PREMIUM COLUMN
2023/08/25
目次
「ボバース」の考え方は、現在もの脳性麻痺のリハビリテーションに強い影響を与えています。
今回は、ボバースの概念を解説するとともに、新しくできたリハビリテーションの方法についてもご紹介します。
進化していくリハビリテーションの背景について、確認していきましょう。
ボバース法とは、脳梗塞リハビリの手法の一つです。
1940年代に英国の医師であるカレル・ボバース博士と理学療法士のベルタ・ボバース夫人により提唱されました。
その後、世界のさまざまな治療家に普及しています。
ボバース法の目的は、脳性麻痺などで中枢神経疾患が原因で障害を持った患者の機能改善を目指すことです。
また、一人ひとり異なる潜在能力の評価を行いながら、能力を発揮しやすくする手技を組み合わせていきます。
ボバース概念は、感覚、認知、コミュニケーションに対するアプローチなど神経リハビリテーション理論を取り入れた方法を発展させ変化してきました。
治療目標として「どのようにして立ったり、歩いたりすることができるか」など、ほとんどの目標が運動機能に重点を置いています。
そして、治療家の技術育成により、リハビリ効果を高める目標もありました。
ボバース概念には、エビデンスがないという大きな欠点があります。
エビデンスがない理由は、治療家が患者に姿勢や運動など、細かく個別に行うことを重要視している点にあります。
個別性を強調するあまりに、画一的なアプローチ方法や評価に欠けてしまっていたのです。
その結果、どのような要素が有効なのか、科学的に検討することができませんでした。
21世紀に入り、ボバース法と異なる脳性麻痺に対する新しいリハビリテーションが世界的に発展してきました。
新しいリハビリテーション発展の背景には、医療の急速な発展により脳性麻痺自体の病態が変化し、また多くの赤ちゃんが救命されることで、病態のバリエーションも増えたことが挙げられます。
また、シナプスが変化することも明らかになり、効果的な方法として適切な強さの刺激とともに、ある程度リハビリの量や反復、集中して行うことが必要だとわかってきました。
その他、リハビリテーションの目標が「立つこと、歩くこと」から、その人を取り巻く環境に対するアプローチが重要視されるようになりました。
出典:一般社団法人 全国地域生活支援機構 ICFとは?
21世紀、オーストラリアのNovak教授は、ボバースとは異なる脳性麻痺に対する新しいリハビリテーションを提唱しました。
新しい治療法として、片麻痺に対する抑制療法であるCI療法や両手・上肢集中訓練であるHABIT療法を挙げています。
CI療法とHABIT療法、それぞれの特徴についてご説明します。
健側をギプスなどで使えないようにして、麻痺側の手を徹底して使わせる治療法です。
麻痺側の機能を高めて、自然に両手動作が使えるようにしていきます。
徹底的に両手を一緒に使うことで、麻痺側の機能を高める治療法です。
HABITにより、先天的に麻痺がある脳性麻痺の子どもに両手動作を覚える機会を与えます。
CI療法は、大人の脳卒中の治療法を子どもに応用したものですが、HABIT療法は子どもにしか使えません。
HABIT療法が子供にしかない理由は、先天的に麻痺がある脳性麻痺の子供には両手動作を覚える機会がないからです。
大人は既に両手動作を覚えており、麻痺側の機能が高まることで自然に両手動作ができるのです。
CIとHABITの治療法ともに、6〜9時間の訓練を週5日2週間集中して続けて治療します。
以下のような原則は、ボバース概念と新しいリハビリテーションの共通項になります。
一方、ボバース概念と、新しいリハビリテーションの違いとしては以下のような特徴が挙げられます。
以上のことを注視しながら行うことにより、必要な神経回路を作り上げられる効果が期待できます。
CI療法やHABIT療法などの新しいリハビリテーションは、現在多くの先進国で取り入れられています。
そして、片麻痺以外の両麻痺や四肢麻痺にも応用できるプログラムが開発されて、エビデンスも出ています。
一方で、今後の課題も残っています。
例えば、脳病変や発達特徴、超早産児を中心とした病態などに対して、早急に対応できるプログラムの開発です。
今回は「ボバース法から新しく進化した脳性麻痺のリハビリテーション」について説明しました。
ボバース法もCI療法やHABIT療法などの新しいリハビリテーションも、より良いリハビリの方法を模索しているなかで生まれたリハビリテーション方法の1つです。
良いリハビリを広げていくには、エビデンスが必要になり、エビデンスには細かい分析や評価が求められます。
AYUMI EYEでは、さまざまな疾患に伴う現在の歩行状態を簡単に細かく分析、評価することができます。
ぜひ、AYUMI EYEを使って、歩行リハビリの成果となるエビデンスを掴んでいきましょう。
(参考文献)ボバース記念病院 院長 荒井 洋ー新しい脳性麻痺のリハビリテーション
(参考URL)日本ボバース研究所
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2023/08/25
ボバースから進化した新しい脳性麻痺のリハビリテーション
目次
「ボバース」の考え方は、現在もの脳性麻痺のリハビリテーションに強い影響を与えています。
今回は、ボバースの概念を解説するとともに、新しくできたリハビリテーションの方法についてもご紹介します。
進化していくリハビリテーションの背景について、確認していきましょう。
目次
ボバース法とは?
ボバース法とは、脳梗塞リハビリの手法の一つです。
1940年代に英国の医師であるカレル・ボバース博士と理学療法士のベルタ・ボバース夫人により提唱されました。
その後、世界のさまざまな治療家に普及しています。
ボバース法の目的と特徴
ボバース法の目的は、脳性麻痺などで中枢神経疾患が原因で障害を持った患者の機能改善を目指すことです。
また、一人ひとり異なる潜在能力の評価を行いながら、能力を発揮しやすくする手技を組み合わせていきます。
ボバース概念の目標
ボバース概念は、感覚、認知、コミュニケーションに対するアプローチなど神経リハビリテーション理論を取り入れた方法を発展させ変化してきました。
治療目標として「どのようにして立ったり、歩いたりすることができるか」など、ほとんどの目標が運動機能に重点を置いています。
そして、治療家の技術育成により、リハビリ効果を高める目標もありました。
ボバース概念の最大の欠点とは?
ボバース概念には、エビデンスがないという大きな欠点があります。
エビデンスがない理由は、治療家が患者に姿勢や運動など、細かく個別に行うことを重要視している点にあります。
個別性を強調するあまりに、画一的なアプローチ方法や評価に欠けてしまっていたのです。
その結果、どのような要素が有効なのか、科学的に検討することができませんでした。
新しいリハビリテーションの背景
21世紀に入り、ボバース法と異なる脳性麻痺に対する新しいリハビリテーションが世界的に発展してきました。
新しいリハビリテーション発展の背景には、医療の急速な発展により脳性麻痺自体の病態が変化し、また多くの赤ちゃんが救命されることで、病態のバリエーションも増えたことが挙げられます。
また、シナプスが変化することも明らかになり、効果的な方法として適切な強さの刺激とともに、ある程度リハビリの量や反復、集中して行うことが必要だとわかってきました。
その他、リハビリテーションの目標が「立つこと、歩くこと」から、その人を取り巻く環境に対するアプローチが重要視されるようになりました。
新しいリハビリテーション「CI療法とHABIT療法」とは?
21世紀、オーストラリアのNovak教授は、ボバースとは異なる脳性麻痺に対する新しいリハビリテーションを提唱しました。
新しい治療法として、片麻痺に対する抑制療法であるCI療法や両手・上肢集中訓練であるHABIT療法を挙げています。
CI療法とHABIT療法、それぞれの特徴についてご説明します。
CI療法
健側をギプスなどで使えないようにして、麻痺側の手を徹底して使わせる治療法です。
麻痺側の機能を高めて、自然に両手動作が使えるようにしていきます。
HABIT療法
徹底的に両手を一緒に使うことで、麻痺側の機能を高める治療法です。
HABITにより、先天的に麻痺がある脳性麻痺の子どもに両手動作を覚える機会を与えます。
CI療法とHABIT療法の違い
CI療法は、大人の脳卒中の治療法を子どもに応用したものですが、HABIT療法は子どもにしか使えません。
HABIT療法が子供にしかない理由は、先天的に麻痺がある脳性麻痺の子供には両手動作を覚える機会がないからです。
大人は既に両手動作を覚えており、麻痺側の機能が高まることで自然に両手動作ができるのです。
ボバース概念と新しいリハビリテーションの共通項と違いについて
CIとHABITの治療法ともに、6〜9時間の訓練を週5日2週間集中して続けて治療します。
以下のような原則は、ボバース概念と新しいリハビリテーションの共通項になります。
一方、ボバース概念と、新しいリハビリテーションの違いとしては以下のような特徴が挙げられます。
以上のことを注視しながら行うことにより、必要な神経回路を作り上げられる効果が期待できます。
CI療法やHABIT療法などの新しいリハビリテーションの今後の課題
CI療法やHABIT療法などの新しいリハビリテーションは、現在多くの先進国で取り入れられています。
そして、片麻痺以外の両麻痺や四肢麻痺にも応用できるプログラムが開発されて、エビデンスも出ています。
一方で、今後の課題も残っています。
例えば、脳病変や発達特徴、超早産児を中心とした病態などに対して、早急に対応できるプログラムの開発です。
まとめ
今回は「ボバース法から新しく進化した脳性麻痺のリハビリテーション」について説明しました。
ボバース法もCI療法やHABIT療法などの新しいリハビリテーションも、より良いリハビリの方法を模索しているなかで生まれたリハビリテーション方法の1つです。
良いリハビリを広げていくには、エビデンスが必要になり、エビデンスには細かい分析や評価が求められます。
AYUMI EYEでは、さまざまな疾患に伴う現在の歩行状態を簡単に細かく分析、評価することができます。
ぜひ、AYUMI EYEを使って、歩行リハビリの成果となるエビデンスを掴んでいきましょう。
(参考文献)
ボバース記念病院 院長 荒井 洋ー新しい脳性麻痺のリハビリテーション
(参考URL)
日本ボバース研究所
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