PREMIUM COLUMN
2022/12/16
目次
筋ジストロフィーとは、身体の筋肉が機能しなくなり、筋力低下を引き起こす遺伝性筋疾患の総称です。
平成27年7月から指定難病となっており、日本の筋ジストロフィーの患者数はおよそ25,400人です。
筋ジストロフィー症の中で、もっとも頻度が高いのは「デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)」と言われるものです。
また、デュシェンヌ型と類似した体幹に最も近い筋肉に筋力低下を引き起こすベッカー型があります。
これらの筋ジストロフィーは、男児に発生する場合がほとんどです。
今回は、もっとも多いデュシェンヌ型筋ジストロフィーの特徴と、歩行分析についてお伝えします。
また、男性に多い理由やデュシェンヌ型とベッカー型の違いについてもご説明します。
デュシェンヌ型とベッカー型の共通点は、どちらも主な症状が筋力低下です。 それぞれの特徴と違いについて、確認していきましょう。
デュシェンヌ型は、最も重症病型の筋ジストロフィーです。 主に、次のような特徴的な症状があります。
幼少期から筋力低下がみられます。徐々に悪化していき、心拍にも問題が起こります。また、腕や脚の筋肉が関節の周囲で拘縮するため、肘や膝を十分に伸ばせなくなります。
脊柱筋の筋力低下により、脊柱の前弯を伴い、腰を左右に揺すって歩くのが特徴です。
床から立ち上がるときに四つ這いになって手を引きつき、手で膝、太ももとよじ登りながら体を起こしていく立ち方です。
ふくらはぎが仮性肥大して、他の筋肉と比べて硬くなります。
ベッカー型は筋力低下で言えば、デュシェンヌ型筋ジストロフィーと類似しています。
しかし、デュシェンヌ型筋ジストロフィーと大きな違いがあり、発症時期が青年期と遅く、症状もより軽いことです。
また、最初に症状が現れる時期も、約12歳とデュシェンヌ型より少し遅くなります。
患者は、通常15歳までは歩くことが可能で、多くの患者は、成人期になっても歩き続けられます。
デュシェンヌ型筋ジストロフィーを引き起こす遺伝子の異常は「ジストロフィン遺伝子」が関係しています。
ジストロフィン遺伝子は劣性遺伝し、X染色体上に保有されます。
男性にはX染色体が1本しかないため、異常遺伝子を親から受け継ぐと発症してしまいます。また、子どもの世代で新たに発症する場合もあります。
一方、女性にはX染色体が2本あるため、片方のX染色体の遺伝子に異常があった場合、もう一方の遺伝子が正常であれば発症しません。
ただし、女性の場合も異常遺伝子を保有することはあるため、保因者と呼ばれます。
次に、デュシェンヌ型筋ジストロフィーの年齢推移による症状や特徴についてご説明します。
発症時期になり、歩き始めるのが遅れます。また、歩く、走るなどの動作が困難になります。
運動発達の遅れが目立つ時期です。足首や股関節などの関節拘縮が起こります。
上肢の筋力低下が顕著にみられる時期になり、腕を挙げる動作が難しくなります。また側弯症の症状が出てきます。
呼吸器障害・心機能障害・摂食や嚥下障害・消化管障害など、さまざまな合併症がみられます。
次に、主に10代以降の歩行喪失時期で見られる姿勢と歩行への影響について、分析していきます。
歩行喪失時期の子どもは、横から見ると股関節と膝関節が曲がっている状態です。 足関節は底屈して、踵を浮かせて爪先で立っているのが特徴的です。
バランスをとるように、お腹を大きく前に突き出すような姿勢を取ります。 また、正面から見ると、股、膝、足関節の曲がりに左右差があり、体重を一方の下肢だけで支える姿勢を取ります。
いつも体重を支える足が決まってしまい、反対の足に体重をかけることができなくなるのが、歩けなくなる直接の原因になります。
さらに、股、膝、足関節に拘縮が起こり、その拘縮が左右対称でないため、より歩行が困難になります。
次に、歩行ができなくなった後、車いす生活での体の状態です。 四肢の変形や拘縮に加えて、体幹が大きく変形していきます。
体幹の変形は、肺など内臓の機能にも影響を及ぼします。 座位保持ができなくなるなど、日常生活動作が大きく制約されてしまいます。
次に、歩行喪失時期におけるリハビリの重要性についてご説明します。
リハビリの目的は、四肢や体幹の変形や拘縮を予防することです。
その結果、運動機能を維持し、生活の自立期間を延長させることにつながります。
歩行喪失時期にリハビリで予防できれば、歩行可能期間を数ヶ月から数年ほど延長できると考えられています。 また、車椅子状態での体幹の変形予防のためにも、リハビリは必要になります。
今回は「デュシェンヌ型筋ジストロフィーの特徴と歩行分析について」についてお伝えしました。
歩行喪失時期におけるリハビリの重要性もお知らせしました。
動揺性歩行や登攀性起立が起こる頃から行う歩行訓練も、歩行可能時間を延長させるために大切です。 歩行のバランスを改善するためには、現状の歩き方や、歩く際の拘縮程度や変形を正確に知る必要があります。
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ぜひ、AYUMI EYEで生活の自立期間を延ばせるツールとして役立てられるように検討してください。
〈参考資料〉一般社団法人 日本筋ジストロフィー協会https://www.jmda.or.jp/4/kosodahp/kosoriha.htm
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2022/12/16
デュシェンヌ型筋ジストロフィーの特徴と歩行分析について
目次
筋ジストロフィーとは、身体の筋肉が機能しなくなり、筋力低下を引き起こす遺伝性筋疾患の総称です。
平成27年7月から指定難病となっており、日本の筋ジストロフィーの患者数はおよそ25,400人です。
筋ジストロフィー症の中で、もっとも頻度が高いのは「デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)」と言われるものです。
また、デュシェンヌ型と類似した体幹に最も近い筋肉に筋力低下を引き起こすベッカー型があります。
これらの筋ジストロフィーは、男児に発生する場合がほとんどです。
今回は、もっとも多いデュシェンヌ型筋ジストロフィーの特徴と、歩行分析についてお伝えします。
また、男性に多い理由やデュシェンヌ型とベッカー型の違いについてもご説明します。
目次
デュシェンヌ型とベッカー型とは?
デュシェンヌ型とベッカー型の共通点は、どちらも主な症状が筋力低下です。 それぞれの特徴と違いについて、確認していきましょう。
デュシェンヌ型筋ジストロフィーの特徴
デュシェンヌ型は、最も重症病型の筋ジストロフィーです。 主に、次のような特徴的な症状があります。
筋力低下
幼少期から筋力低下がみられます。徐々に悪化していき、心拍にも問題が起こります。また、腕や脚の筋肉が関節の周囲で拘縮するため、肘や膝を十分に伸ばせなくなります。
動揺性歩行
脊柱筋の筋力低下により、脊柱の前弯を伴い、腰を左右に揺すって歩くのが特徴です。
登攀性起立
床から立ち上がるときに四つ這いになって手を引きつき、手で膝、太ももとよじ登りながら体を起こしていく立ち方です。
ふくらはぎの肥大化
ふくらはぎが仮性肥大して、他の筋肉と比べて硬くなります。
ベッカー型筋ジストロフィーの特徴
ベッカー型は筋力低下で言えば、デュシェンヌ型筋ジストロフィーと類似しています。
しかし、デュシェンヌ型筋ジストロフィーと大きな違いがあり、発症時期が青年期と遅く、症状もより軽いことです。
また、最初に症状が現れる時期も、約12歳とデュシェンヌ型より少し遅くなります。
患者は、通常15歳までは歩くことが可能で、多くの患者は、成人期になっても歩き続けられます。
筋ジストロフィーが、男児に多く発生する理由とは?
デュシェンヌ型筋ジストロフィーを引き起こす遺伝子の異常は「ジストロフィン遺伝子」が関係しています。
ジストロフィン遺伝子は劣性遺伝し、X染色体上に保有されます。
男性にはX染色体が1本しかないため、異常遺伝子を親から受け継ぐと発症してしまいます。また、子どもの世代で新たに発症する場合もあります。
一方、女性にはX染色体が2本あるため、片方のX染色体の遺伝子に異常があった場合、もう一方の遺伝子が正常であれば発症しません。
ただし、女性の場合も異常遺伝子を保有することはあるため、保因者と呼ばれます。
デュシェンヌ型筋ジストロフィーの年齢推移による症状や特徴
次に、デュシェンヌ型筋ジストロフィーの年齢推移による症状や特徴についてご説明します。
2~3歳頃
発症時期になり、歩き始めるのが遅れます。また、歩く、走るなどの動作が困難になります。
5歳頃
運動発達の遅れが目立つ時期です。足首や股関節などの関節拘縮が起こります。
10代前半頃
上肢の筋力低下が顕著にみられる時期になり、腕を挙げる動作が難しくなります。また側弯症の症状が出てきます。
10代後半以降
呼吸器障害・心機能障害・摂食や嚥下障害・消化管障害など、さまざまな合併症がみられます。
デュシェンヌ型筋ジストロフィーの歩行分析
次に、主に10代以降の歩行喪失時期で見られる姿勢と歩行への影響について、分析していきます。
歩行喪失時期の子どもは、横から見ると股関節と膝関節が曲がっている状態です。 足関節は底屈して、踵を浮かせて爪先で立っているのが特徴的です。
バランスをとるように、お腹を大きく前に突き出すような姿勢を取ります。 また、正面から見ると、股、膝、足関節の曲がりに左右差があり、体重を一方の下肢だけで支える姿勢を取ります。
いつも体重を支える足が決まってしまい、反対の足に体重をかけることができなくなるのが、歩けなくなる直接の原因になります。
さらに、股、膝、足関節に拘縮が起こり、その拘縮が左右対称でないため、より歩行が困難になります。
次に、歩行ができなくなった後、車いす生活での体の状態です。 四肢の変形や拘縮に加えて、体幹が大きく変形していきます。
体幹の変形は、肺など内臓の機能にも影響を及ぼします。 座位保持ができなくなるなど、日常生活動作が大きく制約されてしまいます。
歩行喪失時期のリハビリの重要性について
次に、歩行喪失時期におけるリハビリの重要性についてご説明します。
リハビリの目的は、四肢や体幹の変形や拘縮を予防することです。
その結果、運動機能を維持し、生活の自立期間を延長させることにつながります。
歩行喪失時期にリハビリで予防できれば、歩行可能期間を数ヶ月から数年ほど延長できると考えられています。 また、車椅子状態での体幹の変形予防のためにも、リハビリは必要になります。
まとめ
今回は「デュシェンヌ型筋ジストロフィーの特徴と歩行分析について」についてお伝えしました。
歩行喪失時期におけるリハビリの重要性もお知らせしました。
動揺性歩行や登攀性起立が起こる頃から行う歩行訓練も、歩行可能時間を延長させるために大切です。 歩行のバランスを改善するためには、現状の歩き方や、歩く際の拘縮程度や変形を正確に知る必要があります。
AYUMI EYEは、歩行バランスの分析や解析に長けており、今の歩行状態を見える化できます。
ぜひ、AYUMI EYEで生活の自立期間を延ばせるツールとして役立てられるように検討してください。
〈参考資料〉
一般社団法人 日本筋ジストロフィー協会
https://www.jmda.or.jp/4/kosodahp/kosoriha.htm
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AYUMI EYEはご利用者様の腰に専用ベルトを用いて装着し、10m歩くだけで評価を行うことが可能です。
バランスや歩行速度などがその場でiPad専用アプリにて解析され、結果が点数・マップ化してすぐに見ることができます。
測定者の評価の効率が上がるとともに、ご利用者様にもその場で結果を共有できるため、歩行の改善や歩行補助具の選定があっているのか、互いに確認することができます。
簡便な操作で分かりやすい結果をフィードバックできるAYUMI EYEを使用し、歩行分析を行ってみてはいかがでしょうか。
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