【令和3年】個別機能訓練計画書の作成方法、書き方や注意点について

通所介護(デイサービス)や短期入所生活介護(ショートステイ)、介護老人福祉施設などでは、入浴や排泄、食事などの介護や日常生活上の世話と、機能訓練を行うことが定義づけられています。

その中で、機能訓練の体制やサービス提供方法に着目し、個別機能訓練加算が設けられています。

個別機能訓練加算を算定するにあたり、個別機能訓練計画を立てることが算定要件のひとつとされています。

今回は、個別機能訓練計画書の作成方法や、作成時の注意点を説明していきます。

個別機能訓練計画書とは

個別機能訓練加算は、通所介護、短期入所生活介護、特定施設生活介護、介護老人福祉施設などで算定することができます。

介護サービスを利用しながら、住み慣れた地域や居宅でできるだけ長く過ごせるように、居宅へ訪問して生活課題をアセスメントし、個別機能訓練計画を多職種で立案します。

作成した個別機能訓練計画はご利用者に説明し、同意を得た上で実施されます。個別機能訓練計画書は、個別機能訓練計画を記録したものです。 

個別機能訓練計画は、ケアマネジャーが作成する居宅サービス計画と、通所介護計画や短期入所生活介護計画などの施設ごとの計画と連動してなければならず、整合性が保たれていなければなりません。

個別機能訓練計画書を作成する目的について

個別機能訓練計画書は多職種とともに作成した後、ご利用者やそのご家族に分かりやすく説明し、個別機能訓練計画について同意を得る必要があります。

個別機能訓練計画書は、訓練計画を記録として残すとともに、ご利用者への説明と同意を得るために利用されるツールでもあります。

個別機能訓練計画書の注意点について

通所介護や短期入所生活介護では個別機能訓練加算を算定するうえで、個別機能訓練計画書は、居宅を訪問し生活状況を確認し作成しなければなりません。

また、3ヵ月に1回以上、居宅を訪問した上で訓練計画の進捗状況に応じて計画の見直しと、計画の説明を行わなければなりません。

その後、個別機能訓練計画書の説明を行ったあと、写しを交付します。
 
注意点として、長期に宿泊サービスを利用している通所介護利用者の場合は、自宅に不在のため訪問を行うことができません。そのため、個別機能訓練加算は算定することができません。

個別機能訓練計画書の作成手順

個別機能訓練計画書の作成の手順は以下の流れで行われます。 

(1)   居宅へ訪問し、生活課題の把握
(2)   評価とアセスメント
(3)   個別機能訓練計画書の作成
(4)   ご利用者へ個別機能訓練計画の説明と同意、個別機能訓練計画書の写しの交付
(5)   訓練計画に基づく、個別機能訓練の実施
(6)   モニタリング、個別機能訓練計画の見直し。3ヵ月後ごとにご利用者に説明と同意

個別機能訓練計画書の書き方

令和3年度の介護報酬改定において、個別機能訓練加算は個別機能訓練加算Ⅰ(イ)、個別機能訓練加算Ⅰ(ロ)に変更となりました。

個別機能訓練計画の書式も変更されていますので、注意しましょう。

今回は、厚生労働省から提示されている様式3-3に則って説明していきます。

基本情報の内容と書き方

厚生労働省

基本情報の欄には以下のものがあります。居宅を訪問した際の情報や、ケアマネが作成するケアプランの情報をもとに記載します。

(1)   利用者本人・家族の希望
(2)   利用者本人の社会参加の状況
(3)   利用者の居宅の環境
(4)   障害老人の日常生活自立度
(5)   認知症高齢者の日常生活自立度
(6)   健康状態(治療経過、合併疾患・コントロール状況、機能訓練実施上の留意点)

ケアプランからの情報収集で記載できる項目

ケアプランとは、介護支援専門員が作成する居宅サービス計画のことです。ご利用者の承諾を経て、居宅サービス事業者に配られます。ケアプランから情報収集できる項目には以下のものがあります。 

・被介護保険者の認定日
・認定有効期間
・要介護状態区分
・ご利用者の生活に対する意向
・総合的な援助の方針
・生活課題 

健康状態や医学的なリスクが記載されていないこともあります。その場合は、サービス担当者会議やケアマネジャーに問い合わせるなど、情報を共有してもらいましょう。

居宅訪問からの情報収集で記載できる項目

居宅の訪問では、居宅での生活課題や在宅の環境を確認しましょう。

また、ご利用者・ご家族から、本人・家族の希望を聞き、ニーズや希望に沿った訓練計画を立てます。

個別機能訓練の目標・個別機能訓練項目の書き方

個別機能訓練加算Ⅰの目的は、座る・立つ・歩くなどができるようになるといった身体機能の向上や、病気や怪我の予防などを目的に行われるものです。

長期目標・短期目標は、利用者の意欲の向上に繋がるように段階的な目標設定をするなど、可能な限り具体的かつ分かりやすい目標とします。プログラム内容は身体機能の向上を目指せるような内容にしましょう。 

留意点として、ケアプランに沿った内容にすることも忘れないようにしましょう。

ケアプランは、ケアマネジャーが作成する居宅介護支援の総合方針になります。この総合方針と整合性がとれるような個別訓練計画を立てましょう。

個別機能訓練計画目標の設定

以前の個別機能訓練加算はⅠとⅡに分かれ、それぞれ目的が異なったため、ⅠとⅡそれぞれの目標欄がありました。令和3年度の介護報酬改定では個別機能訓練加算ⅠとⅡは統合され、個別機能訓練加算Ⅰ(イ)、Ⅰ(ロ)となっています。

そのため、個別機能訓練加算Ⅰ(イ)・Ⅰ(ロ)ともに利用者の社会参加状況やニーズ・日常生活などにおけるや役割や心身機能を確認し、目標を設定する必要があります。機能・活動・参加と目標が分かれているので、それぞれに対して目標を立てましょう。

個別機能訓練項目は、機能訓練だけではなく、活動や社会参加が促進されるようなプログラムを位置づけましょう。例えば、訓練室内で行う歩行訓練とは別に、模擬的にスーパーまで買い物に訓練を位置づけると、ご利用者の参加や役割を意識したプログラムになると思います。

例)
長期目標:
スーパーマーケットに食材を買いに行く

短期目標:
買いたい物を書き記したリストを作る
スーパーマーケットまでの道順を確認する
スーパーマーケットまで歩いて行く
スーパーマーケットの中でリストにある食材を見つける
食材を買い物かごに入れる
レジで支払いをする、買った品物を袋に入れる
買った品物を入れた袋を持って、自宅まで歩いて帰る

介護保険最新情報 vol.936参照

また、新しい個別機能訓練計画の書式では、“利用者本人・家族等がサービス時間以外で実施すること”という項目が追加されています。ホームエクササイズや家族指導等を書き込むと良いでしょう。

個別機能訓練実施後の対応

厚生労働省

個別機能訓練実施後の対応の書き方には、実際に立位した計画通りにプログラムを行い、心身機能や日常生活、参加等にどのような変化があったかを記載します。

変化を確認するためには、定期的な評価が必要です。

また実際に自宅に訪問した際の動作の変化などを参考にして、記載するようにしましょう。

個別機能訓練計画書は他の書式に置き換えることもできる

令和3年度の介護報酬改定において、リハビリテーション・機能訓練・栄養管理・口腔管理を一体的に取り組み、自立支援・重度化防止を効果的に進めることが促進されています。

そこで計画書も、“リハビリテーション・個別機能訓練、栄養管理、口腔管理に係る実施計画書”という、それぞれの実施計画を一体的に記入することができる様式が設けられました。

これは、上記で説明した個別機能訓練計画の作成に代えることができます。

まとめ

個別機能訓練計画書は、個別機能訓練加算を算定するうえで必要な書類になります。

個別機能訓練計画は、ケアマネジャーの作成したケアプランに沿いながら、居宅を訪問し生活課題を把握した上で作成する必要があります。

生活課題を把握し、おひとりおひとりにあった計画や目標を作成していきたいですね。

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