PREMIUM COLUMN
2023/04/14
目次
「後脛骨筋」は、私たちの足を支える大きな役割を担っており、歩行の際にも後脛骨筋の働きは重要です。
今回は、後脛骨筋の役割と後脛骨筋が原因で起こる後脛骨筋機能不全による歩行障害についてご説明します。
また、足の障害予防につながる方法も紹介しますのでお役立てください。
私たちがバランス良く立ったり歩いたりする際、足裏のアーチは非常に重要な役割をしています。
また、正しいアーチを保つには骨や関節・靱帯による静的なサポートと、筋肉による動的なサポートが必要です。
静的・動的サポートが互いに協力して重力に逆らうことにより、直立二足歩行する人体の重さを支えています。
また、適度な弾性を持った足のアーチは、歩行時にかかる衝撃を緩和して、関節を保護する働きがあります。
そして、私たちの日常動作に重要なアーチを作る働きをしているのが、後脛骨筋になります。
後脛骨筋とは、下腿深部後方のコンパートメント内に位置する筋肉です。
後脛骨筋がついてる起始と停止の位置は、下記の場所になります。
起始:脛骨後面、腓骨内側面、下腿骨間膜の後面
停止:舟状骨粗面、内側・中間・外側楔状骨、立方骨、第2-4中足骨底
また、後脛骨筋の作用は、足部の回外や足関節の底屈運動などで働きます。
歩行時の後脛骨筋には、下記のような重要な役割があります。
それぞれ詳しく説明していきます。
後脛骨筋は、足のアーチを支える重要な動的支持組織です。
回外運動という作用によって、内側縦アーチや横アーチの後方部を形成するために、重要な役割を持っています。
特に、内側縦アーチを形成する働きには大きく関係しており、後脛骨筋の機能不全が起こると扁平足が形成されることがあります。
また、後脛骨筋は下腿内側を走行しており、距骨下関節の運動にも寄与します。
距骨下関節は足部と下腿の連結部にあるため、下肢の上行性運動連鎖を行う上で重要な関節になります。
後足部の外がえし挙動が大きい場合、挙動を制動するために後脛骨筋は筋活動量を高めます。
踵骨と下腿が同方向に動いている場合の後脛骨筋は、それ以上伸長されることがないため等尺性収縮によって外がえしを制動しています。
後足部が外がえしとなる場合には、後脛骨筋は伸長されながら、外がえしを制動するために遠心性収縮になります。
また、遠心性収縮では筋張力も高まるため、腱や付着部にかかる負荷も大きくなります。
筋や腱、付着部にかかる負荷が大きくなることで、後脛骨筋腱不全症の障害につながる可能性が高くなります。
後脛骨筋が部分断裂して機能不全を引き起こすと、足のアーチを保つ力がなくなり、扁平足変形を生じてしまいます。
上記のような疾患を「後脛骨筋機能不全(PTTD)」と言います。
後脛骨筋機能不全には、以下のような特徴があります。
また、後脛骨筋機能不全は、後脛骨筋に繰り返し負荷がかかることで起こります。
主な原因には次のようなことが考えられます。
後脛骨筋が短縮した後脛骨筋機能不全になると、回外位を持続的に保持する状態になります。
その結果、ハイアーチを形成してしまいます。
また、後脛骨筋が弛緩したような状態の後脛骨筋機能不全では、回内方向への制動ができなくなります。
その結果、扁平回内足やそれに付随した外反母趾や開張足を招くことになります。
治療としては、腱が断裂している状態では、手術や固定化させる事が賢明です。
また、後脛骨筋腱不全症の患者の方が健常者よりも歩行時の後脛骨筋活動量が高いという報告があります。
そのため、よりかかる負担を軽減する必要があります。
後脛骨筋腱機能不全の予防法や手術後の改善策としては症状の程度にもよりますが、運動療法を実践する方法があります。
運動療法には、主に下記のポイントを意識して行いましょう。
足の裏に適度な衝撃吸収性がないと、足や膝などに負担がかかり、障害につながることがあります。
なお、歩行の場合にかかる着地衝撃の大きさは、体重の約1.2倍〜1.3倍、ランニングで約2〜3倍と言われています。
靴では、底材または中敷に衝撃吸収性の高い素材を使用すると、着地時の足や膝への負担が和らげます。
しっかりと足を踏み返し歩行する事で足裏が刺激されて、アーチの形成を促します。
また、足の内側縦アーチの低下を改善するためには、後脛骨筋や母指外転筋を鍛える必要があります。
今回は「後脛骨筋の歩行の役割と後脛骨筋機能不全(PTTD)予防法」について説明しました。
扁平足の場合や後脛骨筋機能不全など足の障害予防には、後脛骨筋を鍛えながら足裏のアーチを形成することが大切です。
また、足裏の正しいアーチを評価して安定した歩行バランスを作るには、正確な歩行分析が必要になります。
AYUMI EYEでは、現在の歩行バランスを、正確に分析・評価することが可能です。
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(参考資料)早稲田大学大学院 スポーツ科学研究科 阿久澤 弘他 後脛骨筋の筋活動解析高田 雄一他 足内側縦アーチに対する後脛骨筋の効果MOONSTAR 体の負担を軽減すること
AYUMI EYEはご利用者様の腰に専用ベルトを用いて装着し、10m歩くだけで評価を行うことが可能です。
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2023/04/14
後脛骨筋の歩行の役割と後脛骨筋機能不全(PTTD)の予防法
目次
「後脛骨筋」は、私たちの足を支える大きな役割を担っており、歩行の際にも後脛骨筋の働きは重要です。
今回は、後脛骨筋の役割と後脛骨筋が原因で起こる後脛骨筋機能不全による歩行障害についてご説明します。
また、足の障害予防につながる方法も紹介しますのでお役立てください。
目次
足のアーチの重要性と後脛骨筋の関係
私たちがバランス良く立ったり歩いたりする際、足裏のアーチは非常に重要な役割をしています。
また、正しいアーチを保つには骨や関節・靱帯による静的なサポートと、筋肉による動的なサポートが必要です。
静的・動的サポートが互いに協力して重力に逆らうことにより、直立二足歩行する人体の重さを支えています。
また、適度な弾性を持った足のアーチは、歩行時にかかる衝撃を緩和して、関節を保護する働きがあります。
そして、私たちの日常動作に重要なアーチを作る働きをしているのが、後脛骨筋になります。
後脛骨筋とは?
後脛骨筋とは、下腿深部後方のコンパートメント内に位置する筋肉です。
後脛骨筋がついてる起始と停止の位置は、下記の場所になります。
起始:脛骨後面、腓骨内側面、下腿骨間膜の後面
停止:舟状骨粗面、内側・中間・外側楔状骨、立方骨、第2-4中足骨底
また、後脛骨筋の作用は、足部の回外や足関節の底屈運動などで働きます。
歩行時の後脛骨筋の重要な役割
歩行時の後脛骨筋には、下記のような重要な役割があります。
それぞれ詳しく説明していきます。
足部のアーチ保持
後脛骨筋は、足のアーチを支える重要な動的支持組織です。
回外運動という作用によって、内側縦アーチや横アーチの後方部を形成するために、重要な役割を持っています。
特に、内側縦アーチを形成する働きには大きく関係しており、後脛骨筋の機能不全が起こると扁平足が形成されることがあります。
また、後脛骨筋は下腿内側を走行しており、距骨下関節の運動にも寄与します。
距骨下関節は足部と下腿の連結部にあるため、下肢の上行性運動連鎖を行う上で重要な関節になります。
接地時の足部外がえし挙動の制動
後足部の外がえし挙動が大きい場合、挙動を制動するために後脛骨筋は筋活動量を高めます。
踵骨と下腿が同方向に動いている場合の後脛骨筋は、それ以上伸長されることがないため等尺性収縮によって外がえしを制動しています。
後足部が外がえしとなる場合には、後脛骨筋は伸長されながら、外がえしを制動するために遠心性収縮になります。
また、遠心性収縮では筋張力も高まるため、腱や付着部にかかる負荷も大きくなります。
筋や腱、付着部にかかる負荷が大きくなることで、後脛骨筋腱不全症の障害につながる可能性が高くなります。
後脛骨筋機能不全の歩行障害
後脛骨筋が部分断裂して機能不全を引き起こすと、足のアーチを保つ力がなくなり、扁平足変形を生じてしまいます。
上記のような疾患を「後脛骨筋機能不全(PTTD)」と言います。
後脛骨筋機能不全には、以下のような特徴があります。
また、後脛骨筋機能不全は、後脛骨筋に繰り返し負荷がかかることで起こります。
主な原因には次のようなことが考えられます。
後脛骨筋機能不全になると
後脛骨筋が短縮した後脛骨筋機能不全になると、回外位を持続的に保持する状態になります。
その結果、ハイアーチを形成してしまいます。
また、後脛骨筋が弛緩したような状態の後脛骨筋機能不全では、回内方向への制動ができなくなります。
その結果、扁平回内足やそれに付随した外反母趾や開張足を招くことになります。
治療としては、腱が断裂している状態では、手術や固定化させる事が賢明です。
また、後脛骨筋腱不全症の患者の方が健常者よりも歩行時の後脛骨筋活動量が高いという報告があります。
そのため、よりかかる負担を軽減する必要があります。
後脛骨筋機能不全など足の障害予防
後脛骨筋腱機能不全の予防法や手術後の改善策としては症状の程度にもよりますが、運動療法を実践する方法があります。
運動療法には、主に下記のポイントを意識して行いましょう。
足の裏のクッション性の補強
足の裏に適度な衝撃吸収性がないと、足や膝などに負担がかかり、障害につながることがあります。
なお、歩行の場合にかかる着地衝撃の大きさは、体重の約1.2倍〜1.3倍、ランニングで約2〜3倍と言われています。
靴では、底材または中敷に衝撃吸収性の高い素材を使用すると、着地時の足や膝への負担が和らげます。
足の内側縦アーチの強化
しっかりと足を踏み返し歩行する事で足裏が刺激されて、アーチの形成を促します。
また、足の内側縦アーチの低下を改善するためには、後脛骨筋や母指外転筋を鍛える必要があります。
まとめ
今回は「後脛骨筋の歩行の役割と後脛骨筋機能不全(PTTD)予防法」について説明しました。
扁平足の場合や後脛骨筋機能不全など足の障害予防には、後脛骨筋を鍛えながら足裏のアーチを形成することが大切です。
また、足裏の正しいアーチを評価して安定した歩行バランスを作るには、正確な歩行分析が必要になります。
AYUMI EYEでは、現在の歩行バランスを、正確に分析・評価することが可能です。
ぜひ、AYUMI EYEを活用しながら安定した歩行バランスを身につけて、いつまでも健康的な足で歩きましょう。
(参考資料)
早稲田大学大学院 スポーツ科学研究科 阿久澤 弘他 後脛骨筋の筋活動解析
高田 雄一他 足内側縦アーチに対する後脛骨筋の効果
MOONSTAR 体の負担を軽減すること
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AYUMI EYEはご利用者様の腰に専用ベルトを用いて装着し、10m歩くだけで評価を行うことが可能です。
バランスや歩行速度などがその場でiPad専用アプリにて解析され、結果が点数・マップ化してすぐに見ることができます。
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簡便な操作で分かりやすい結果をフィードバックできるAYUMI EYEを使用し、歩行分析を行ってみてはいかがでしょうか。
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