ボバースから進化した新しい脳性麻痺のリハビリテーション

「ボバース」の考え方は、現在の脳性麻痺のリハビリテーションに強い影響を与えています。

今回は、ボバースの概念を解説するとともに、新しくできたリハビリテーションの方法についてもご紹介します。

進化していくリハビリテーションの背景について、確認していきましょう。

ボバースとは?

ボバースとは、脳梗塞リハビリの手法の一つです。

1940年代に英国の医師であるカレル・ボバース博士と理学療法士のベルタ・ボバース夫人により提唱されました。

その後、世界のさまざまな治療家に普及しています。

ボバースの目的と特徴

ボバースの目的は、脳性麻痺などで中枢神経疾患が原因で障害を持った患者の機能改善を目指すことです。

また、一人ひとり異なる潜在能力の評価を行いながら、能力を発揮しやすくする手技を組み合わせていきます。

ボバース概念の目標

ボバース概念は、コミュニケーションに対するアプローチを大切にしています。

主な目標は「どのようにして立ったり、歩いたりすることができるか」など、運動機能に重点を置いています。

また、治療家の技術育成により、リハビリ効果を高める目標もありました。

ボバース概念の最大の欠点とは?

ボバース概念には、エビデンスがないという大きな欠点がありました。

エビデンスがない理由は、治療家が患者に姿勢や運動など、細かく個別に行うことを重要視している点にありました。

そのため、個別性を強調するあまりに、画一的なアプローチ方法や評価に欠けてしまいました。

その結果、どのような要素が有効なのか、科学的に検討することができませんでした。

新しいリハビリテーションの背景

21世紀に入り、ボバースと異なる脳性麻痺に対する新しいリハビリテーションの考え方が世界に発展していきました。

新しいリハビリの発展の背景には、多くの赤ちゃんが救命されることにより、脳性麻痺自体の病態のバリエーションが変化したことが挙げられます。

また、シナプスが変化することも明らかになり、適切な強さの刺激とともに、ある程度リハビリの量や反復が必要になりました。

そして、集中してリハビリを行うことで、効果を発揮することもわかりました。

その他、リハビリテーションの目標が「立つこと、歩くこと」から、その人を取り巻く環境に対するアプローチが重要視されるようになりました。

ボバースから発展した新しいリハビリテーション「CIとHABIT」とは?

21世紀、オーストラリアのNovak教授は、ボバースとは異なる脳性麻痺に対する新しいリハビリテーションを提唱しました。

新しい治療法には、片麻痺に対する抑制療法であるCI療法や両手・上肢集中訓練であるHABIT療法が効果的でした。

CIとHABIT、それぞれの特徴についてご説明します。

CI療法

健側をギプスなどで使えないようにして、麻痺側の手を徹底して使わせる治療法です。

麻痺側の機能を高めて、自然に両手動作が使えるようにしていきます。

HABIT療法

徹底的に両手を一緒に使うことで、麻痺側の機能を高める治療法です。

HABITにより、先天的に麻痺がある脳性麻痺の子どもに両手動作を覚える機会を与えます。

CIとHABITの違い

CIは、大人の脳卒中の治療法を子どもに応用したものですが、HABITは子どもにしか使えません。

HABITが子供にしかできない理由は、大人は既に両手動作を覚えているからになります。

ボバース概念と新しいリハビリテーションの共通項と違いについて

CIとHABITの治療法ともに、6〜9時間の訓練を週5日2週間集中して続けていきます。

以下のような原則は、ボバース概念と新しいリハビリテーションの共通項になります。

  • ・麻痺側の手を使わせる
  • ・両手動作を練習する
  • ・できる課題から徐々に難しくしていく

一方、ボバース概念とは、新しいリハビリテーションには以下のような特徴がありました。

  • ・グループで集中して量をこなす
  • ・道具の改造やプログラムの作成に注力する
  • ・達成感を味わえるようにする
  • ・日常動作の機能向上につなげる
  • ・子供たちに楽しい遊びを入れる
  • ・集中してやる気を持って練習する

以上のことを注視しながら行うことにより、必要な神経回路を作り上げられる効果が期待できました。

CIやHABITなどのリハビリテーションの今後の課題

CIやHABITなどの新しいリハビリテーションは、現在多くの先進国で取り入れられています。

そして、片麻痺以外の両麻痺や四肢麻痺にも応用できるプログラムが開発されて、エビデンスも出ています。

一方で、今後の課題も残っています。

例えば、脳病変や発達特徴、超早産児を中心とした病態などに対して、早急に対応できるプログラムの開発が求められます。

まとめ

今回は「ボバースから進化した新しい脳性麻痺のリハビリテーション」について説明しました。

ボバースもCIやHABITなどの新しいリハビリテーションも、より良いリハビリの方法を模索しているなかで生まれたリハビリ方法です。

良いリハビリを広げていくには、エビデンスが必要になり、エビデンスには細かい分析や評価が求められます。

AYUMI EYEでは、さまざまな疾患に伴う現在の歩行状態を簡単に細かく分析、評価することができます。

ぜひ、AYUMI EYEを使って、歩行リハビリの成果となるエビデンスを掴んでいきましょう。

(参考文献)
ボバース記念病院 院長 荒井 洋ー新しい脳性麻痺のリハビリテーション

(参考URL)
日本ボバース研究所


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