葉を聞いたことがありますか。
専門用語なのであまり耳にする機会はないかもしれませんが,歩行を難しくする原因の1つとして知られています。
今回はこの内反尖足と歩行の関係について解説しています。
内反尖足は文字どおり足の変形のことを言い,2つの状態が組み合わさってできています。
内反とは足の裏が内側を向く状態で,尖足はつま先が下に下がっている状態です。
つまり内反尖足とは,立っているとき,または歩くときにつま先が上がらず下を向いており,かつ足の裏が内側に向いてしまっている状態をいいます。
内反尖足の原因には大きくわけて2つの原因があり,1つは先天性内反足といい生まれつき足がそのように変形しまっている場合です。
もう1つは脳など上位運動ニューロンと呼ばれる神経系の病気によって生じます。
先天性内反足は,生まれてくる赤ちゃんの約 1,000 人に1 人の頻度で認める先天的な疾患です。※1
男女比は2:1 で,男の子に多いと言われています。※2
生まれつきのそのほかの疾患(多発性関節拘縮や二分脊椎など)に由来する症候性や麻痺性内反足と,関連する疾患がなく足の変形のみあらわれる特発性内反足に区別されます。
早期発見,早期治療が重要とされておりギプスや装具などで固定する方法や,手術で筋や腱を移動させる方法があります。※3
体を動かすための指令は,脳から脊髄を通って末梢神経,筋肉まで伝わります。
このうち脊髄までの部分を上位運動ニューロンと呼びますが,ここに障害がおこると内反尖足を生じる場合があります。
代表的な疾患としては,脳卒中があげられます。 脳卒中の直後は弛緩性麻痺といい,筋の緊張が低い状態となりますが,徐々に筋の緊張が上がり痙縮と呼ばれる状態が生じます。
そのなかで、下腿三頭筋や後脛骨筋に痙縮が生じると足関節が内反尖足位をとるようになります。※3
内反尖足を持つ人は特徴的な歩行を示します。
まず、足が内反しているため足の外側(小指側)から足をつく場合があります。足の裏全体で体重を支えることができないので,反対の足を振り出すときにとても不安定になります。
また、尖足位にあることで足を振り出そうとしたときに地面につま先を擦るおそれがあります。足を振り出しているとき,つま先と地面の距離が十分に確保できないと、つまずきやすくなり,転倒の危険性が上がります。
これに対応するため,つま先と地面の距離を保つために足をがに股で振り出すような歩き方(通称:ぶん回し歩行)や,反対の足もつま先立ちをするような歩き方(通称:伸びあがり歩行)を行うようになります。
さらに,うまく足の裏全体で体重を支えることができたとしても足関節が背屈方向に運動しない(つま先が上にあがらない)ため,すねの骨を前方へとうまく倒すことができません。
その結果,膝を伸ばしたまま,強い力が加わりながら体重を支えざるをえず,反張膝と呼ばれる膝が過度に伸ばされた状態を引き起こす可能性があります。
反張膝は,膝の安定性には良い影響を持ちますが,繰り返されることによって靭帯や腱などの組織にストレスが加わり続けて結果的に不安定な膝や痛みを引き起こすおそれがあります。
これらの問題点を解決するため,内反尖足をもつ方の多くが膝より先につける装具を用いて日常生活を送る必要があります。
今回は内反尖足について,その原因や歩行との関係について説明しました。
内反尖足は放置されることはあまりなく,多くの場合で適切な治療が行われます。ただ,装具の破損や継続的なストレッチの必要性など長く付き合う必要があります。
AYUMI EYEでは,簡単に歩行の特徴を視える化することができます。
みなさんも自分の歩きの特徴をしっかりと理解して,元気に暮らしましょう。
※1 衣笠.先天性内反足.整形外科看護 27(8): 796-799, 2022. ※2 Herring,JA.et al.Congenital talipes equinovarus(Clubfoot).Tachdjian’s pediatricorthopaedics.Kim Murphy, ed.Philadelphia,Saunders,2008,1070‒114. ※3 坂田ら.初期治療後の先天性内反足に対する前脛骨筋腱外側移行術の治療成績.日小整会誌 (J Jpn Ped Orthop Ass) 29(2):291–294, 2020. ※4 木村ら.脳卒中患者の歩行障害と下肢装具.MB Med Reha No.236:53-59,2019
AYUMI EYEはご利用者様の腰に専用ベルトを用いて装着し、10m歩くだけで評価を行うことが可能です。
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2022/10/28
内反尖足が起こる原因、歩行での弊害とは?
目次
みなさんは「内反尖足」という言葉を聞いたことがありますか。
専門用語なのであまり耳にする機会はないかもしれませんが,歩行を難しくする原因の1つとして知られています。
今回はこの内反尖足と歩行の関係について解説しています。
目次
内反尖足とは
内反尖足は文字どおり足の変形のことを言い,2つの状態が組み合わさってできています。
内反とは足の裏が内側を向く状態で,尖足はつま先が下に下がっている状態です。
つまり内反尖足とは,立っているとき,または歩くときにつま先が上がらず下を向いており,かつ足の裏が内側に向いてしまっている状態をいいます。
内反尖足の原因は
内反尖足の原因には大きくわけて2つの原因があり,1つは先天性内反足といい生まれつき足がそのように変形しまっている場合です。
もう1つは脳など上位運動ニューロンと呼ばれる神経系の病気によって生じます。
① 先天性内反足
先天性内反足は,生まれてくる赤ちゃんの約 1,000 人に1 人の頻度で認める先天的な疾患です。※1
男女比は2:1 で,男の子に多いと言われています。※2
生まれつきのそのほかの疾患(多発性関節拘縮や二分脊椎など)に由来する症候性や麻痺性内反足と,関連する疾患がなく足の変形のみあらわれる特発性内反足に区別されます。
早期発見,早期治療が重要とされておりギプスや装具などで固定する方法や,手術で筋や腱を移動させる方法があります。※3
② 上位運動ニューロン障害
体を動かすための指令は,脳から脊髄を通って末梢神経,筋肉まで伝わります。
このうち脊髄までの部分を上位運動ニューロンと呼びますが,ここに障害がおこると内反尖足を生じる場合があります。
代表的な疾患としては,脳卒中があげられます。 脳卒中の直後は弛緩性麻痺といい,筋の緊張が低い状態となりますが,徐々に筋の緊張が上がり痙縮と呼ばれる状態が生じます。
そのなかで、下腿三頭筋や後脛骨筋に痙縮が生じると足関節が内反尖足位をとるようになります。※3
内反尖足と歩行の関係について
内反尖足を持つ人は特徴的な歩行を示します。
まず、足が内反しているため足の外側(小指側)から足をつく場合があります。足の裏全体で体重を支えることができないので,反対の足を振り出すときにとても不安定になります。
また、尖足位にあることで足を振り出そうとしたときに地面につま先を擦るおそれがあります。足を振り出しているとき,つま先と地面の距離が十分に確保できないと、つまずきやすくなり,転倒の危険性が上がります。
これに対応するため,つま先と地面の距離を保つために足をがに股で振り出すような歩き方(通称:ぶん回し歩行)や,反対の足もつま先立ちをするような歩き方(通称:伸びあがり歩行)を行うようになります。
さらに,うまく足の裏全体で体重を支えることができたとしても足関節が背屈方向に運動しない(つま先が上にあがらない)ため,すねの骨を前方へとうまく倒すことができません。
その結果,膝を伸ばしたまま,強い力が加わりながら体重を支えざるをえず,反張膝と呼ばれる膝が過度に伸ばされた状態を引き起こす可能性があります。
反張膝は,膝の安定性には良い影響を持ちますが,繰り返されることによって靭帯や腱などの組織にストレスが加わり続けて結果的に不安定な膝や痛みを引き起こすおそれがあります。
これらの問題点を解決するため,内反尖足をもつ方の多くが膝より先につける装具を用いて日常生活を送る必要があります。
まとめ
今回は内反尖足について,その原因や歩行との関係について説明しました。
内反尖足は放置されることはあまりなく,多くの場合で適切な治療が行われます。ただ,装具の破損や継続的なストレッチの必要性など長く付き合う必要があります。
AYUMI EYEでは,簡単に歩行の特徴を視える化することができます。
みなさんも自分の歩きの特徴をしっかりと理解して,元気に暮らしましょう。
※1 衣笠.先天性内反足.整形外科看護 27(8): 796-799, 2022.
※2 Herring,JA.et al.Congenital talipes equinovarus(Clubfoot).Tachdjian’s pediatricorthopaedics.Kim Murphy, ed.Philadelphia,Saunders,2008,1070‒114.
※3 坂田ら.初期治療後の先天性内反足に対する前脛骨筋腱外側移行術の治療成績.日小整会誌 (J Jpn Ped Orthop Ass) 29(2):291–294, 2020.
※4 木村ら.脳卒中患者の歩行障害と下肢装具.MB Med Reha No.236:53-59,2019
歩行解析デバイスAYUMI EYEで歩行分析
AYUMI EYEはご利用者様の腰に専用ベルトを用いて装着し、10m歩くだけで評価を行うことが可能です。
バランスや歩行速度などがその場でiPad専用アプリにて解析され、結果が点数・マップ化してすぐに見ることができます。
測定者の評価の効率が上がるとともに、ご利用者様にもその場で結果を共有できるため、歩行の改善や歩行補助具の選定があっているのか、互いに確認することができます。
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